2014年8月号
連載記事
第7話 無線局免許申請
無事4級の試験に合格したエリーは、宇宙飛行士との交信を夢見る日々を送っていました。
エ 「早く交信したいなぁ。宇宙から見た星って一体どんなだろう・・・いつか聞いてみよう♡」
そんなひとり言をつぶやきながらリビングに向かうと、テーブルの上に一通の封筒が置いてありました。その場で勢いよく封を切ると、中からキラキラと輝くカードが!
エ 「やったぁ♪ついにわたしにも免許が! 嬉し~い! \(^O^)/」
すぐにでも街に飛び出して無線機を購入したいエリーでしたが、サミーと「あーちゃんが合格するまで待とう」と約束していたため、ここはぐっと我慢です。代わりにMasacoさんからもらった無線機のカタログをみたり、ネットでどんな機種があるのかを探すことにしました。その夜、エリーは庭で天体観測をしながら
エ 『あーちゃんが3月の試験に合格しますように。じゃないと私は・・・友達を裏切ってしまいそうです・・・』 と、満点の星空にお祈りをしました。
しかし、エリーは友達を裏切らずに済むことになります。
なんと、あーちゃんは3月に受けた2回目の国家試験で合格を確実にしたのでした。
当日、試験後の自己採点を済ませ、色々なプレッシャーから解放されたあーちゃんは、この喜びをすぐにでも誰かに伝えたくて、試験会場からの帰り道に2人にメッセージを送りました。
あ 「私でもやれば出来た! 余裕で合格間違いなしッ (*^^)v」
サ 「Congratulations!! あーちゃん、やったね~♪」
エ 「おめでと~う❤ お星様に願いが通じたんだ☆」
あ サ 『お星様・・・?』
それから間もなく、あーちゃんのもとにも合格通知が届きました。あーちゃんはお世話になったMasaco先輩に電話で結果を報告しました。
M 「おめでとう! さすがわたしの後輩。実はわたしも最近3級の試験に合格したんだぁ (#^v^#)」
あ 「ええっ?! 本当ですか?! おめでとうございます! でも、4級でも(私的には)あんなに難しいのに・・・」
やっぱりMasaco先輩はすっごいなぁ、とあーちゃんは改めて感心しました。
なにはともあれ、これで3人は見事アマチュア無線技士になりました。3人揃ったということで、もちろんいつもの女子会開催です。合格を祝して、その日は朝から夜まで遊び倒した3人だったのでした。
それから間もなく、あーちゃんのもとにも待望の無線従事者免許証が届きました。ここにくるまで何度も挫折しそうになりましたが、それだけに免許を手にした喜びはひときわ大きいものでした。
あ 「最後まで頑張ってホントによかった~~!」
エリーからの「早く無線機買いにいこうよ~、もう我慢の限界だよ~」との声を受けて、さっそく3人はハムショップを訪れました。
あ 『それにしても、エリーはいつの間にこんなにヤル気に・・・。最初は受験さえ尻込みしてたのに』
ひとたびスイッチが入ると夢中になってしまう宙ガールのエリーは、3人の中で一番意欲的になっていました。
サ 「おじさーん、お久しぶりですっ! 無線機くださいっ!」
店員さんは突然元気よく入ってきたサミーたちを笑顔で出迎えてくれました。
エ 「わ~あ、無線機がいっぱいある~! しかも全部動いてるッ! すっご~い♫(^◇^)」
大興奮のエリーはたくさんある無線機に顔を近づけて観察しています。あーちゃんも初めてみる光景に感心していました。
店員 「お嬢ちゃん、試験は通ったの?」
サ 「Of course!! 3人とも免許を持ってます。今度こそ売ってください! 一番いいやつを!」
店員 「一番いいやつか。難しいなあ。無線機にもいろいろな種類があるんだよ」
アマチュア無線用の無線機には、大別すると、
①無線機本体を直接持って操作する、アンテナが一体となった携帯型(ハンディ機)
②車に取り付け、アンテナは車の外に設置する車載型(モービル機)
③自宅に置いて、アンテナは屋根やタワーに乗せて使用する固定型(固定機)
の3タイプがあります。交信相手や交信目的によってこれらの中から無線機を選ぶ必要があります。
あ 「私は山登りが趣味なんですけど、この前道に迷った時に助けてくれた人が、GPS機能付きの無線機を持っていたんです。それと同じのがいいんですが」
