2016年6月号

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日本全国・移動運用記

JO2ASQ 清水祐樹

第9回 北海道で大移動【前編】

今年のゴールデンウィークも、北海道で長期間の移動運用を行いました。フェリーで自分の車を持ち込み、無線機、アンテナ、バッテリー、衣類、最低限の食料などを積み込んで移動するものです。今年は天候に恵まれず、雨や強風、時には雪にも悩まされる移動でした。また、電離層のコンディションも、前半は何回かEスポが発生したものの、5月4日から8日は非常に悪い状態でした。

そんな中、予定通りに移動運用を終えることができました。今回の移動運用のハイライトを紹介します。

雨や雪で大荒れの序盤

4月27日の夜に出発し、敦賀からフェリーに乗船。28日の夜に苫小牧に到着しました。フェリーはかなりの揺れがあり、現地は大荒れの天気であることは予想ができました。船内のテレビで天気予報を見て、雪の予報に驚きました。

到着すると激しい風雨で、冷え込みも厳しくなってきました。最初の運用地である厚真町で運用場所を探し、雨と寒さ対策の重装備でロングワイヤーアンテナを展開。叩きつけるような冷たい雨の中、ローバンドの運用を開始しました。

運用中にアンテナが引っ張られるような奇妙な音がして、マッチングが合わなくなりました。懐中電灯を照らしてみると、キツネのような動物がアンテナに引っかかっており、様子を見ていると、すぐに逃げていきました。

場所を移動して車内で仮眠の後、翌朝から運用を再開しました(図1)。7MHzは午前6時台が国内向けのベストタイムのようで、安定した伝搬でよく呼ばれます。Eスポの気配は無く、昼間は7MHzと10MHzだけしか国内は聞こえませんでした。


図1 雨の中での運用の様子

次第に風が強くなり、また雨やみぞれが降るようになりました。気象情報を見ると風速10mを超える強風が吹いています。悪天候で帰りの運転が心配になり、29日の夜はローバンドを運用し
ないで早めに宿に到着しました。

30日は朝から断続的な雪となりました。道路の電光掲示板を見ると路面温度は高く、積もる心配は無さそうです。無線の方はコンディションが相変わらず悪く、国内向けは7MHzも10MHzもあまり聞こえず、交信数は伸びませんでした。午後からは天気が回復するとのことで、天候が回復したタイミングで峠越えの降雪区間を一気に通過しました。平地に下りると雪は無いものの、相変わらずの強風で、アンテナの設置ではロープを追加して対応しました。

音更町は北海道で最も人口が多い町です。しかし無線のアクティビティはあまり高くないようで、リクエストを何件か頂いていました。広い町なので運用場所に困ることはなく、川の堤防上
で運用しました(図2)。コンディションは比較的良く、多くのQSOができました。


図2 音更町での運用の様子

中盤は帯広周辺で

芽室町は公園の駐車場で運用しました。ここではEスポが発生し、28MHzまで多くのQSOができました。28MHzや50MHzでEスポが発生した場合、コンディションが変化してすぐに聞こえなくなることがあるので、いかにパイルを短時間で捌くかが腕の見せ所です。この時は50MHzの入感はありませんでしたが、Eスポのパイルをテンポよく捌いていると、前日までの悪天候も忘れて無線の運用に満足できるひと時です。

帯広市は市街地に近い場所で運用しようと考え、十勝川公園という河川敷の広い公園に移動しました。サッカー場が何面もある北海道らしい広大な公園です。そこで偶然、お近くの方とアイボールすることができました。

今回はJCG01051中川郡(十勝)のリクエストが多く、中川郡(十勝)の4町の全てで運用することにしました。そのうちの幕別町と豊頃町は境界付近で運用しようと考えました。行ってみると南東方向が小高い丘になっており、本州方向に電波が飛びにくいような気がしました。そこで境界から数km離れた場所で運用することにしました(図3)。

周囲は見渡す限りの畑です。このように民家から離れた場所では、数年前までは携帯電話・スマホが圏外になることが多く、場所は良くても圏外のため運用を断念することがありました。しかし、現在では平地であればほぼ利用可能となっており、運用場所で困ることは少なくなりました。

コンディションの方は、7MHz CWのリクエストが多かったため、できる限り運用するようにしました。しかし、お昼休み前後は国内向けの伝搬が悪くなり、朝の早い時間か、夕方~夜がベストタイムです。14MHzの近距離が開けてくると、すぐにパイルになりました。コンディションが上がり、18MHzが良くなると、ライセンスの関係で18MHzからパイルに参加する局が増えるため、パイルがさらに厚くなりました。このようにコンディションに合わせて運用するバンドを選択し、多くの局とQSOできるように対応することが一つの楽しみ方です。


図3 周辺が開けた場所での運用の様子

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