2014年7月号

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南松浦郡新上五島町 移動運用記

編集部 稲葉浩之

運用場所を決定

3箇所目のマリンピア展望所(標高384m)に向かった。林業用道路の様な細い道を上っていったところ、しっかりした駐車場のある展望所に到着した。幸運にもここにはトイレがあった。さらに東屋やベンチもあった。ただし運用には大型鉄塔が邪魔だ。それでも駐車場内の一番南端のスペースに駐めれば、ちょうど鉄塔が真北の位置になるので、北米(ビーム方向は約30度)、欧州(ビーム方向は約330度)とも何とか鉄塔を交わせそうだ。ということで、ここで運用することに決めた。


展望台からの眺め(北米方向)


展望台からの眺め(ヨーロッパ方向)

この公園(展望所)は無人で、近傍に管理事務所なども無かったため、この駐車場内での運用に関して特に許可を得ることは行わなかったが、もし管理事務所などがある公園の場合は、事前に話をしておく方が無難である。さもなくば、万一運用中にアンテナ撤去命令を出されても従わざるを得ない。


中央下がトイレ。その左が東屋。

この展望所は幸いにもアクセス道路が良くないので、GW中にも関わらず、1日につき4、5台ずつの車両と、少数のハイカーしか上ってこなかった。通常であれば、夜景のきれいな所だと、アベックとか威勢のいい若い人などが来るものだが、夜間は3晩とも人一人来ず、静かでよかった。

運用場所を見極めた後は、温泉に入るために一旦下山した。ここで運用するからには、徒歩での下山は現実的ではなく、そのため運用終了まで風呂には入れないからだ。ゆっくり温泉に入った後はマリンピア展望所に戻り、南端のスペースに車を駐めて、1500j頃からアンテナ設営を開始した。かんかん照りということもあって暑くて作業がはかどらない。2時間くらいかかって8mポールに八木を2基乗せ終わった。念のためSWRを計ったら問題はなかった。残りは7/10MHzのダイポール、1.9/3.5MHzのロングワイヤー、と衛星通信用八木だ。次は、10m長のグラスファイバーロッドと約25m長のビニール線を使って1.9/3.5MHzのロングワイヤーをあげた。1.9MHz、3.5MHzとも同調して問題なし。ついでにこのロングワイヤーで7MHzと10MHzも動作確認したら問題なく同調した。


設置を終わった2基の2エレ八木(左)と、釣竿に沿わしたロングワイヤー(右)。
後ろに見えるのが展望台。

その次は、先日修理完了した方のもう1本の8mポールを使って7/10MHzのギボシダイポールをあげる予定だったが、この時点でかなり疲れたので、初日はロングワイヤーで7/10MHzにも出ることにした。また衛星通信用八木も翌日に建てることにして、初日の衛星通信運用は中止にした。変わりに144/430/1200MHzのモービルホイップをモービル基台に取り付けたので、これで、とりあえず1.9~1200MHzまで全バンドでオンエア可能になった。

初日の運用

アンテナが建ったので車内でシャックを構築し、腹ごしらえをしたらもう1900jになってしまった。とりあえずバンドワッチすると幸運にもEスポが出ているようだ。そして1903j、28MHz/CWから南松浦郡新上五島町での運用をスタートした。CQを出すとすぐに1エリアから応答があった。また移動運用専門のネット掲示板に運用周波数を書き込んだので、すぐにパイルが立ち上がった。ほとんどの局がS9+で入感しEスポは厚い。呼ばれなくなると別バンドにQSYして、短時間の夕飯を挟みほぼ休み無しで運用した。


車内後部に構築したシャックの様子。パソコンはロギング用とネット用に2台使用。

残念だったのは1.9MHzと3.5MHzの飛びがもうひとつだったことだ。それでも3.5MHzはそれなりにできたが、1.9MHzは1局だけしかできず、ぜんぜん飛んでいない様子だった。車外に出てワイヤーを確認したものの、10m竿部分含め、ロングワイヤーは25mちゃんと伸びている。昨年9月の壱岐市移動の時と全く同じセットアップだ。ハイバンドが大変好調なので時間が惜しく、なぜローバンドが飛ばないかは翌日に検討することにした。

0000jを回ると呼んでくる局はほぼDX一色となりスプリット運用を行った。ヨーロッパビームにも関わらず北米からも声がかかる。コンテストとは違ってコールサインの2度打ちも多く、コンテスト時のようにはレートが上がらないが、DXからのパイルを十分に楽しむことができた。5/4の0222j、疲労困憊となったため、ここで初日の運用を終了した。運用終了後は、669局分(5/3分+5/4分の一部)のログをClug logにアップロードし、缶チューハイでのどを癒して、目覚ましを0700jにセットし、0300j頃就寝した。

