2013年10月号
連載記事
楽しいエレクトロニクス工作
JA3FMP 櫻井紀佳
第5回 HF受信機3
前回で全体を組み立てた受信機の動作を確認していきます。まず配線が間違っていないかを改めて確認します。足のピッチの狭いICのチェックは前回済ませましたので、それ以外の所をテスターで調べます。配線図に沿って部品と部品が繋がっているか、また隣の端子とショートしていないかをチェックします。OKの所は配線図にマーカーで印をしていけば間違いなくチェックできます。
プリント基板のチェックが終われば、簡易な取付パネルを作ってみます。音量調整の可変抵抗(ボリュームコントロール)と、同調を取るポリバリコンは、手で回すために何かに取り付けないと使い難いです。少し本格的になって工具も必要になりますが、作ってみてください。
新たに必要な工具はつぎの通りで、ホームセンターかネット通販でも購入できます。
・ハンドドリル
先端にドリルをつけて穴をあけます。
・ドリルセット
寸法が1.5mm位から6.0mm位までのドリルのセットです
・テーパーリーマー
ドリルの直径から穴を広げて大きな穴にする道具です。
厚みが1mmで150mm×300mm位の大きさのアルミ板を、部品屋さんかホームセンターで入手してください。アルミ板をL字型に曲げ、プリント基板、可変抵抗、ポリバリコンを取り付けます。L字に曲げる寸法の所に裏表から定規などを当ててカッターナイフで切り目を入れます。端から120mmの所にしました。裏表がずれないように気をつけて3回程度少し力を入れて裏表を切り込みます。あまり深く切り目を入れてしまうと切れてしまうので、気をつけてください。机の角のような部分に切り目を当てて手で折り曲げます。ほぼ直角になればOKです。
アルミ板の折り曲げ
次に可変抵抗器とポリバリコンの取付穴をあけます。上の端から55mmで、ポリバリコンは右の端から50mmの位置、可変抵抗器は左の端から40mmの位置にしました。この寸法の所に印を付けて3mm径位の穴をハンドドリルで空けます。傷ついても構わない木の板等の上でやりましょう。けがをしないよう十分に気をつけてください。
穴が空いたら、部品を取り付けられるようにテーパーリーマーで穴を広げます。バリがでますのでバリ取りをします。穴より大きなドリルがあればドリルでバリ取りができますが、大きな穴のバリ取りは、ヤスリがあればヤスリで、なければカッターナイフの歯で削ります。手を切ることが多いので特に気をつけてください。
ポリバリコンの止め穴は現物の寸法を測って穴空けを行ってください。2.6mmの取り付けネジがついている場合は、3.0mm径のドリルで穴を空けます。また、プリント基板の止め穴も4つ空けてください。
プリント基板の取り付けは、もし手に入れば金属のスタッド、手に入らなければ少し長めのビスを使って取付穴に止めます。プリント基板のアースが浮いていると強力なラジオや雑音が回り込みますので、卵ラグなどを使ってこの止め金具やビスでアルミの取付パネルに接続しておきます。さらに、ゴム足かプラスチック足を底に4個取り付けると格好もよく、すべらず机によくなじみます。足はホームセンター等で販売しています。
プリント基板や可変抵抗器、ポリバリコンの取り付けが終われば、ポリバリコンのダイヤルを作ります。ダイヤルの原稿(下記からダウンロード)をハガキ大の厚紙に印刷して、カッターナイフで切り取ります。真ん中の十字もカッターナイフを入れて、まずはダイヤルをポリバリコンのシャフトに押し込んでください。そして、次にポリバリコンのつまみをシャフトに取り付けて、ダイヤルとつまみを瞬間接着剤などで貼り付けます。ポリバリコンのシャフトには切り込みがあると思いますので、方向をよく見極めて貼り付けてください。
ダイヤルメモリ読み取りのための▼印もテプラのテープで作って、パネルに貼り付けてみました。
このポリバリコンへのつまみの取り付けに関しては、本当はバーニアダイアルをつけたいところです。昔は、自作すると同調のつまみはほとんどバーニアダイアルか糸がけダイヤルにしていました。今もインターネットの通販で販売しているようなので、興味のある人はやってみてください。バーニアダイアルで減速されてスムーズなSSBへの同調ができると思います。
取付パネルへの部品と基板の取り付けが完了したら、可変抵抗器とポリバリコンに配線します。ポリバリコンへの配線はあまり長くならないよう気をつけてください。
配線を確認した後、電源を接続します。一番簡単な電源として、単3電池4個の6Vで動作します。今回使ったICで、これ以上電圧を上げると壊れるという絶対最大電圧が7Vのものがあります。それは74HCU04です。そのため電源は単3電池4個以上にはしないでください。
映像機器やオーディオ機器用の6Vの電源で使えるものもあります。ただし、これらの電源は定電圧になっていないものが多く、無負荷の状態で7Vを越える電源を使用するとICが壊れますので、必ず電源を接続する前にテスターで電圧を確認しておいてください。また、5Vのものでも使えます。自宅に余っているものがあればご活用ください。
電源を接続して、まず局部発振器が希望通りの周波数になっているかを確認します。ポリバリコンを回して概略の周波数を確認してみました。周波数が下に寄っているので少し補正した方が良いかも知れません。もし補正するのであればC13の100pFを120pFに変えてみてください。