2016年9月号

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モービルホイップを使用してフィールドデーコンテストに参加

編集部

車載運用の標準アンテナともいえるモービルホイップ。ポピュラーなVUHF帯用のモービルホイップは利得があるタイプも多く、高所から運用すればそれなりの飛びが期待できる。一方、HF帯用のモービルホイップは1/4λフルサイズとなると28MHz帯ですら約2.5m長で、それ以下のバンドであればさらに長くなるため、市販品のモービルホイップはほとんどが短縮タイプである。

短縮率が大きくなれば、輻射効率は低くなるので一般的に電波は飛びにくくなる。しかし短縮してもきちんと同調さえすれば、電波は輻射されるので交信すること自体は不可能ではない。たとえば3.5MHz用の全長1mのモービルホイップは、短縮率が1/20のわずか5%である。それでもQSOすることはできる。ただし、このアンテナでコンテストに参加して楽しめるかというと、決してそうではない。短縮率が極端に大きいと、飛びもかなり悪くなるからである。

今回テストしたのは、第一電波工業製の「HF40CL」という型番の、全長2.2mでセンターローディング方式の7MHz用モービルホイップである。7MHzで全長2.2mなので、単純計算では2.2/10=22%の短縮率である。この短縮率でコンテストを楽しめるかどうかを試してみた。なお、このアンテナの耐入力は「SSB 200W」なので、50WならCWでも問題なく使用できそうだ。


2分割でビニール製の袋に収納されているHF40CL

このアンテナを入手直後の8月6日(土)~7日(日)に開催された、JARL主催フィールドデーコンテストで試用してみた。HF用のモービルホイップでは使い始めに調整が必要である。自分が運用するおおよその周波数を決め、そのあたりにSWRの最下点が来るように、エレメント長を調整する。

今回はフィールドデーコンテストの電信部門に出るつもりなので、運用周波数帯は7010~7040の30kHz幅となる。よって中心周波数を7025kHzに合わせると良いことになる。取扱説明書によると、このアンテナでSWR1.5以下で使用できる帯域は、上手い具合にちょうど30kHz幅だった。


イモねじを六角レンチで緩めて調整する。
折り曲げ機構が付いているので、調整時にいちいち基台から外す必要が無い。

まずは、調整エレメントを一杯まで縮めてSWRを計ったところ、7180付近に同調していた。つまりこの状態なら7MHz帯の上端付近で運用できることになる。次に一杯まで調整エレメントを引き伸ばして、測定したところ7020付近に同調していた。ほぼOKである。CW周波数帯の端の方でSWRが上がった場合は、チューナーを使用すれば良いだけなので、これでOKとした。


調整エレメントを一杯まで伸ばしたところ、センター7020kHzでSWR1.3となった。

この調整結果から判明したのは、このアンテナは調整により7MHz帯の200kHz幅をフルカバーできることで、「新バンドプラン7.0~7.2MHz対応」のうたい文句に偽りはない事が分かった。


アンテナを設置した様子。アースは車体直結のボディアース。

フィールドデーコンテストは土曜日の18時から始まるが、今回は入賞を目指した参加ではなく、アンテナのテストが目的のため、日曜日(コンテスト2日目)の0930jから運用をスタートした。呼び回りから始め、IC-7300Mのリアルタイムスペクトラムスコープを確認しながら、強力な局に同調して順次コールしていく。出力は50Wフルパワーだが、何しろ22%の短縮率なので、飛びはどうかなと思っていたが、ほとんどの局から応答があった。

1発でフルコピーしてくれる局もあれば、コールサインの一部のみコピーの局、さらにはQRZ?の局と反応は様々だが、無視されてCQを出されることはなく、QRZ?でも最終的にはナンバー交換まで進み初めのうちは100発100中、想像以上の手応えである。他局と競合すると、ほとんどの場合呼び負けてしまったが、こちらの電波が届いていない訳ではないので、辛抱強く順番を待った。

呼び回りで10数局QSOした後、空き周波数でCQを出してみた。5分間くらいCQを出し続けたら1局だけ呼ばれたが後が続かない。ランニング(自局がCQを出すこと)はちょっと厳しいようだ。再び呼び回りに戻り、局数を積み重ねていった。初めの30分間で17QSOに達し、まずまずの飛びに納得し、運用を継続する。


運用中の様子。リグはIC-7300M。高性能リアルタイムスペクトラムスコープのおかけで同調操作が極めて容易。効率の良い運用ができる。

その後、再度ランニングを行ったところ、ぽつりぽつりと呼ばれ、2局同時に呼ばれたケースもあって驚いた。1回目のランニング時はコンディションが悪かったようだ。しかし、さすがに他のランニング局と比べると相対的に電波が弱いようで、幅寄せをされたり、はたまた真上からCQを出されたりして、長くは続かなかった。

開始から1時間半で47QSOをマーク。2分で約1局のペースで進む。50QSOに達した1103jに一息つき休憩を入れた。93分間で50QSOなので上々の結果である。1115jから再度運用を始め、呼び回りとランニングを交互に行って、コンテスト終了時刻の1200jまで続けた。最終的に休憩を含み都合2時間半(150分)の運用で、78Qで終了。マルチは33で、得点は2,574点という結果となった。


2時間半の運用で78QSO。

2時間半の運用中、コールしても届かなかった局はわずか3、4局であった。当初、7MHzではアンテナ長が短い(短縮率が高い)だけに、こちらからコールした50%くらいの局とNR交換できれば良しとしようと考えていたが、結果的に9割を超える局とNR交換ができた。想像以上に飛んで満足の結果となった。


人工ノイズのない海抜約1,100mの場所から運用した。

それでも、このアンテナで7MHzシングルバンド部門にエントリーし、1日目の18時からフル運用を行っても、このレートであれば上位入賞は厳しいであろう。しかしながら、7MHzの電信運用を楽しめるアンテナであることは分かった。機会があれば、電話運用でも試してみたい。

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