2015年11月号

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連載記事

日本全国・移動運用記

JO2ASQ 清水祐樹

第2回 SA・PAで移動運用

自動車で長距離を移動すると、高速道路等のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)に立ち寄る機会が多くなります。待ち時間や長距離運転で疲れた時の気分転換に、ここでちょっと運用してみようと考えることがあります。今回はSA・PAでの移動運用の様子や、特に印象に残っている所を紹介します。

SA・PAの運用では、アンテナなどの制約があり、その中で工夫して運用する楽しみもあります。また、珍しいQTHから手軽に運用できる場合もあり、コンディションに助けられて予想外のパイルアップになることも珍しくありません。

SA・PAでの運用の特徴

SA・PAで車から運用する場合、最大の特徴はアンテナの制約です。駐車スペースからはみ出さないよう、ホイップアンテナで運用することが基本です。

HFの場合、走行中に装着可能な長さ1.3m程度のアンテナでは利得が低いため、釣竿などで1/4波長に近いアンテナを自作する局が多いです。7~50MHzは2013年4月号の記事で紹介した長さ2.5mの自作アンテナを使っています。ホイップアンテナで多くの局と交信するためにはCWが有利ですが、長いホイップアンテナを十分に調整して、50W近い出力を確保できれば、7MHz SSBでも楽しめると思います。また、RTTYでの運用も多くの交信が期待できます。


図1 パーキングエリアで運用中の様子

HFのハイバンドで、モービルホイップからDXを狙うことも可能です。ただ昨今の電離層のコンディションでは、なかなか難しいと思います。電源の制約も重要です。発電機を使うことは困難ですので、バッテリー運用が主体となります。アイドリングしないで電源を供給できればベターです。

その他、ロケーションの制約があります。SA・PAでは電波の飛びそうな場所を選んで運用することができません。中にはトンネルが連続する場所の合間にPAがあるような場合もあります。しかし、HFの電波はある程度の山は越えていく(あるいは、どこかで反射する)ので、電離層のコンディションが良ければ運用にチャレンジしてみましょう。短いホイップアンテナは打ち上げ角が低くなり、周囲の地形の影響を受けやすくなるので、長いホイップアンテナを使うか、もし可能であれば逆L型のようにワイヤーアンテナを展開して、打ち上げ角を高くすれば、周囲の地形の影響を受けにくくなります。

運用時の注意点

・ハイブリッド車や、アイドリングしている大型車がノイズ発生源になります。アースやバランを工夫する、ノイズブランカーを調整するなどで、これらのノイズは軽減できますが、どんな場合でも完全にノイズの影響を受けなくすることは難しいと思います。
・車の直近を通行する人が多いので、送信中のアンテナに人が接近しないように注意しましょう。
・大型車用スペースに小型車を駐車しないなど、駐車のルールを守って運用しましょう。

SA・PAからの運用を対象とするアワード

高速道路のSA・PAからの運用を対象とするPSCWというアワードがあります(http://outdoor.geocities.jp/jr3lcf/pscw/pscw.htm)。このアワードは 7/10MHz CWでのQSOのみ有効ですが、5~7月のEスポシーズンや、8エリア・6エリアからの運用であれば14MHzや18MHzも期待できます。

2か所にまたがるSA・PA

2つの市町村にまたがるSA・PAがいくつかあります(0エリア・諏訪湖SA、6エリア・基山PA下り線など)。駐車スペースに空きがあれば、途中でQTHを変更して運用するのも面白いです。

印象に残っている移動運用

・8エリア 比布大雪PA(北海道上川郡(上川)比布町)
JCG01023の上川郡(上川)は町村の数が多く、それぞれの町村との交信を狙っている局が多いようで、どの町村で運用してもパイルになります。道北方面に行く場合はここを通ることが多く、時間があれば運用するようにしています。
・7エリア 安達太良SA(福島県本宮市)
広い駐車場があります。また、山岳移動局とV/UHFで交信したことがあります。
・2エリア 飛騨白川PA(岐阜県大野郡白川村)
1郡1村で、いつもよく呼ばれます。村の中心部で運用しようとすると、谷底にあるために電波の飛びそうな場所が少ないため、この場所は重宝します。
・4エリア 福石PA(岡山県備前市)
山を切り開いたような場所にあり、ロケーションは良くありません。初めて運用した時に偶然コンディションが良かったこともあり、大パイルになった思い出があります。HFはロケーションにあまり関係なく、呼ばれる条件が揃えばパイルになることを知ったきっかけの場所です。
・6エリア 基山PA下り線(福岡県筑紫野市・佐賀県三養基郡基山町)
PAとしては規模が大きく、同じPAの中で県をまたぐ移動ができます。

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