2014年7月号

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移動運用のオペレーションテクニック

JO2ASQ 清水祐樹

第4回 航空機で移動運用機材を運搬するには

遠隔地や離島で移動運用するための交通手段として、航空機が考えられます。この場合、航空機に持ち込むことができる荷物には限りがあるため、機材の運搬方法に工夫が必要です。

荷物が多い場合、宅配便で現地にあらかじめ発送することになります。この場合でも、航空機を使って輸送する区間に荷物を発送する場合には、いくつかの注意が必要です。今回は、航空機で移動運用機材を運搬するためのテクニックを紹介します。

航空機による手荷物の輸送

HFの移動運用では、全長4~5mの伸縮ポール1本を使うとアンテナの設置が容易になります。伸縮ポールは、基本的には宅配便で発送しないで、手荷物として持参しています。その理由は、長さが規定以上の荷物は配達日指定ができないなど、手続き上の制約があるためです。

伸縮ポールは、釣具店で市販されている「釣竿ケース」に入れて持ち運ぶと、手荷物として預けることが可能です(図1)。伸縮ポールや釣竿以外のアンテナも同梱しています。手荷物預かり時に、免責事項の書類への記入を要求されます。基本的には、輸送中の破損に対する補償はありません。


図1 釣竿ケースに入れたアンテナ

釣竿ケースに入れたアンテナは、多数の重い荷物が狭い空間に詰められた状態で航送されるため、輸送中に破損することがありました。そこで、プチプチシートで包んでから釣竿ケースに入れています。

荷物の中身を「アンテナ」と申告したら「壊れやすいものはありませんか」と何回も聞かれたことがあり、以降は「釣竿」と答えています。手続き上は、これで問題が生じたことはありません。航空会社の係員の方には、伸縮ポールは釣竿と同じものに見えるようです。通常の荷物と同様、極端に長いものは不可であることと、総重量の制限があることに注意が必要です。混雑時には手続きに時間がかかりますので、時間に余裕を持って空港に到着するにようにします。

航空機で手荷物として機材を運ぶ場合、無線機の外付け電源としてリチウムイオン電池を使用する場合は、航空機への持ち込みができないため注意が必要です。ニッケル水素電池等で代替可能であれば、あらかじめその用意をしておきます。搭乗前の保安検査で、スーツケース等に電鍵を入れていると、内容物を聞かれることがあります。電鍵の台の部分(金属板)がX線を通さないため、危険物と認識されるようです。例えば「乾電池で動作する精密機器」と申告すると、手続きがスムーズに進みます。

宅配便による荷物の送り方

宅配便で、重い荷物(無線機等)を送る場合、プラスチック製の「衣装ケース」は使ってはいけません。衝撃で簡単に破損します。工具箱の丈夫なもの(図2)で、「踏み台としても使える」などと表示があるものが最適です。プチプチシートをガムテープで貼って袋を作り、内容物はその袋で包んでから入れます。

ある離島宛に、衣装ケースに機材を入れて発送したところ、受け取った時には衣装ケースが大破していたことがあります。内容物をプチプチシートで包んでいたため辛うじて紛失を免れました。宅配便での発送に困るものとして、タイヤベースがあります。これも大型の工具箱に入れて発送しています(図2)。現地でレンタカーを使う場合、タイヤベースがあるとアンテナ設置が便利になるので、これは外せません。


図2 プラスチック製の工具箱に機材を収納した様子。斜めに入っているものはタイヤベース。

アンテナ設置の工夫

移動運用機材を発送するときに、タイヤベースの他に困るものが、ワイヤーアンテナの両端の固定です。釣竿ケースで簡単に運搬できるように、園芸用支柱の一端にフックを取り付けた物を使っています(図3)。地面からの高さは1m少々しか確保できませんが、背の低い草木が生えている地面に突き刺したり、ガードレールの支柱などに差し込んだりして使うことができるので、設置する場所の選択肢が広がります。


図3 園芸用支柱の先端にフックを取り付けた物。フックは太い針金を曲げて作った。
これを使ってダイポールアンテナなどの先端を地面から浮かせて固定する。

離島移動で知っておくと役立つこと

航空機を使った移動運用では、離島で運用することも多々あります。その場合の注意として、故障等により現地で部品が必要になっても、入手困難であることなどが挙げられます。筆者の経験から、その対策をいくつか列挙します。
1. 無線機が故障すると、せっかく移動しても何もできなくなります。荷物に余裕があれば予備を用意します。
2. 電源関係のトラブルも対策が重要です。電源の予備、ヒューズ等も持参します。
3. 離島移動の場合、地面の導電率が高いために、特にローバンドではアンテナの共振周波数が通常より低くなることがあります。アンテナを短くして補正します。
4. アンテナが塩害により腐食することがあります。運用終了後は、真水でアンテナを洗浄します。

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