2016年12月号

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SEANETコンベンション2016参加記

JA3AER 荒川泰蔵

第44回SEANETコンベンションは、2016年11月18日から4日間、タイのパタヤ(Pattaya)にあるPattya Discovery Beach Hotelで開かれた(写真1)。国別ではタイでの開催が最も多く、今回は9年ぶりの10回目、パタヤは2000年の第28回大会に次いで2回目になる。
(紹介する写真は、主催者RASTや参加者から提供頂いたものも含んでいる)


写真1.(左)海岸から見える「PATTAYA city」のサイン。(右)会場となったホテル。国旗はプミポン国王の死去で半旗になっている。

筆者は関西からの参加者と共に、関西国際空港から前日の夜行便で出発しバンコクの空港には早朝到着した。空港で各地からの参加者と合流し、主催者RAST(Radio Amateur Society of Thailand)のメンバーの出迎えを受けて、バスで約2時間のパタヤに向かった。会場に到着した時は既に受付が始まっていた(写真2)


写真2.(左)ホテル内に設けられた受付に並ぶ参加者。(右)受付の背後で忙しく働くスタッフ達。

今回の参加者は約150名で、海外17ヶ国約110名の内、日本からは23名と最多であった。フィリピンから参加のDU1YV(JA2KLT)丸山さん、インドから参加のVU3OTK(JM1NCA)太田さん、タイ在住のJM1KNQ阿部さんを加えて日本人は26名であった。阿部さんはRASTのメンバーとしてスタッフに加わっておられたので、日本人にとっては心強かった。また、看護師がスタッフに加わって健康状態を見守ってくれていたり、スタッフで救助隊を作って非常時に備えてくれているのも、参加者にとっては安心であった(写真3)


写真3.(左)参加者の血圧を測る看護師。(右)AEDなどを準備して待機する救助隊。

初日18日(金)、早速コンベンションの特別局HS44SEAを訪ねてみた。12階の1室に設置されていたHS44SEA局のリグはIC-7300が2台、FT-2000とFT-2900がそれぞれ1台で、コンベンションの期間中、参加者にはゲストオペを許していた。アンテナは屋上にHF3バンド用8エレ八木、7MHz用水平ダイポールの他、VHF用の垂直アンテナが上げられていた(写真4)


写真4.(左)13階建てのホテルの屋上に上げられたアンテナ群。(右)HS44SEAでCQを出す筆者。

歓迎夕食会は海岸沿いにある海鮮レストランJeJuk3で開かれた。海に沈む夕日を見ながら賑やかに食事を楽しんだ(写真5)


写真5.海岸沿いの海鮮レストランの屋外デッキに設けられたテーブルで、食事を楽しむ参加者達。

そこでRAST副会長HS0ZDX, Tonyさんの司会により、会長HS1FVL, Jackさんが歓迎の挨拶をし、スタッフを紹介した(写真6)


写真6.歓迎の挨拶をするRAST会長のHS1FVL, Jackさん、その右側の背の高い人が副会長HS0ZDX,Tonyさん。後ろに並んでいるのがスタッフの皆さん。

2日目19日(土)の午前中のプログラムはセミナーで、3つの講演が行われた。会場には去る10月13日に死去されたプミポン国王の遺影を飾った記帳台が設けられていて、参加者は国王の冥福を祈り記帳した(写真7)


写真7.(左)HS1Aのコールサインで知られるプミポン国王の交信中の写真(HS1ASC, Thidaさん提供)。(右)会場に設けられた祭壇で冥福を祈り記帳する参加者。

最初の講演はHS1IFU, Nimitさんによる「衛星通信用の自動追跡アンテナシステムの製作」であった。YAESUのシステムはFBだが価格が高いので自作したと、プログラムを含めなかなかのアイデアマンである。続いて元RAST会長HS1YL, Mayureeさんの「SEANETの歴史」と題する講演であった。会場では英文の資料が配布されたが、講演はタイ語であったので、HS0ZDX, Tony さんが英語への通訳をしてくれた(写真8)


写真8.(左)講演するHS1IFU, Nimitさん、米国の国籍とK6XOXのコールサインでFCCの免許を持っているとか。(右)講演をする元RASTの会長HS1YL, Mayureeさんと通訳をするHS0ZDX, Tony さん。RASTの創始者で会長であったご主人HS1WR, Kamchaiさん亡き後、RASTの会長をMayureeさんが引き継がれた。講演では第1回のコンベンションからを振り返り、時々目を閉じて当時の様子を思い出しながらの講演であった。

最後の講演は9M2CQC, Sionさんの「ARISS」であった。彼は父親の9M2CCO, Dr. C. O. Chowと毎年コンベンションに参加している熱心なハムである(写真9)


写真9.(左)講演をする9M2CQC, Sionさん。(右)講演を熱心に聴講する参加者達。

そして、午後は3台のバスに分乗してパタヤの水上マーケットに出かけ、買い物などを楽しんだ。途中でスコールに出会い、ずぶ濡れになるハプニングもあった(写真10)


写真10.(左)水上マーケットで買い物をする参加者。(右)水上マーケットで観光客を乗せる水陸両用車。

コンベンションの最大のイベントであるGala Dinnerは、HS1FVL, Jackさんの開会の挨拶で始まり、主賓としてNBTC(National Broadcasting and Telecommunications Commission : 国家放送通信委員会)の長官Gen. Sukit Kamasunthornさんの挨拶があった(写真11)


