2013年4月号
連載記事
移動運用便利グッズの製作
JO2ASQ 清水祐樹
第1回 7~50MHz釣竿ホイップアンテナ
マイカーによるHFの移動運用では、垂直系のホイップアンテナを使うことで設営の手間を省くことができ、スペースを取らずに済む利点もあります。そこでタイヤベースで釣竿を立て、エレメントとなるビニル線を支持する方法が考えられます。しかし実際には、ローディングコイル、アンテナチューナー、アースの配線が必要です。さらに手間を省くために、釣竿とコネクタ、コイルを一体化して、モービルアンテナ基台に差し込むだけで運用できるアンテナを考えました。私が移動運用で最も多く使っているアンテナです。
メーカー市販のHFのマルチバンドモービルホイップアンテナは、付けたまま走行できることを条件としているため、全長が2m前後です。この長さでは、7MHzや10MHzで力不足を感じます。この自作アンテナは走行中に使用しないため、少し長い全長2.5mの釣竿を使い、タップの切り替えで7~50MHzまで使用可能にしました。アースを工夫すれば、自動車以外でも使用可能です。
構造
本体には全長270cmのグラスファイバー製の釣竿を使いました(図1)。1000円程度で入手できます。カーボンファイバー製の高価な釣竿は導電性があるため、この用途には向きません。釣竿に0.75mm²のビニル線(AC平行コードを裂いて使用)を沿わせてエレメントにしました。釣竿の先端の一部は必要な長さでカットし、折れないようにピアノ線を埋め込みます。
(図1)全体図
コイルのタップ位置はバンド別に決めておき、みの虫クリップで切り替えます(図2)。コイルの任意の位置にタップを取る方法では、コイルをスペース巻きにする必要があり、コイルが大型になります。コイルは直径20mmのアクリルパイプに0.3mm²のビニル線(7MHzのみ、これよりさらに細い)を巻き、タップ部分はアクリルパイプに3mmの穴を開けて卵ラグを内側からビス止めし、そこにハンダ付けして固定しました。
全長は257cmで、28MHzではコイルを入れず1/4波長に対応します。周波数が下がるにつれてコイルの巻数が増えます。50MHzはコイルを入れず、エレメントの途中をギボシ端子で切り離して1/4波長にします、7MHzと10MHzは周囲の環境によって共振周波数が変化しやすく微調整の必要があるため、タップを2か所に取りました。ギボシ端子の支持は鉢底ネットを使用しました。
(図2)アンテナ配線図
釣竿とコネクタの取り付け方法
釣竿とM型コネクタは、アルミパイプを介して連結しました(図3)。釣竿の底部の「石突き」を取り外すと、ちょうど外径14mmのアルミパイプが通りました。アルミパイプにピッタリ合うM-Pコネクタとして10D-FB用を使いました。アルミパイプをM-Pコネクタに差し込み、コネクタのハンダ穴からアルミパイプに小さな穴を開け、タッピングビスを通してアルミパイプが抜けないようにします。ハンダ穴からハンダを流し込み、ビスの頭をハンダで埋めて、コネクタとアルミパイプを固定しました。アルミパイプに穴を開けて配線用のビニル線を通し、一端をコネクタのセンターピンにハンダ付け、その後に釣竿に差し込んで連結しました。
(図3)コネクタの取り付け方