2015年5月号
ニュース
ニュージーランド アマチュア無線運用記 ~海外運用のコツ~
VK3EHG 堀内洋孝氏は、2015年3月にニュージーランド(南島)各地をレンタカーで旅行し、アマチュア無線の運用を行った。その体験に基づく、海外運用の準備と運用のコツに関するリポートが届いたので紹介しよう。
ニュージーランド滞在中はキャンピングカーを借りて周遊した
●はじめに
海外でのアマチュア無線運用となると、HF帯での運用がメインとなると思います。この場合、無線機本体以外にもマイクロホン、CW運用のパドル、アンテナや同軸ケーブル、インターフェースにロギング用のパソコン、簡単な工具類など、あれこれ考えだすと意外と荷物が多くなり、出発前の荷物の詰め込みには苦労する場面が多くあります。
滞在先の国からパイルアップを楽しむのも海外運用時の醍醐味の一つでもありますが、考え方を少し変えてみてみるのも案の一つです。それは「滞在先国内での交信を楽しむ」というスタイルです。
では、実際のライセンスについて、準備と現地での運用はどのようなものであったかを紹介しましょう。
●ライセンス
アマチュア無線では、当然のことながら「ライセンス」という言葉を避けて通ることはできません。今回訪問したニュージーランドは、2013年に「相互運用協定」が日本と結ばれ、第一級アマチュア無線技士、第二級アマチュア無線技士保有者のみが現地での運用を許可されるようになりました。また90日以内の旅程であれば、事前申請等は不要となります。
いくら登録や申請が不要であっても、運用は現地のレギュレーションを順守の上での運用となります。事前にニュージーランド政府のWebサイトからアマチュア無線運用に関するドキュメント“Radiocommunications Regulations (General User Radio Licence for Amateur Radio Operators) Notice 2013”をプリントアウトし理解を深めました。これは下記のサイトから入手可能です。
http://www.rsm.govt.nz/about-rsm/spectrum-policy/gazette/gurl/amateur-radio-operators
ニュージーランド政府のWebサイトからダウンロードできる、
アマチュア無線運用に関するドキュメントで事前に理解を深めた
●現地情報の収集
著者の場合、まず、その国のアマチュア無線組織・団体のWebサイトを訪問します。多くの場合、Webサイトにはその地域で活動するハムクラブの情報も掲載されていますので、情報量や更新の頻度などから、ある程度その地域のアクティビティも知ることが可能です。
ハムクラブのWebサイトにも現地の情報が満載されています。クラブロールコールの情報、ミーティングのスケジュールも掲載されています。また現地のレピータ情報も得ることができるでしょう。これは主にクラブがレピータの管理者となる場合が多いためです。
●持ち込んだ機材
今回の訪問では持ち込み荷物等の制約から、当初予定していたHF機での運用をあきらめ、小型のV/UHF帯ハンディ機を持参しました。そのほかにもレンタカーでの運用を想定し、スピーカーマイクロホンやシガープラグ用電源、マグネットベースの外部アンテナも用意しました。当然、日本のライセンスもお忘れのないように(日本国以外で特にV/UHF帯を運用する場合、アマチュア無線に許されている周波数帯が異なることがあるので、注意が必要です。また当該国への無線機の持ち込みについても、事前に確認されることをお勧めします)。
今回のニュージーランド旅行で持参したハンディ機とアンテナ類
●実際の運用
海外でV/UHF帯を運用する場合、レピータを経由した交信が中心となります。運用スタイルが日本と若干違うため、戸惑うことがあると思いますが、比較的容易に交信相手を見つけられます。
日本の場合は、V/UHF帯のメインチャンネルでCQ呼び出し、応答があればサブチャンネルに移動、というのが自然なスタイルと思いますが、海外の場合は、自分が住むエリアのローカルレピータを常時ワッチするスタイルが多いように感じられます。
メインチャンネルで交信相手を探すより、レピータにアクセスして交信相手を見つけるほうが効率よい運用が可能でしょう。またローカル局ならではの情報(おいしいレストランや、あまり知られていない観光スポットの情報)も得ることができます。
このためにも、やはり事前のレピータ情報(周波数、トーンの有無、場合によっては運用時間)の収集がポイントとなります。このあたりは自分なりに、アクセスする可能性のあるレピータの情報をプリントアウトし持参するなどの工夫が必要です。
ホテルでの運用はマグネットベースのアンテナを手すりに取り付け
●最後に
現地での運用が不可能な場合でも、あきらめる必要はありません。時間が許されるのであれば、現地のハムクラブのミーティングを訪ね、交流を深めるのも楽しみ方の一つです。海外のハムクラブでもビジターの参加は歓迎されます。場合によってはハムクラブステーションでのゲスト運用が認められる可能性もあります。そのためにもできる限り、現地で有効となるライセンスを持参されることをお勧めします。
(寄稿:VK3EHG 堀内洋孝氏)
参考Webサイト:
・一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)が提供する海外での運用情報
http://www.jarl.org/Japanese/8_World/8-1_overseas/8-1_Overseas.htm
・RSM(Radio Spectrum Management/ニュージーランド政府)が提供するライセンス情報
http://www.rsm.govt.nz/about-rsm/spectrum-policy/gazette/gurl/amateur-radio-operators
・ニュージーランドの無線連盟(NZART)が提供する現地でのビジター運用情報
http://www.nzart.org.nz/info/visitors/