2014年1月号
連載記事
楽しいエレクトロニクス工作
JA3FMP 櫻井紀佳
第8回 周波数カウンターの製作1
受信機や送信機の製作で周波数カウンターがあれば便利と思う場面が沢山ありましたし、アマチュア無線で周波数カウンターが欲しい時がよくあります。今回から周波数カウンターの製作を進めてみたいと思います。使用部品はインターネットや部品屋さんで手に入るものを使い、あまり特殊なものは避けたいと思います。
最初はカウンターの構成とそれぞれの機能の説明とデジタル回路の動作などの説明を行い、一応の動作が分かった所で組立をしていきます。
アジレントテクノロジー社の周波数カウンター
1.1 周波数カウンターの構成と動作
周波数とは1秒間の電気振動の数と言えます。従って基本的には1秒間の計数する窓を作り、その中の電気振動(パルス)を計数します。
1秒間計数すると1Hz(ヘルツ)の桁まで測定できますが、そこまで必要ない場合があるのと、例えば1.2GHz帯のアマチュア無線の周波数をHzまで測定すると「1、296、012、345 Hz」と言うように10桁のカウンターと表示器が必要になってしまいます。
kHzの表示をするには、Hzの1、000倍なので1秒の1/1、000つまり1m秒の窓を作ればいいことになります。上の図でも分かる通り、半端な計数が残ることが頻繁にありますので、どんな精度のいいカウンターでも+ 1カウントの誤差は残ります。必要な桁まで精度を上げるためには更に1桁追加すると安心できます。つまり1Hzまで精度が欲しければ0.1Hzまでのカウンターを作ると安心ですが、計測時間は10秒かかってしまいます。
基準発振器の精度の関係で1秒間の窓の精度が十分取れないことも多く、また、通常6桁あれば実用になりますので、今回は短波帯までの計測を目標として6桁のカウンターを考えたいと思います。
周波数カウンターをインターネットで検索すると、PIC (Peripheral Interface Controller)マイコンを使ったものが多くヒットしますが、今回は周波数カウンターの原理がよく分かる完全なハードによるものを製作します。なお、PICはマイクロチップ・テクノロジー社の製造しているマイコンICの略称です。周波数カウンターをブロックダイヤグラムで表すと次のようになります。
・表示部
文字通り周波数を表示します。
・ラッチ部
カウントした周波数の数値を次のカウントまで一時的に保持して表示を見やすくします。これがないと、次のカウントしている間その数値をそのまま表示することになり、パラパラして見づらくなってしまいます。
・カウント部
実際に周波数をカウントする部分です。
・タイミング部
1秒間の窓やラッチするタイミング、その後のカウンターのリセットなどのタイミングを発生させる部分です。
・基準発振部
正確な周波数の測定には正確なタイミングが必要で、その元となる発振部です。
・信号増幅部
測定する信号を増幅しカウントしやすい波形にします。
・電源部
内部に使用する定電圧電源です。