2014年1月号

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移動運用便利グッズの製作

JO2ASQ 清水祐樹

第10回 ランタンスタンドを利用したアンテナ固定台

移動運用で、手回しで方向を変える必要のあるV/UHF用の小型のビームアンテナを立てる方法として、カメラ等に使う三脚を利用することが考えられます。しかし、三脚を屋外に設置すると、風の影響で倒れることがあり、アンテナの破損につながります。

そこで、三脚に代わるものを探したところ、キャンプ用品のランタンスタンドと呼ばれる商品がありました。これは照明器具のランタンを上部に吊り下げて固定する伸縮式のスタンドで、高さは2m以上あります。脚部は下の方で大きく開く形状で、三脚よりも倒れにくく安定性は良好です。これを利用して、ビームアンテナを簡単に固定できるように工夫しました。

普段は主に1200MHz 10エレメントのループ八木(マキ電機製)、および2400MHz 15エレメントのループ八木を取りつけています(図1)。その他、ノンラジアルのモービルアンテナや、50MHz 軽量HB9CV(第5回 50MHz 軽量HB9CVアンテナに掲載)を取り付けて使うこともあります。設置するアンテナの本数が多くなり、伸縮ポールとタイヤベースだけでは足りない場合や、タイヤベースを用意するほどでもない簡便な運用で重宝しています。


図1 全体図、1200MHz 10エレメントのループ八木(マキ電機製)、および2400MHz 15エレメントのループ八木を取り付けた

アンテナ固定台

ランタンスタンドの上端には、ランタンを掛ける鉄製のフックが付いています。これはアンテナを取りつけるには不要なため、金ノコで切断しました。かなり固くて丈夫な材質ですので、切削油を付けながら根気よく作業を進めます。なお、切断したフックの一端はランタンスタンドの支柱の内部に入り込み、どうしても取り外しができませんでした。

ランタンスタンドの支柱とアンテナを固定するクロスマウントは、木の板にUボルトを取りつけて自作しました(図2)。板のサイズは60×90mm、厚さ10mmで、支柱側は幅が約35mmのUボルト、アンテナ側は幅が約30mmのUボルトを取り付けました。木の板には水性ペイントを塗ると耐久性が向上します。Uボルトは蝶ナットで固定し、工具を使わなくても固定できるようにしました。Uボルトと蝶ナットは、外径がほぼ同じでもネジのピッチが違うものがあるので、購入の際にはネジのピッチが合うことを確認します。


図2 自作クロスマウントの側面と後面

アンテナ支持具

マキ電機製のループアンテナのうち、ブーム長さが1m前後の製品は、ブームの後端の1か所だけをマストに固定する構造になっています。そのため、ブームをクロスマウントに差し込むだけで簡単に取り付けできます。ブームが長いアンテナや、延長エレメントを取り付けた場合、ブームの中央付近をクロスマウントに取り付ける必要があります。その場合、クロスマウントのUボルトを全て外し、ブームをUボルトに通して再びネジ止めすることになります。この作業は面倒です。

そこで、クリップで挟むだけで簡単にアンテナを支持できる部品を考案しました(図3)。これはアルミ製の角パイプ(断面10×15mm、長さ350mm)の両端に大型の目玉クリップ(幅65mm)を取りつけたものです。角パイプは2つに分割されており、角パイプの外側とちょうど収まるサイズの断面がコの字型の角材(アルミチャンネル)を取りつけ、差し込んで固定することができます。ブーム長が約2mのアンテナ(1200MHz 21エレメントループ八木)の中央付近を固定した様子を図4、5に示します。1200MHzの高利得アンテナはビームが非常にシャープで、数度単位の調整を必要とします。伸縮ポールにアンテナを取り付けた場合、アンテナを回転させると慣性で回り過ぎてしまうためにビーム合わせに手間取ることがありました。この固定台は片手で持ち上げて簡単にビーム方向の微調整ができます。


図3 アンテナ支持具、下図のように分割してクロスマウントのUボルトに通すことができる


図4 アンテナ支持具を使って、長いアンテナを中央部分で支持した状態


図5 アンテナ支持具の取り付け部分

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