Clug logにログをアップロードしたのは、QSO相手にログに載っていることを確認してもらって、お互いに無駄な重複QSOを避けるためである。


日々QSO数

2日目の運用

5/4(日)は0700jに起床。4時間しか寝ていないのでさすがに眠い。洗顔などをし、パンで朝食を済ませ、0730j前から2日目の運用をスタート。はじめは24MHz、いきなりWから呼ばれたので、今日もコンディションは上々かと思ったが、その後UA0から1局呼ばれただけでその後CQを連発しても全く呼ばれない。21MHzに降りるがここでもWは1局だけ。JAから少し呼ばれたが東向けのコンディションはもうひとつのようだ。18MHzに降りるとJAオンリーとなり、Eスポがオープンしてきた。


トイレ側からアンテナを見る。

早朝からEスポが発生したのは良いが、Wがさっぱりできないのは予定外。突発的に発生したE層が邪魔で、北米まで電波が十分に飛んでいかないようだ。こうなったらJAとやるしかないと、呼ばれなくなるとバンドチェンジを繰り返して国内QSOに徹した。この日のEスポは厚く50MHzまで反射した。50MHzの運用中、SSBでSメーターがフルスケールのCQが聞こえたので、急いでハンドマイクをつないで、応答した。

地元新上五島町の局で、ここマリンピア展望所の展望台が目視できるところにお住まいのようだ。リクエストにより144 MHzでもQSO。今日か明日にここに来るとのことで、楽しみが1つできた。結局この日は強弱はあったものの、終日Eスポがオープンしており、日中はほぼJA一色となった。強力なEスポに反射させて、普段移動運用ではあまり出ないSSBも積極運用。さらにはFMにも出てみた。


榎津港からマリンピア展望所を見る。

この日は昼飯休憩のついでに衛星通信用八木を上げた。7/10MHzのギボシダイポールについては、初日の運用で、国内向けにはロングワイヤーで十分に飛んでいたし、ローバンドで、ローパワーではなかなかDXまで飛んでいかないため、設置する時間がもったいないと判断して設置は取りやめにした。そんなわけで、わざわざメーカーで修理してもらった8mポールの出番は今回なかった。

1700j頃にビームを330度に向けるとヨーロッパのパイルが始まる。ヨーロッパはJAと比べるとマナーが良くない局が多く、他局へのコールバック中でもお構いなしに呼んできて、オンフレでは効率が上がらないので、すぐにスプリット運用にする。

あまりに高コンディションが続くので、衛星に出るチャンスがなく、リクエストがなかったら2日目の運用も取りやめにしようかとも思ったが、ネット掲示板でニーズを問い合わせたところ、若干リクエストがあったので、19時台のFO29(ふじ3号)に出る。南西方向にある矢倉岳の山頂の影響で自局のAOS(衛星が見え始める時間)は、パス全体の1/3位が経過してからだったが、CWオンリーで23QSOとなり、この1パスでほぼニーズを満たせたことと、HFのコンディションが良すぎた結果、この日の衛星運用はこの1パスのみになってしまった。

不調なローバンド

日が暮れてローバンドの運用を始めたが、まず3.5MHzを運用すると、なんとチャットに使っているサブパソコンの暴走が始まった。初日の運用ではなんら問題なかったのだが、この日は3.5MHzで送信すると、関係のないウインドウが開きまくってめちゃめちゃになってしまうのである。電源ケーブルやUSBケーブル(マウス等)に手持ちのフェライトコアを入れてみたが止まらない。さらには、3.5MHzの送信中はスマートフォンも固まって、操作をまったく受け付けなることが判明した。

原因はアース関係のような気がしたが、スマートフォン(の操作)は捨てて、サブパソコンは電源を落とし、ロギングに使用しているメインパソコンのみでローバンドの運用を継続した。メインパソコンに回り込みが発生し無かったのは幸いであった。しかしこの日のローバンドはノイズが多かったため、3.5MHzが28QSO、1.9MHzが4QSOで終了した。明日問題を解決して、再度ローバンドをサービスすることにした。

この日は風が強かった。それが原因で、ロングワイヤーを沿わせてある10mのグラスファイバーロッドと14/21/28MHzのトライバンダーが接触し、その状態に気づかず、ローテーターを回転させてしまったため、このトライバンダーのキャパシティハットが風でしなったロッドに引っかかって、トライバンダーが約90度回ってしまった。そのため、2200j頃に一旦8mの伸縮ポールを縮めて修正したが、これがハードな作業となりへとへとになってしまった。衛星通信用の八木も一旦外さなければならなかったからである。

後でわかった事だが、このアンテナ接触によって高周波がフィードバックしてきて、どうやらサブパソコンとスマートフォンの誤動作を誘発したようだ。とりあえず、14/21/28MHzのトライバンダーは修正できたが、今度は18/24/50MHzのトライバンダーがHigh SWRとなってしまった。原因不明だが、小雨も降ってきたので、コネクタかトラップに水が入った可能性がある。

そんなことで、それ以上運用する気をなくし、この日は2342jをもって打ち止めした。前夜から1190QSOを上乗せして、トータル1859QSOとなり、クラブログにアップし0030j頃床に着いた。睡眠不足だったので、目覚ましをかけずに寝たところ、0730j頃まで爆睡してしまった。後で思えば、ここでDX向けにもうひとがんばりしておくべきだった。

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