2016年5月号

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連載記事

日本全国・移動運用記

JO2ASQ 清水祐樹

第8回 北海道で大移動【計画編】

北海道の大自然に囲まれて伸び伸びと移動運用することは、とても気持ちが良いものです。北海道はとても広く、移動に時間がかかるため、本格的な運用は長期間の休みが取れる時期に限られます。そこでゴールデンウィークでの運用を計画しました。

これまでの経験から、北海道ならではの移動運用の楽しみ方や、計画や準備で注意していることなどをご紹介します。

計画は余裕を持って

長期間の運用になるため、まずは安全第一で移動運用を行います。時間に余裕を持って移動すること、体調維持のために計画的に食事・休養をとることが重要です。

・フェリーを利用して、行き帰りを楽にする
筆者は自家用車でフェリーに搭乗して北海道に上陸し、北海道内では自分の車で移動しています。行き帰りに時間がかかりますが、その間はフェリーで休養できます。従来は、新日本海フェリーの敦賀-苫小牧便を利用していました。今年は運行日の都合で、帰りのみ舞鶴-小樽便に変更しました。

・時間に余裕をもたせる
車で移動する場合、移動距離が長く、予想より時間がかかることがあるため、十分な時間の余裕を持って行動します。北海道の多くの道路は制限速度60km/hで、市街地ではそれ以下の場合があり、スピードを出し過ぎないよう注意が必要です。

夜間に山間部を走行する場合、霧のため速度が出せない場合もあります。また大型動物の飛び出しにも注意が必要です。地域によってはガソリンスタンドの数が限られており、ガス欠の心配もあります。給油は計画的に行いましょう。

・装備について
北海道では場所によっては猛烈な強風が吹き荒れます。山や海岸では、昼間は無風でも、夜になると強風になることがしばしばあります。強風に耐えられるような軽量のワイヤーアンテナ等を主に使用し、大型のアンテナは天候が安定している時に限って使用するようにしています。また、予備のアンテナや修理用の工具を持参すると良いでしょう。

気温の差も注意が必要です。ゴールデンウィークの時期は気温の変化が激しく、道北や山間部で最低気温が低い日は0℃以下、道央や道南で最高気温が高い日は25℃以上になります。防寒対策だけを考えていると、急に気温が上がって体調を崩すことがあります。衣類は様々な状況に対応できるように考えます。荷物の量に制限がある場合、防寒具を現地調達することも考えられます。また、4~5月でも道北や道東では雪が降るので、タイヤチェーンを持参しています。

運用計画の立て方

北海道で国内向けにHFを運用する場合、強力なEスポが出る場合を除いては、伝搬の時間的変化がだいたい決まっているので、それに合わせてHFの運用計画を立てると多くの局と交信できます。電離層の状態が良くない時間帯・周波数で無理に運用しても、あまり呼ばれません。一般に西日本と比較して、Eスポが出る頻度は低くなり、DX局との交信も難しくなります。ただし、本州では聞こえないDX局が北海道で聞こえる場合も稀にあります。

北海道の日の出は早いです。ゴールデンウィークでは午前4時頃から明るくなります。この時間は国内向けに7MHzが良く聞こえる日と、あまり聞こえない日の差があります。7MHzは9時頃から国内が聞こえなくなってきて、国内向けに最適なバンドは10MHzに移行します。

11~13時頃は、国内向けの伝搬が悪くなり、どの周波数帯もパッとしないことがあります。思い切って昼食や観光に出かけても良いでしょう。ただし、午前中のコンディションが非常に悪くても、昼過ぎに突然良くなることがあり、油断できません。

15時頃からは国内向けの7MHzが聞こえるようになってきます。そして10~14MHzの伝搬が安定するようになります。しかし、17時を過ぎて日没が近くなると、北日本から順に近距離がスキップする様子が分かります。

日没から20時頃までの7MHzは、国内が強力に入感して猛烈なパイルアップになります。3.5MHzは一晩中安定して聞こえる日と、不安定で一部のエリアしか聞こえない日があります。1.9MHzは北海道の日没から30分~1時間後が最も安定します。

町村での移動運用

国内向け移動運用では、市で運用することを対象としたJCCサービスが最もメジャーなものです。しかし、北海道では町村の数が多く、また近くに市が存在しない地域もあるため、郡を対象としたJCGサービス、または同じJCGの中で場所を変えて運用する町村サービスも、多くの需要があります。デジタルモードや1.9MHzなどは運用者が少なく、運用すれば多くの局から呼ばれると思われます。

車中泊を快適にする方法

北海道では宿泊施設が少ない地域もあり、そこで夜遅くまで運用するためには、車中泊をせざるを得ない場合があります。車中泊を快適にして、十分な休養を取るために実践していることを紹介します。

・寝袋は厚手の物を使用し、シートの上にタオルなどを敷いてできるだけ平面に近い状態を作り、その上で寝るようにします。筆者が車中泊をする時は、運転席を使用しています(図1)。寝る場所が傾斜していても、慣れればあまり気になりません。寝ている間に姿勢が変えられると楽になります。

・寝る時に車内が冷える場合、マスクを着用します。頭にかぶるニットの帽子や、フード付きのジャケットを活用して顔の露出を少なくします。

・トイレがある場所(道の駅、休憩施設、鉄道の駅やコンビニの近く)で車中泊するようにしています。水分をこまめに摂取し、水分不足によるエコノミークラス症候群を予防します。


図1 車中泊に対応した車内の様子。荷物は全て助手席および助手席の後ろに配置し、車中泊の時には運転席を後ろに倒してスペースを確保する。

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