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アマチュア無線のデジタル化

第2回 デジタルの通信方式FDMAとTDMAについて

月刊FB NEWS編集部

1. D-STARに関することが1アマの国家試験に過去出題


図1 2007年(平成19年)4月期、1アマ国家試験の問題※1

日本アマチュア無線連盟(JARL)が開発したD-STAR、そのシステムは2004年(平成16年)1月には関東、東海、関西の3地域でレピーターの免許を受け、D-STARの正式運用となりました。この経緯は前号で簡単に説明しました。

それから3年後の2007年(平成19年)4月、第一級アマチュア無線技士国家試験に冒頭の図1に掲載した問題が出題されました。この試験問題は、アマチュアのデジタル通信D-STARに関するもので、この問題の出題には驚きました。当時1アマの試験を受験されたOM諸氏もこの問題には予想もしなかったのではないかと思います。(解答は末尾に記載します)※2

アマチュアのデジタル通信は、もちろんD-STARだけではなく、D-STARが登場するずっと以前からパソコンにTNC(Terminal Node Controller)を接続したパケット通信やさらに以前からRTTYも普及しています。CWもデジタル通信といえますが、今回は脇に置いておきます。

2. デジタルの通信方式

同じ周波数で複数の局が電波を出すと、特にFMモードでは弱肉強食の特性で、弱い局は強い局につぶされる状態を引き起こす混信を生じます。この混信を生じますと相手(弱い局)の内容が了解できなくなることは普段のQSOの中で体験しています。限られた周波数資源の中において、同じ周波数で複数の局が通信できることは電波の効率化につながり、特に拡大する業務無線では大変有意義なことです。

デジタル通信では、一つの周波数に複数の局が通信できるように回線を設けることができます。この回線を専門的ですが「チャンネル」と呼びます。電波の効率化とは一つの物理的な周波数あるいは伝送路に複数のチャネルを設けること、ということもできます。

電波の効率化とは、単純にいうと一定の周波数の幅にどれだけ多くの局が混信なく通信できるかといえます。これを実現するには何種類かの通信方式があります。今回はアマチュア無線では聞きなれない言葉ですがその代表的なFDMAとTDMAについて説明します。

(1) FDMA(Frequency Division Multiple Access)
日本語では、「周波数分割多元接続」といいます。JARLが開発したD-STARは、まさにこのFDMA方式を採用しています。FDMAは使用可能な周波数帯域をさらに狭帯域に分割し、分割した周波数を各無線機に割り当てて通信を行う方式です。

通常A局とB局、またC局とD局がそれぞれ無線通信をしようとすると、それぞれCH1、CH2の2つの独立したチャンネル(周波数)が必要になります。2つの独立したCH1とCH2の周波数が必要となるということは電波の効率化につながらないと思えますが、実はその1チャンネル毎の周波数ステップがFMの20kHzステップに対してD-STARでは10kHzステップと通常の1/2に抑えて電波を出しています。これがD-STARが採用しているFDMA方式です。まさに2倍の効率化に貢献しているといえます。簡単そうですが、この帯域幅の狭帯域化には高い技術が要求されます。狭帯域化したステップで通信を行うことがFDMA方式の一つです。


図2 FDMA通信方式のイメージ図

(2) TDMA (Time Division Multiple Access)
日本語では「時分割多元接続」といいます。TDMAはある一つの周波数に対して時間を複数に分割し、分割した時間(タイムスロット)を各無線機に割り当て、その時間内にデータの一部を送り通信を行います。図3に示しているように複数の局が同じ周波数で通信を行います。例えば、A局が送信した後はB局が、B局が送信した後はまたA局といったようにそれぞれ決められた短い時間を微妙にずらせて通信する方式がTDMA方式です。


図3 TDMA通信方式のイメージ図

1台の無線機は割り当てられたタイムスロットをCH1として使用します。別の無線機は別のタイムスロットCH2を使用します。送信する音声やデータは高速に裁断し、それらをスロット1、スロット2としてとびとびに送ります。受信側ではそれらをつなぎ合わせて一つのデータにするといった原理です。

3. FDMA、TDMAのメリット・デメリット

理論的にはFDMAでは、電波の占有周波数を狭めれば狭めるほど多くの局が出ることができます。TDMAでは1スロットの時間を短くすればするほど同様に多くの局が同じ周波数で出ることができます。図4は、チャンネルステップがXkHzの中に4局が運用している状態を表したイメージ図です。


図4 FDMA、TDMA通信方式の多チャンネル化のイメージ

それでは、図4の状態からトラフィック(通信の行われる頻度)が極端に低い状態、つまり1局しか出ていない状態に変化した場合はどうでしょうか。図5(a)はFDMA方式で1局しか出ていないことを示しています。つまり、トラフィックの状態により占有する周波数はその都度変わるのに対し、TDMA方式の場合は、1局の使用でもXkHzの幅を常に確保しておく必要があります。

               


図5 トラフィックが1局の時の占有周波数帯幅のイメージ

とはいえ、デバイスの性能がアップするとTDMAのタイムスロットの数を増すことができるので、1周波数に出ることのできる局数は増加します。FDMAを使った電波の狭帯域化にも限度がありますからTDMAの方が効率アップを図れそうですが、電波の効率化といった根本を考えますと個々の電波の占有周波数帯幅を狭くすることが、世界の電波の効率化の潮流に沿っているように考えています。FBDX

※1 公益財団法人日本無線協会のホームページより引用
※2 解答:1番

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次号は 12月16日(月) に公開予定

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