2014年1月号
ニュース
大阪府立大学の人工衛星「OPUSAT」
大阪府立大学の工学研究科小型宇宙機システム研究センターでは、「まいど1号」の運用など、これまでにさまざまな人工衛星に関するプロジェクトに携わってきたが、今回は、独自開発した人工衛星「OPUSAT」によって2つのミッションに挑戦する。
1つは、リチウムイオンバッテリとリチウムイオンキャパシタという二つの電源装置を組み合わせた新しい蓄電デバイスの宇宙での実証。もう1つは、太陽電池が張り付けられたパドルを展開し、さらに太陽電池を太陽に向けることで従来の小型衛星より大きな電力を獲得することの実証。
パドルを展開した状態のOPUSATのイメージ
これら2つが機能することで、パドル展開と太陽指向制御により大きな電力を獲得し,その電力を新しい蓄電デバイスで蓄える仕組みをOPUSATが宇宙で実証することで、今後の衛星開発や宇宙開発全体の発展に大きく貢献できるとしている。
OPUSATはISS(国際宇宙ステーション)とほぼ同じ、地球の約400kmの上空を飛行する予定だが、この位の高度だと地球の磁場の影響を受けるため、OPUSATの姿勢の制御には電磁石を使用することで、姿勢制御用の噴射装置などは搭載されない。
このプロジェクトは2010年11月に立ち上げられ、JAXAによる審査などを経て、2011年12月にOPUSATの打ち上げが正式に決定した。航空宇宙工学科の教員のサポートの下、学生18名が主体となって活動し、現時点でハードはすでに完成しており、最終的なテストが行われている段階。来年2014年の1月にJAXAに引き渡され、2月もしくは3月に種子島宇宙センターからH-ⅡAロケットで打ち上げられる予定になっている。
クリーンブースの中のOPUSAT(中央)
打ち上げ後は同センターですぐに管制を行う予定だが、打ち上げ直後は衛星を捕らえるのが難しいため、プロジェクトのメンバーは「一般のアマチュア無線家にもぜひ協力して欲しい」と話している。飛行中はCWによるビーコンを発射する他、FSK、GMSKによるデータ送信も行うため、モデムを備えているアマチュア局であればテレメトリの受信もできる。詳しい情報については、近いうちにHPで公表する予定という。
http://www.sssrc.aero.osakafu-u.ac.jp
地上局の様子
なお、この衛星の寿命は3ヶ月から1年が見込まれている。というのは、いつ太陽電池を備えたパドルを展開するかによって寿命が変化するからで、パドル展開後は、受ける抵抗が大きくなるため徐々に高度が下がり、1ヶ月ほどで大気圏に再突入して燃え尽きてしまう。
この大気圏再突入の際、OPUSATは流れ星のように光って消滅してしまうことから、OPUSATには一般から寄せられた約300通の「願い」を書き込んだマイクロフィルムが搭載される。(すでにメッセージの募集は終了)