2016年6月号
連載記事
こんにちは、JH1CBX Masacoです!
そろそろ梅雨入りの便りが聞かれる時期ですね。毎年6月は野外でのイベントが多く、天気予報にハラハラしながら、そして祈りながら、晴れ女パワー全開で過ごしています(笑)。“また雨かー”って、うっとうしいお天気の日も続きますが、この雨は農家さんや私たちの生活にとても大切なもの。美味しいお米や野菜がすくすく育つため、必要な天からの恵み。そう思うと雨もキラキラ輝いて見えますね。
私の故郷、兵庫県は雨が少なく、昔の人々は生きていくための水を求め、知恵をしぼり、ため池を作ったそうです。現在兵庫県には、なんと約3万8000か所ものため池があり、その数は日本一! 今までは景色の一部で気にも留めずに過ごしてきましたが、昨年より「ため池プロジェクト」に関わらせていただき、テーマソングを書かせていただくなど貴重な経験の中で、環境保全活動への意識が高まりました。「いのちをつなぐための水」その原点にかえり、恵みの雨に感謝をもって過ごしていきたいなぁ! と思う6月の始まりです!
梅雨前線とともに「Eスポ」のシーズンもやってきました。HFのハイバンドや50MHz帯が面白い時期ですよ~。たくさんオンエアーしましょうね!
さて、今回の『Masacoの「むせんのせかい」~アイボールの旅~』は、3月中旬に神奈川県の三浦半島にある、神奈川県立横須賀工業高等学校の「電子研究部」へお邪魔したときの模様をご紹介しましょう。
第5回 神奈川県立横須賀工業高等学校 電子研究部の皆さん
神奈川県立横須賀工業高等学校は1941年(昭和16年)4月に開校、今年で創立75周年を迎える専門高校で、機械科、電気科、化学科という3つの専門学科があり、約680名が学んでいます。これまでに輩出した卒業生はなんと13,200人!! 地元では「県工(けんこう)」の愛称で親しまれているそうです。海のある街らしく、昔は「造船科」もあったそうです。
そう! 横須賀と言えば「海」と「港」ですよね! ワクワクしながら取材の日を迎えた私は、早起きしてマリンルック風で、~横須賀の市内を散歩してみましたよ~。
横須賀のシンボル、三笠公園で保存されている「記念艦みかさ」です
「記念艦みかさ」の中でモールス信号を打ったり、神奈川のグルメ「サンマーメン」を食べたり、楽しく過ごしました
日露戦争の時に連合艦隊の旗艦として活躍し、今は記念艦として大切に保存展示されている「三笠」を見学してみたり、神奈川県を代表するグルメ「横須賀海軍カレー」とめっちゃ迷った末、「サンマーメン」を食べて横須賀をたっぷり楽しんでから学校へお邪魔しました♪
ちなみに、サンマーメンはあんかけ五目ラーメンのようで美味しかったー! “食べてる時の顔が一番いい”とよく言われます(笑)
神奈川県立横須賀工業高等学校にやってきました!
横須賀工業高等学校の電子研究部には3年生14名、2年生5名、1年生が8名の合計27名の部員が所属しています。女子部員は3年生に3名いるそうです。この日は春休みでしたが、卒業式が終わったばかりの3年生3名と、2年生1名、1年生4名(1名は途中参加)の8名の皆さんが集まってくださいました。
この日、集まってくださった部員の皆さん。左から臺さん(3年生)、島倉君(3年生)、鈴木君(3年生)、立川君(1年生)、溝口君(1年生)、南部君(2年生)、小西君(1年生)です
最初に皆さんに自己紹介をしてもらいました。
臺(だい)さん(3年生):ARDFの日本代表としても活躍。平成27年度の「第2回FOXハンティング神奈川大会」では女子の部で優勝、「第3回高等学校ハンダ付けコンテスト」では第4位に入賞しました。4月からは社会人になるそうです。
ちなみにこの学校の女子は「化学科には結構いるけれど、電気科は3年生に3人、2年生に1人だけ」だって。メチャ寂しい~! “電気女子”頑張れ~!
島倉君(3年生):平成26年度の「第1回FOXハンティング神奈川大会」では男子の部で3位入賞。4月からは美容の専門学校への進学が決まっていて、「将来は俳優かシンガーソングライターになりたい」という夢を持っています!いつかヘアメイクしてもらわなくっちゃ!
