2016年8月号
連載記事
FB Girlsが行く!! ~元気娘がアマチュア無線を体験~
<第1話>元気娘がアマチュア無線の国家試験に挑戦!!
はじめに
月刊FB NEWSでは過去「3人娘チャレンジ物語」や、そのスピンオフシリーズの「あーちゃん奮闘記」の連載をお届けしてきましたが、終了後も「続きが読みたい! 彼女たちをもう一度」というご要望が今も届きます。
そこで「3人娘チャレンジ物語」の拡大版として、あーちゃんやMasaco先輩をはじめとするおなじみのキャラクターも登場する「FB Girlsが行く!! ~元気娘がアマチュア無線を体験~」を、不定期で掲載することにしました。どうぞお楽しみください。
(編集部)
♥今回登場するメンバー♥
写真左から新人のレイ、ユウ、ミーの3人。そしておなじみMasaco先輩、あーちゃん、エリー。一番右が新人のキャシーです!
●出会いはコンビニの駐車場で
ある日、あーちゃんとエリーは郊外の展望台へ移動運用に行くことにしました。その途中、目的地の近くにあるコンビニに立ち寄ったところ、駐車場で女の子3人が何やらやっているのに気付きました。
エリー「ちょっと、あーちゃん、あの子たち見て!」
あーちゃん「あれ、トランシーバー使ってる!?」
そう、ハイキングの服装をした3人の女の子はどうやら特定小電力のトランシーバーで誰かと連絡を取ろうとしているようです。
ミー「もしもし、もしもーし、キャシー先輩、聞こえますか~?」
レイ「全然かからないね~」
ユウ「もっとマイクに近づかないとダメなんじゃん?」
あーちゃんが見かねて声を掛けます。
エリー「ねえ、どうしたの? それトランシーバーだよね」
ミー「会社の先輩に渡されたんだけど…」
レイ「使い方がよく分からないんです!」
ユウ「もう待ちくたびれて怒ってるかも…」
あーちゃん「ちょっと貸してみて!」
困っている人を見捨てることができないあーちゃんとエリー。手渡されたトランシーバーをチェックすると、音量がかなり下がって、スケルチも深くなっていました。それを直してチャンネルを1つずつ変えていくと「3人、聞こえてますか!? 応答してくださ~い!」と、ちょっと焦った女性の声がスピーカーから流れてきました。
3人「あ、キャシー先輩の声だ~!!」
あーちゃん「はい、これで大丈夫。自分が話すときは、相手の話が終わってから。横の送信ボタンを押しながらね」
エリー「トランシーバーは口元の近くに持って行くといいわよ」
3人「ありがとうございます!」
3人に話を聞いてみたら、今日は会社の先輩たちと近くのキャンプ場に来て、買い物の連絡に特小トランシーバーを渡されたそうです。キャンプ場はあーちゃんたちが移動運用をする場所のすぐ近く。3人に誘われて、ちょっと立ち寄ってみることにしました。
●キャンプ場でD-STARを実演
キャンプ場に着くと、3人の会社の先輩というキャシーが心配そうにしていました。
キャシー「ずいぶん遅かったね。心配したんだよ? 何かあったら無線で連絡してねって言ったのに、ぜんぜん返事がないから…。本当に大丈夫だったの?」
ミー「先輩、無理ですよ~。私たちトランシーバー使ったことないから…」
レイ「そうそう。困っていたら、この人たちが使い方を教えてくれたんです!」
キャシー「あれ、使い方教えてなかったっけ?」
あーちゃんとエリーがキャシーに話をすると、なんと彼女もアマチュア無線家であることがわかりました。
キャシー「なんだ、お二人もアマチュア無線やっているのね~。私もほら、ハンディを持ち歩いているの」
エリー「あー! ID-51!!」
あーちゃん「しかもカラーバージョン! 私たちとお揃いだ♪」
3人は自分のID-51を見せ合うと、キャアキャアとはしゃぎだしました。
レイ「なんだか、盛り上がっちゃってるね~」
ユウ「無線って、そんなに面白いのかな?」
エリー「うん。面白いし、便利だよ♪ ちょっと見ててね!」
そういうとエリーは自分のID-51をしばらく操作してから、送信を始めました。
エリー「Hello,VK4×××,This is JP3JZK,From Japan.Over」
宮代先輩「JP3JZK,This is VK4×××,From Australia.こんにちは、エリー!」
エリー「宮代先輩、こんにちは。もうオーストラリアの生活には慣れましたか?」
宮代先輩「慣れたというか、こっちは毎日気温5度。寒くてさあ~、Over!」
エリーの会社の宮代先輩は今、仕事でオーストラリアに滞在中です。あーちゃんやエリーたちとは、ときたまD-STAR経由で交信を楽しんでいるのでした。
あーちゃん「交信の相手は私の会社の先輩なんだ。今はオーストラリアに行ってるの」
ミー「すごい、オーストラリアとも話せるの? こんな小さなトランシーバーで」
レイ「なんかステキ!」
ユウ「そのトランシーバー、色が可愛い~!」
キャシー「災害時で携帯電話が使えない時にも、アマチュア無線は活躍するんだよ。市役所に中継局があったり、画像の交換だってできるんだから」
ミー「私もアマチュア無線の資格を取ってみようかなあ」
レイ「うん、面白そう!」
ここであーちゃんがひらめきました。
あーちゃん「ねえ、7月に池田市でKANHAMっていう無線のイベントがあるんだけど、その時に当日申し込みができる国家試験があるよ。受けてみたら?」
ユウ「でも私たちだけじゃあ心細いなあ…」
あーちゃん「じゃあ私とエリーとキャシーさんは1つ上の3アマの試験を受けるから、みんなで一緒に勉強して合格しよ?」
キャシー「あ、それいいわねえ~。みんな頑張ろう!」
3人「はーい!」
エリーはこの時“え~!? あーちゃん大丈夫かなあ…。4アマも一度落ちてたのに…(>_<)”と内心ヒヤヒヤしたのですが、口には出しませんでした。さて、みんなの4アマ・3アマチャレンジはどうなる!?
●ドキドキの国家試験会場
7月の日曜日、6人は朝から大阪府池田市で行われている「関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM2016)」にやってきました。
でも見学は後回し。まずは朝一番で行われる4アマと3アマの国家試験に臨まなくてはなりません。試験はKANHAM会場の近くにある別の施設で行われます。
エリー「おはよう。勉強できた?」
あーちゃん「うん、やることはやったよ。会社の人たちにも教えてもらったし…」
あーちゃんのノートや問題集にはビッシリと書き込みがありました。
4アマを受験する3人、3アマを受験するキャシーも手に問題集を握りしめて、懸命に最後の暗記中です。“今、話しかけないで!”というオーラが出ています。
話を聞いたMasaco先輩が、KANHAMの司会のお仕事を抜け出して、受験生の控え室を覗きに来てくれました。ほかの受験者の迷惑にならないよう、小声であーちゃんたちに話しかけます。
Masaco先輩「おはよう! どう?」
エリー「わあ、Masaco先輩! 頑張ります!」
あーちゃん「私、Masaco先輩を尊敬します」
Masaco先輩「???」
あーちゃん「(問題集を見せながら)だって、こんなに難しい問題を突破して3アマになったんですよね?」
Masaco先輩「アハハ…。あ、全問正解じゃなくて良いのよ。合格点ギリギリでいいんだから、気持ちを楽にしてね」
あーちゃん「ありがとうございます」
時間が来て、受験手続きを済ませた3アマ受験組の3人、4アマ受験組の3人は、それぞれの試験場へと入室していきました。