2016年4月号

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連載記事

日本全国・移動運用記

JO2ASQ 清水祐樹

第7回 沖永良部島移動

沖永良部島は鹿児島県の南方にある島で、大島郡知名町と和泊町の2町があります。この2町の運用リクエストを以前から頂いていました。2町とも全く交信したことが無いという方も多く、運用実績が少ない様子でした。そこで、気候が安定しており、他の観光行事と重なって混雑する心配が少ない3月に移動予定を組むことにしました。

交通・荷物の輸送

飛行機で移動し、現地でレンタカーを借りることにしました。鹿児島県の離島に飛行機で移動するには、鹿児島空港からアクセスすることが一般的です。筆者は中部国際空港-鹿児島空港、鹿児島空港-沖永良部空港のルートを利用しました。この2便は航空会社が違うため、乗継割引などの特典が適用できず、運賃が高くなることが難点です。

運用設備はレンタカー移動セット(2015年5月号で紹介)で、大きな荷物は事前に宅配便で発送しました。沖永良部島は比較的大きな島で、日曜・祝日も宅配便を扱っているため、荷物の発送で特に困ることはありませんでした。その他、離島での移動運用で事前に調べておくこととして、夜間に飲食ができるか、現金が必要になった時に金融機関が使えるか、などがありますが、これらもある程度は整備されており問題はありませんでした。宿泊はホテルを利用しました。

運用計画

2町から効率良く運用するため、また、Eスポが発生した場合にどちらの町からも運用できるようにするため、次のように計画を組みました。
・3月18日(金)夜 和泊町で運用開始。和泊町7MHzで可能な限り運用しておき、翌日のパイルアップを緩和する。また、和泊町1.9/3.5MHzも押さえておく
・3月19日(土)午前 コンディションはあまり良くないと予想し、和泊町7/10MHzを重点的に運用する。
・3月19日(土)午後 昼休み後に知名町に移動、各バンドで運用する。夕方にハイバンドが良くなるタイミングを逃さない。夜は知名町1.9/3.5MHz。
・3月20日(日)午前 知名町7/10MHzを重点的に運用する。
・3月20日(日)午後 和泊町のハイバンド対応。コンディションの変化に合わせてどちらの町からも運用できるような体制にしておく。
・3月21日(振休)午前 運用時間が少ないので、リクエスト対応の予備。

実際の運用は、下記の変更以外はほぼ予定通りにできました。
・19日午後の知名町1.9/3.5MHzのコンディションが悪く、20日に再度運用した。
・和泊町のハイバンドがなかなか開けなかったため、21日の午前は和泊町で運用した。

設営

沖永良部島の市街地は島の南側にあり、北側には山などがあって本州向けには電波が飛びにくいのではないかと考えていました。当初は島の北側で、本州側が海になっている場所で運用しました。しかし、市街地から島の北側まで移動するには時間がかかり、また島の北側には商店などが少ないため、途中からは市街地に近い島の南側で、周囲が開けた場所を探して運用することにしました。

舗装されていない場所で運用するとレンタカーの車内が汚れるので、運用は舗装された公園の駐車場など、地面がしっかりした場所で行うことにしました。その様子を図1に示します。


図1 公園の駐車場で運用中の様子

運用の状況

朝はホテルで朝食をとり、8時から運用を開始しました。日の出の時刻が遅いため、これより早い時間に運用しても、国内向けにはあまり良い成果は得られないと思われます。この時間は国内向けには7MHzしか開けていません。次第にコンディションが上がり、10MHz、14MHz…と順番に上のバンドが聞こえるようになってきました。各バンドでものすごいパイルで、1バンドで100局を超えることが何度もありました。Eスポの出現は一度もなく、ほぼF層の伝搬が中心でした。例えば14MHzで激強でも、1つ上の周波数の18MHzでは全く聞こえない、ということが多々ありました。伝搬的には沖縄本島で運用する場合とほぼ変わらないような印象です。

夜のローバンドは、ノイズが無い時にはこちらが明るい18時台でも7・8エリアまで飛んでいきました。一方、ノイズが発生すると、呼ばれているのは分かるけれど一発で信号を取れないことが多く、ノイズブランカーやアッテネーターを駆使して、信号がひずんでも構わないので強い信号が浮いてくる状況を作り出して対応しました。そのため弱い信号が拾いきれず、交信の機会を逃した局も多かったと思います。低緯度地方では、どうしても夜遅い時間になるとノイズが増えてきます。

7MHzや3.5MHzはコンディションが良いと国内の広い範囲が開けて、ほぼ同じ強さの信号が重なってパイルになり、1局だけピックアップすることが難しくなりました。逆に、14MHzや18MHzでは各局の信号強度が違うため、パイルの中での信号の分離は容易でした。

サテライト(衛星通信)は、本州と距離が離れているためドップラーシフトによる周波数の変化が大きく、慣れるまでかなり手間取りました。
DX局とも多数の交信ができました。本州での運用の違いは、3.5MHzでDXとの交信比率が多かったことが挙げられます。
50MHzのリクエストが非常に多かったのですが、残念ながら開けることはありませんでした。

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