2016年8月号
テクニカルコーナー
IC-7300をタブレットからワイヤレスコントロールする方法
JK3AZL 高岡奈瑞
IC-7300とリモート運用を可能にするソフトウェア「RS-BA1」の導入でハムライフが楽しくなりました。今回は自宅での運用をさらに快適にする、タブレットを使ってIC-7300をワイヤレスコントロールする方法をご紹介します。
IC-7300をワイヤレスコントロールしたい理由
IC-7300を入手しましたが、我が家の3階シャックはエアコンがないため、エアコンのある他の部屋からIC-7300の様子を確認したい、と思うようになりました。
メーカーのWebサイトには「1階リビングのパソコンで2階の無線機を自在にコントロール」と紹介されていますが、IC-7300を離れた部屋から接続するには2台のパソコンが必要です。
メーカーWebサイトに掲載された自宅内のリモートコントロールイメージ。
かなり長いUSB延長ケーブルも市販されているので、1台のパソコンでIC-7300に離れた場所から接続できそうですが、ケーブルを引き回して家中移動するのはとても面倒です。第一、移動中のケーブルは愛猫たちの攻撃対象になりそうです。またAndroidタブレットからID-5100をワイヤレスコントロールする快適さに慣れると、IC-7300だってタブレットでワイヤレスコントロールしたい!と思うようになりました。
IC-7300をパソコンに接続するにはUSBケーブルが必要。
USBケーブルを無線化しタブレットで操作できれば、便利になるはず!
USBデバイスサーバという選択肢
ネットワーク関連機器に、プリンタやハードディスク、DVDドライブなどUSBインターフェースを持つ機器を無線化して利用できるようにする無線LAN対応の『USBデバイスサーバ』と呼ばれるアダプタがあります。
IO DATA社のUSBデバイスサーバ。パソコンショップやアイコムダイレクトでも入手可能。
USBデバイスサーバの動作確認済み機器一覧に『アマチュア無線機』の文字はありませんが、USBインターフェースを搭載したIC-7300Mならこのアダプタが使えるのではないか?と考え、試してみることにしました。
今回使った主な機器/環境は下記のとおり
・USB端子のあるRS-BA1対応無線機:IC-7300M
・IPリモートコントロールソフトウェア:RS-BA1
・WindowsタブレットPC:富士通ARROWS Tab(QH33/S)
・USBデバイスサーバ:IO DATA(WN-DS/US-HS)
・無線LAN環境(802.11b/g/n)
セットアップ手順
まずはタブレットPCでUSBデバイス(IC-7300)が利用できるよう設定します。
◎RS-BA1のインストール
タブレットPCにRS-BA1およびUSBドライバを設定します。
RS-BA1がVersion 1.92以前の場合は、アイコムサポート情報サイトから新ファームに変更しておきます。タブレットPCのUSBポートがUSB3.0の場合は、アイコムサポート情報サイトからUSB3.0対応ドライバをダウンロードしておきます。
なおmicroUSBポートが1つしかないタブレットPCにIC-7300を接続したり外付けDVDドライブを接続したりする際、スマホ用のUSB HUBがあるとたいへん便利でした。
コンビニで購入した、多摩電子工業のスマホ用USB Hub&カードリーダー(TSK02K)。
◎RS-BA1の設定
タブレットPCとIC-7300をUSBケーブルで接続し、RS-BA1の設定を行います。
RS-BA1の設定例。
設定に不安がある時は、アイコムHFサポートセンター「iUSE」がサポートをしてくれる。
RS-BA1の設定が終了し、実際にタブレットPCのRS-BA1からIC-7300がコントロールできることが確認できたら、次はUSBケーブルを無線化させるための設定を行います。
◎USBデバイスサーバの設定
自宅の無線LAN環境でUSBデバイスサーバが使えるよう設定しますが、無線LANルータにWPS機能があるかどうかで設定方法が異なります。自宅の無線LANルータにはWPS機能があるのですが、残念ながらルータを高い所に設置してしまったためWPSボタンが押せません。しかしルータとNASをLANケーブルで接続していたため、一旦NASを外し、このLANケーブルをUSBデバイスサーバに接続して設定を進めました。
WN-DS/US-HSの設定画面。
USBデバイスサーバ機器の検索画面。
無線LANの設定画面。
ここまでの設定が終了したら、USBデバイスサーバからLANケーブルを外し、IC-7300をUSBケーブルで接続します。
IC-7300とUSBデバイスサーバを接続した様子。
設定が正しければタブレットPCからワイヤレスで接続できるはず。
タブレットPC側の接続を確認。USBポートとして接続できているようだ。
デバイスマネージャでも、COM3として認識できていることが確認できた。
タブレットPCから3階シャックのIC-7300に接続し、2階リビングで7MHzから21MHzにバンド変更。スコープも動作している。
最後に
USBデバイスサーバの導入で、リビングやキッチン、寝室や玄関ホールなど自宅のあちこちから3階シャックのIC-7300に接続できることがわかりました。タブレットPCではRS-BA1のダイヤル操作や細かい設定変更がしにくいなど課題も多いですが、バンド切替やスコープ機能などはタッチパネルで十分操作でき、バンドコンディションの確認には十分活用できると感じました。
今後はシャックにあるプリンタもUSBデバイスサーバに接続して、さらに快適なハムライフ&PC環境にして行きたいと考えています。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。