写真11.(左)開会の挨拶をするHS1FVL, Jackさんと、(右)来賓の挨拶をするNBTCのGen. Sukit Kamasunthornさん。彼は4年前にNBTCの幹部や行政のスタッフを率いて来日し、大阪狭山ラジオクラブの活動を視察後、アイコム本社を訪問したことを覚えてくれていた。

続いて舞台では伝統的なタイ舞踊で歓迎してくれた(写真12)


写真12.(左)カラフルな衣装を着け、アクロバットを交えてのパフォーマンス。(右)2人の男が両手に刀を持って戦う勇猛なパフォーマンス。

主催者RASTから参加国へ参加を記念する盾が贈られた。そして参加者からは主催者に対して記念品やお土産を手渡した(写真13)


写真13.(左)日本の参加者を代表して、筆者がGen. Sukit Kamasunthornさんから参加記念の盾を受け取った。(右)RASTの会長HS1FVL, Jackさんに、JA3IBU逵さんがお土産(アンテナ・アナライザーCAA-500 MarkⅡ)を手渡した。またJA4DPL吉房さんが別の1台を抽選会の賞品に寄贈して、会場の参加者から喜ばれた。

恒例の国別パフォーマンスで、日本はJE3BEQ宮本さんのバイオリン独奏に続き、日本人全員で「故郷」と「上を向いて歩こう」を合唱した(写真14)


写真14.(左)日本から持参した愛用のバイオリンを演奏するJE3BEQ宮本さん。(右)日本人全員での合唱。

豪華な賞品の当たる抽選会も楽しみの一つである。スタッフが抽選箱から紙を引きコールサインを読み上げるたびに、歓声とため息が聞こえた(写真15)


写真15.(左)壇上で抽選を行うスタッフと、(右)抽選に当たってハンディ機を受け取り、嬉しそうなJK3IYB西さん。

各国のパフォーマンスの最後は主催国タイ。スタッフ全員で歌った。そしてSEANETのバナーを次回の開催地カンボジアでコンベンションを主催するインド人グループに引き継いだ(写真16)


写真16.(左)壇上に上がったRASTのスタッフ達。(右)9M2KN、Dr. Kenさんの立ち合いで、HS1FVL、JackさんからVU2KKZ、RajaさんにSEANETコンベンションのバナーが引き継がれた。

3日目20日(日)は朝食のあと、3台のバスでNong Nooch Gardenに出かけた、中国の援助で出来た広大なテーマパークで、内外からの観光客で賑わっていた。最初は劇場の舞台に繰り広げられる華やかなショーを楽しみ、その後エレファント・シアターに移動して、良く訓練された象のパフォーマンスに拍手を送った(写真17)


写真17.(左)象も出演するステージでの華やかなショー。(右)訓練された象が種々のパフォーマンスを披露する広いエレファント・シアター。

パーク内で、エレファント・シアターの観覧席を利用して、記念の集合写真を撮影し、各所でコンベンションの横断幕を広げて、思い思いのグループ写真を撮っていた(写真18)


写真18.(左)参加者全員の集合写真と、(右)日本人参加者のグループ写真。

広大なテーマパークの全貌はわからないが、パーク内で昼食を済ますことになり、それぞれのグループがテーブルを囲んでバイキングでの食事を楽しんだり、パーク内の散策を楽しんだりしていた(写真19)


写真19.(左)インド人のグループのテーブルを訪ねると、次回のコンベンションの議論中で、それに引き込まれた。(右)今では使われなくなった英国の電話ボックスも、これだけ並べられればテーマパークのオブジェになる。

昼食を済ませて再びバスで移動した先はViharn Sien博物館であった。パタヤで開かれた2000年のコンベンションでも案内された記憶があるが、中国のお寺を思わせる建物に中国の仏像などのコレクションが沢山並べられていた(写真20)


写真20.(左)Viharn Sien博物館の入口と、(右)博物館の内部の展示品の一部。

次はそこからほど近いブドウ畑の中にあるワイナリーSilverlake Vineyardに案内された。ここで作られたワインの試飲や、テラスで演奏されるエレクトーンの調べを楽しんだりして時を過ごした。参加者の中にはエレクトーンを演奏したり、それに合わせてダンスをする人もいて、アマチュア無線以外の隠れた才能を見せてくれた(写真21)


写真21.(左)ワイナリーSilverlake Vineyard入口と、(右)ヤードのテラスでエレクトーンを演奏する参加者。

この日の最後は、街が一望できる回転式タワーレストランでの送別夕食会であった。残念ながら日没後で街の光しか見えなかったが、それぞれのテーブルで食事を楽しみながら歓談した。

最終日21日(月)はホテルでの朝食を最後に、参加者達は来年のカンボジアでの再会を約束し、RASTのメンバー達の見送りを受けながら三々五々帰国の途についた。尚、来年のカンボジアでのコンベンションは2017年11月16日から4日間、Siem ReapのHotel Sokhalay Angkor Resort and Spaで開かれる予定である。www.seanet2017.comで、その詳細を見ることが出来る。尚、2018年はインドネシアのJogJakarta(YogYakarta)での開催が決まっている。

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