2014年8月号

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テクニカルコーナー

IC-7600でPSK63モードを運用する

編集部

IC-7600の設定

受信については、リグ側は特別な設定をしなくてもUSBモードなどでPSK63の信号に同調すれば、MMVARIで受信信号のデコードができます。しかし送信するには、変調入力コネクタをUSBポートに変更する設定などが必要となります。 またデータ通信を行う場合は、通常のSSBモードでなくDATAモードでの運用が適しているため、SSB-D(USB-DもしくはLSB-D)モードでの運用を前提とした設定を行います。

(注意)
パソコンソフトを使ってPSKモードを運用する場合は、7600のPSKモードは使用できません。必ずSSB-D(USB-DもしくはLSB-D)モードで運用を行ってください。 (パソコンで生成した変調音をマイク入力として扱い、音声モードで送信する必要があるためです)

■変調入力コネクタの設定
セットモードに入り、「ACC SET」の中の「DATA1 MOD」(写真4)を「USB」に設定します。 この設定によって、USB-D1モード(またはLSB-D1モード)を選択するとUSBポートからの入力で変調がかかります。
・必要に応じて、DATA2、DATA3での設定も可能です。


(写真4) 「DATA1 MODをUSBに設定」

■CI-Vボーレートの設定とCI-Vアドレスの確認
「OTHERS SET」の中の「CI-V Baud Rate」(写真5)をMMVARI側のボーレートと合わせます。特に理由がなければ最速の「19200」に設定します。次に、その下の「CI-V Address」が「7Ah」になっていることを確認します。


(写真5) 「CI-V Baud Rateを19200に設定」

MMVARIの設定

■リグコントロール系の設定
MMVARIを起動し、メニューから「リグコントロール」→「設定」と進みます。現れたリグコントロールウインドウ(写真6)で、下記の設定を行います。
1.「Port」を、先にデバイスマネージャーで確認したCOMポート番号に設定。(例: COM12)
2.「Baud」を、7600で設定したCI-Vボーレートに設定。(例: 19200)
3.「Rig」を、「Icom xx=addr 01-7F」に設定。
4.「xx」を、「7A」に設定。(16進数を示す "h"の入力はここでは不要)
5.「周波数取り込み」を、「ICOM CI-V (no inquiry)」に設定。
最後に、右下の「OK」をクリックして終了。


(写真6) リグコントロールのウインドウ

■サウンド系の設定
メニューから「オプション」→「MMVARI設定画面」と進みます。MMVARI設定画面のウインドウで「その他」のタブをクリックした後、下記の設定を行います。
1. サウンドカード「In」を「マイク(USB Audio Codec)」に設定。
2. サウンドカード「Out」を「スピーカー (USB Audio Codec)」に設定。
最後に、右下の「OK」をクリックして終了。

なお、これらは、7600とパソコンがUSBケーブルで接続された状態で、7600の電源が入っていないと選択できませんのでご注意下さい。

PSK63の運用

MMVARI メイン画面(写真7)で、運用モードを「bpsk」を選択、Carrier(Hz)を「1500」に、「Speed」を「62.5」に設定。 (PSK125モードで運用する場合は、125.0) 後は必要応じて「AFC」「NET」をオンに設定、デコード帯域幅を「1k」などに設定して下さい。


(写真7) MMVARIの設定例

7600側は、PSK63の運用周波数帯に合わせた後、「USB-D1」モードもしくは「LSB-D1」モードを選択します。 何れも「SSB」スイッチの長押しによって「USB-D1」もしくは「LSB-D1」モードが選択されます。(セットモードでD2もしくはD3にUSB変調入力を設定した場合は、それらを選択する)

IFフィルターは1.2kHz幅のFIL1が使いやすいと思いますが、帯域内に強力局が出ていて、 不本意にAGCが効いてしまうような場合は、必要に応じてFIL2(500Hz)、もしくはFIL3(250Hz)を選択するか、あるいはTWIN PBTで帯域を絞ります。

■参考
7600に直接キーボードを接続してPSKモードで運用する場合は、7600の表示周波数がそのまま運用周波数(実際にPSKの電波が輻射される周波数)になりますが、 パソコンソフトを使ってSSB-Dモードで運用する場合は、表示周波数と運用周波数が異なります。

Carrier(Hz)のTXトーンを1500Hzに設定した場合、「USB-D」モードを使用すると、7600ディスプレイ上の周波数表示の1500Hz上でPSK63の電波が発射されます。 (7600の表示周波数が14072.00の場合、実際には、14073.50でPSK63の電波が発射されます) また「LSB-D」モードを使用すると、7600の表示周波数の1500Hz下でPSK63の電波が発射されます。 (7600の表示周波数が14072.00の場合、実際には、14070.50でPSK63の電波が発射されます)

■運用
設定完了後、MMVARI左上の「TX(F12)」をクリックするか、キーボードの「F12」キーを押下することで送信が始まり、タイプした文字が送出されます。 受信に戻るには、再度「TX(F12)」をクリックか、キーボードの「F12」キーの押下です。画面下のメッセージメモリーを使った送信ももちろん可能です。

受信信号のレベル合わせは、「オプション」→「入力ボリューム」と進み、マイク(USB Audio Codec)のプロパティでレベルを調整します。Windows 7では初期状態がかなり高めになっているので、 レベルを「100段階の2」に設定することで他のOSとほぼ同等のレベルになるようです。なお、Windows XPはレベル可変できず固定ですが、通常は適切なレベルになっているようです。

変調出力のレベル合わせは、「オプション」→「出力ボリューム」と進み、スピーカー音量を調整するか、あるいは、7600側の、「ACC SET」の中の「USB MOD Level」で調整します。 PSK63では、モードの性質上ALCを振らせすぎると歪みますので、必ず適切なレベルに調整して下さい。

最後に

アイコム製品を使ったUSBケーブル接続でのデジタルモード(PSK、JT65、SSTVほか)の運用は、IC-7600の他にも、IC-7100、IC-7200、IC-7410、IC-9100でも可能になっています。 特にIC-7410での設定/運用例は、本WEBマガジン2013年4月号に掲載していますので、合わせてご覧ください。

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