2016年12月号

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<D-STAR活用事例> 「愛知県・弥富市津波・地震防災訓練」― 愛知県弥富市/弥富防災ハムクラブ

★災害発生直後の、D-STARの有用性を実証

情報伝達訓練では、まず被災状況の確認のため愛知県の防災ヘリコプター「わかしゃち」がメイン会場の木曽川グランドに飛来(9時20分)。大村愛知県知事と服部弥富市長を乗せて離陸後、避難所の1つであるサブ会場の南部地区防災センターに着陸した模様をD-STARの音声と画像伝送で本部へ伝達した(9時40分)。


木曽川グラウンドの臨時ヘリポートに着陸する愛知県の防災ヘリコプター「わかしゃち」(JA6792)

さらに防災ヘリは緊急患者の搬送先であるJA愛知厚生連 海南病院の屋上ヘリポートへ到着(10時00分)。その模様や、近くにある10階建てのマンションから要救助者を吊り上げて搬送する模様(10時05分~10時10分)を、現地に到着した弥富防災ハムクラブのメンバーが撮影。即座にD-STARハンディ機とスマートフォン(アプリRS-MS1Aで連携)を使って画像伝送を行った。


JA愛知厚生連 海南病院の屋上ヘリポートへ到着した「わかしゃち」


各地からの画像伝送に使用されたD-STARハンディ機、「ID-51 新機能プラスモデルII」(アイコム)。アプリ「RS-MS1A」を導入したAndroidスマートフォンと連携。位置情報の交換も可能だ


上空でホバリングする「わかしゃち」で要救助者を吊り上げる訓練

送信された画像は、位置情報や伝送された時刻が付加されている。メイン会場内に設けられたアマチュア無線ブースで受信し、ブース内の大型モニターに映し出されるとともに、受信画像をカラープリンタで印刷して随時貼り出すという、情報共有の試みも行われた。


メイン会場のアマチュア無線ブースでは市内各地から伝送されてくる画像(位置情報付き)をD-STAR機で受信し、大型モニターにリアルタイム表示


海南病院ヘリポートに着陸する「わかしゃち」の模様も、現地からいち早く伝送されてきた(会場のモニター画面を撮影)


D-STARで画像伝送されてきた各地の状況はカラープリンタで印字して掲示。情報共有に役立った

こうしたアマチュア無線の情報伝達訓練が行われていることは、メイン会場内に「現在、アマチュア無線による通信が行われ、避難所で撮影した画像が会場に届きつつあります。アマチュア無線は2011年の東日本大震災の際にもいち早く被災地へ入り、現地からの通信連絡を行いました」というアナウンスで来場者へ紹介された。


弥富防災ハムクラブが作成した訓練実施資料より。Androidスマートフォンと連携したD-STARハンディ機を使用することで、市内各所で収集した情報(被災状況、物資状況など)を位置情報つきの画像や音声+テキストで迅速に伝送できる

画像伝送訓練の終了後、メイン会場のアマチュア無線ブースを大村愛知県知事と服部弥富市長が視察に訪れた。弥富防災ハムクラブの服部会長(JA2KWX)と磯JARL愛知県支部長(7L1FFN)らが、アマチュア無線が防災や減災面でも役立っていることを説明。大村知事はアマチュア無線家でもあることから、特にD-STARによる画像伝送に関する説明に興味深く聞き入っていた。


アマチュア無線ブースを視察した大村愛知県知事=写真中央と、服部弥富市長=写真左。磯JARL愛知県支部長(7L1FFN)と弥富防災ハムクラブの服部会長(JA2KWX)らが説明にあたった

さらに会場内のアナウンスでアマチュア無線の情報伝達訓練を知った一般参加者も相次いで同ブースを訪れ、スタッフに「どうやったらアマチュア無線の資格が取れるか」「以前やっていたアマチュア無線を再開するにはどうしたらいいか」「携帯電話網が使えない状態でも画像伝送は可能なのか」など、さまざまな質問を行い、関心の高さを伺うことができた。


アマチュア無線ブースには多くの訓練参加者も立ち寄り、展示を見学したり、さまざまな質問を行った

訓練に参加した弥富防災ハムクラブのメンバー

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