鈴木君(3年生):「第1種電気工事士」の資格を持っています。電子回路が好きで学校の回路や製図の試験では優秀な成績です。神奈川県の「ものづくりコンテスト」で4位になったこともあるそうです。「将来はゲームのプログラミングの仕事に就きたい」と教えてくれました。
立川君(1年生):友人の紹介で最近電子研究部に入部したそうです。「まずは単位を落とさないで卒業したいです!」と話してくれました。うん、頑張ってね!!
溝口君(1年生):「第2種電気工事士」「第1種電気工事士」の資格を持ち、さらに「2級ボイラー技士」「第2級陸上特殊無線技士」にも挑戦中です。凄い!! 「もっと資格を取って、オールマイティに活躍したい!」と夢を語っています。
南部君(2年生):4月から電子研究部の新部長になります。「工事担任者」「第2種電気工事士」「第1種電気工事士」などの資格を持ち、顧問の原田先生に伺ったら「技術は部内でもピカイチ!」だそうですよ。
「第3回高等学校ハンダ付けコンテスト」で優勝、今は全国工業高等学校長協会の「ジュニアマイスターゴールド」に認定されることを目指しています。
小西君(1年生):「第1種電気工事士」の資格を持っています。平成27年度の「第1回FOXハンティング神奈川大会」では男子の部で優勝したそうです。「ハンダ付けやパーツが大好き! 第三種電気主任技術者の資格を取って、4年制の大学を目指したい」と語ってくれました。
クラブの活動は土日を除くほぼ毎日。電子工作やアマチュア無線、ARDFに力を入れているそうで、顧問の原田先生は「“電子研究部でアマチュア無線や電子工作をやっている”というと、少し暗いイメージがありますが、みんなは和気あいあいと楽しく部活動を行っています。今年度はIARU第3地域ARDF選手権大会の代表に選ばれたり、いろいろな大会の実績を認められて、神奈川県高等学校文化連盟から、教育長賞と県知事賞をいただいたんですよ」と教えてくださいました。
2015年12月に開催された「第26回神奈川県高等学校アマチュア無線大会」で研究発表
2015年10月に行われた、平成27年度の「第2回FOXハンティング神奈川大会」では、男子の部で1位と6位、女子の部では1・2・3位を独占、学校対抗の部でも優勝する、素晴らしい成績だったそうです
皆さんの自己紹介が終わったところで、原田先生が「今日はMasacoさんに、この学校の生徒が学ぶ技術や、電子研究部の活動をたくさん体験してもらおうと思っています。最後までついてきてくださいね」とおっしゃいました。ええっ!? ソレ、聞いてないですよ~~!! 体験入学やん!!!
<体験その1:10万Vの高電圧>
電気科の高電圧実験装置。10万V以上の電圧を作ることができます。恐る恐る覗き込む私…
まず案内していただいたのは、電気科の「電力応用実習室」。普通の教室と同じ広さですが、室内の1/3ぐらいが鍵付きの金網で厳重に仕切られています。その向こう側は大きな碍子や太い電線、金属球などが配置されています。「高圧受電中 関係者以外立入禁止」という赤い看板もあって、見ているだけで危なそうな雰囲気、ブルブル……。原田先生、これは何をするところですか!?
「はい、これは電気科の3年生が高電圧の性質や変電所から送電される仕組みを勉強するための部屋で、10万V以上の電圧を作り出すことができます」
ええ!!!そうなんですね。初めて見ました!
「中に見える2つの金属球は約4cm離れています。計算すると4cmの間隔で放電させるのには約10万Vが必要です。今からここに10万Vを印加して、バチバチッと火花をスパークさせてみます。雷のミニチュア版といった感じですね」
え…、私は雷がメチャ苦手なんですけど、大丈夫かしら…。
「金網の窓の前で見学する分には安全です。では電圧を上げていきますよ。放電は一瞬なので球をよく見ていてくださいね」
中央にある2つの金属球の間隔は4cm。10万Vの電圧を流すと放電が起きます
これが放電の瞬間!!「バチーン!」という音がしました
先生はそうおっしゃって装置を操作。最初はなんともなかったのだけれど、電圧が上がって目を凝らすと、金属球の間でバチーン!!!と光が走りました。わあ、本当に雷やわ!!
このあと原田先生は「もし“ポケットモンスター”のピカチュウがこの世界にいたら、彼の出す10万Vの電撃は、5cmぐらい離れていれば喰らわずに済むんですよ」と説明してくれました。もう大爆笑!!!