2016年6月号
ニュース
南極昭和基地の8J1RLが2年ぶりに「こどもの日特別運用」、JARL本部で子供たちが交信に挑戦
南極昭和基地に開設されているJARL局「8J1RL」が、5月5日に日本の小・中・高校生のアマチュア無線局と優先交信する「こどもの日特別運用」を行った。東京都豊島区のJARL事務局の無線室には、昭和基地との交信を希望する子供ら9名が集まり、JARL本部局「JA1RL」の設備を使って懸命に呼びかけた。
5月5日、JARL事務局に集合した子供たち。内訳は3アマ5名、4アマ3名、見学1名
8J1RLによる「こどもの日特別運用」は、毎年5月5日に行われているイベントだが、昨年は同基地のアンテナが猛烈なブリザードによって損壊したことから中止になった。今年はこの日の運用のために観測隊員らが復旧作業を行い、2年ぶりに実施された。
東京都豊島区のJARL事務局には、運用開始予定時刻である18時の約1時間前から、事前に申し込んだ小学5年生から高校3年生まで8名(3アマ5名、4アマ3名。ほか1名が見学で参加)が集合。南極地域観測隊OBから越冬生活のエピソードを聞いたり、運営をサポートするJARL東京都支部のスタッフから交信方法を教えてもらい、昭和基地との交信への期待を高まらせていった。
JARL事務局の無線室に設置された無線機器類。子供たちは中央のIC-7000SとIC-7000Mを使い、JA1RLのコールサインで交信に挑戦した
JARL事務局が入居するビルの屋上に立てられたアンテナ
子供たちは南極地域観測隊OBから越冬生活のエピソードを聞いたり、スタッフから運用のレクチャーを受けた
しかし、この日のHF帯のコンディションは悪く、17時に運営スタッフが21MHz帯で行った事前チェックの際は8J1RLと断続的に交信できたが、雑音レベルが高く、時間経過とともに了解度が悪化、開始時刻の18時には交信できない状態となってしまった。
その後、14MHz帯では双方が交信できることが判明。昭和基地では21MHz帯でJA1RLの電波が十分受信できていたことから、8J1RLは14MHz帯で送信し21MHz帯を受信するクロスバンドQSOで、JA1RLと交信を行うことになった。
21MHz帯で8J1RLをコールする参加者
18時30分過ぎから、まず4アマの3名が10W機(IC-7000S)で、続いて3アマの5名が50W機(IC-7000M)を使って交信に挑戦したが、14/21MHz帯ともコンディションが急激に悪化したため、最初の2名のみがレポート交換に成功、残りの6名は応答が確認できないという残念な結果となった。
子供たちの後方では父兄やJARL関係者らが交信の模様を見守った
集まった子供たちは、南極との距離や交信の難しさを実感し、「また来年も参加して挑戦したい」と感想を語っていた。