店員 「なるほど。それはきっと、D-STARに対応したハンディ機のことだね。GPS機能を使えば、道に迷っても自分の居場所を自動的に相手に伝えることができるから、君にはピッタリじゃないかな」
あ 「D-STAR・・・。なんだかかっこいいネーミングですね。私それにしよ~っと(^^)」
サ 「はいはーい! おじさん、私はハワイと交信できるやつがいいですっ」
店員 「外国と直接交信となると固定機が必要だよ。それに自宅に大型のアンテナを建てなくちゃいけない」
サ 「アンテナ?! そんなのMomが許してくれるわけないよ~(ToT)
ガーデニングの芝生の上を歩いただけで怒られるんだから。あーちゃんみたいにコンパクトな無線機じゃムリですか?」
店員 「そうだなぁ。D-STARのシステムを使えばハワイとも交信できるし、ハンディ機なら小型だし、一緒のものにすればどうだい?」
サ 「Wow!D-STARやるじゃん! じゃぁ私もあーちゃんとおそろにします☆」
エ 「私はISSにいる宇宙飛行士と交信するのが夢なんです。無線機を色々探してはみたんですが、どれがいいか自分では決められなくて・・・」
店員 「宇宙飛行士との交信か。ロマンだねぇ。ISSと交信するにはFMモードを使うから、普通ならアナログFM機を提案するところだけど、
他の2人はD-STARハンディ機にするみたいだし、君も同じのに してはどうかな。D-STAR機なら、どんなセットでもアナログFMにも出られるし、普段使うにも、3人で音質のいいデジタルモードで通信できるし、
最適だと思うよ。ただし!宇宙飛行士と交信するためには、そもそも4級では扱えない高出力の無線機と、大型のアンテナもいるんだ。
まずは、4級で操作できる無線機で交信の練習をしながら、高出力の無線機を使える3級を目指してはどうだい?」
エ 「3級の免許がいるんですね・・・。分かりました。まずは2人と同じもので練習を積むことにします。それにしても、3級かぁ。ふむふむ」
こうして、3人は店員さんの勧めでD-STARハンディ機の「ID-51」に決めました。
自宅に戻った3人は、めいめいに無線局の開局手続きを始めました。もし周辺機器などを付加すると自作機扱いとなり、
保証認定を受ける必要がありますが、無線機単体で使用する場合は、管轄の総合通信局に直接申請するので難しくありません。
※古いタイプの無線機で技術基準適合機種ではない場合は、無線機単体での申請でも保証認定が必要です。
かつては紙による申請書を提出する必要がありましたが、今では電子申請のシステムが便利です。さらに、紙申請と比べると電子申請の方が手数料も安く済みます。
電子申請を行う場合は、はじめに「総務省 電波利用 電子申請・届出システム Lite」への「新規ユーザ登録」が必要です。
「総務省 電波利用 電子申請・届出システム Lite」の画面
ユーザ登録を完了すると、1週間ほどで自宅に「ユーザID通知書」が届きます。
ユーザID通知書の例
通知書に記載されているIDを使って「総務省 電波利用 電子申請・届出システム Lite」にログインし、いよいよ「開局申請」を行います。
事項書および工事設計書の入力画面
「技術基準適合証明番号」は購入した無線機本体に記載されています。「電波の型式並びに希望する周波数及び空中線電力」は取扱説明書などに書かれているので確認しましょう。
ID-51で申請する場合の入力例
電子申請の手続きが完了したら、1週間ほどで「電子納付手続きのお知らせ」が電子メールで届きます。
「総務省 電波利用 電子申請・届出システム Lite」にログインし、①収納期間番号、②納付番号、③確認番号をチェックします。ペイジー(Pay-easy)に対応したインターネットバンキングやATMから、上記の番号を入力して開局申請に関わる手数料を振り込みます。
最後に無線局免許状送達用の封筒を管轄の総合通信局に送ります。総合通信局から受付完了の通知が電子メールで届いたら、開局申請は完了です。
※直接総合通信局に受け取りに行く場合は、返信用封筒を送る必要はありません。また、送料着払いでの免許状発送サービスも選択できます。
さあ、あとはコールサインが印字された局免許の到着を待つだけです!
次回・・・
連載からはや半年――。ようやく3人は電波を出すのか?!出さないのか?!
「第8話 トラブル発生!~無線機を活用しよう~ エリー編」
お楽しみに☆