2013年5月号
連載記事
海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~
JA3AER 荒川泰蔵
その2 20世紀後半の概観
20世紀の無線通信の発展
マルコーニやポポフによって無線通信が始まったのは19世紀末であるから、無線通信はまさに20世紀に開発が進み発展してきたものである。無線100年の1995年に筆者は英国に駐在しており、9月5日から3日間、IEE(The Institution of Electrical Engineers)主催で、ロンドンで開かれた100年記念のコンファレンスに参加する機会を得た。9月5日にはマルコーニを描いた無線通信100年の記念切手も発行され(写真1)、マルコーニの令嬢(Princess Elettra Marconi Giovanelli)とお孫さんにもこのコンファレンスで会うことができ(写真2)、日本から参加して講演された東海大学教授(当時)の故若井登教授にも会うことができた。
(写真1)IEEのロゴ入りの封筒に、マルコーニを描いた無線100年記念切手を貼った実逓 (1995)
(写真2)マルコーニの令嬢とお孫さん。右は元4U1UNの会長HB9RS, Dr. Max C. deHenseler
若井教授にそのとき撮影した写真を送らせて頂いたが、後にご自身が監修された書籍「無線百話」(無線百話出版委員会編、クリエイト・クルーズ1997年7月10日発行)を署名入りで送ってくれた(写真3)。この500余ページからなる書籍には、「マルコーニから携帯電話まで」というサブタイトルがあり、英語では「CENTENIAL OF RADIO」とあるので、「百話」には「百年」を重ねているものと思っている。アマチュア無線については「アマチュア無線で世界の輪」と題して僅か8ページの記述しかないが、書籍全体では無線通信100年の歴史がよくまとめられている。
(写真3)若井登教授監修の書籍「無線百話」の表紙 (1997)
筆者もフェローメンバーである米国で最も古いラジオクラブRCA(The Radio Club of America, Inc.)は2009年にその100周年を祝っている(写真4)。まさに20世紀は無線の最初の100年である。
(写真4)RCAの機関誌、RCA 100年記念号の表紙 (2009)