2014年10月号

トップページ > 2014年10月号 > 隠岐の島のアマチュア無線ロッジ

ニュース

隠岐の島のアマチュア無線ロッジ

9月12~15日に島根県の隠岐の島にあるアマチュア無線ロッジを利用したのでレポートする。


アマチュア無線ロッジ

1988年4月1日に開設され、海士町(あまちょう)が運営しているアマチュア無線専用のこのロッジは、「Wireless lodge AMA」という名で20年以上に渡ってアマチュア無線家に親しまれている。ロッジは海士町で一番の高所である金光寺山の山頂付近にあるため、ロケーションは抜群であり、海士町の施設を紹介するホームページでも「電波を飛ばすには絶好の場所」と紹介されている。

ロッジを利用するには、あらかじめ海士町観光協会に予約を入れる必要があるが、近年利用者は多くないとの事なので、希望日が空いていないというケースはあまりないと思われる。移動運用の日程を決めたら、もちろん早めに予約を入れることをお勧めする。

次に、ロッジへの行き方だが、まず海士町のある島前の中ノ島に渡るには船を利用するのが一般的である。具体的には、本土側にある松江市の七類港、もしくは境港市の境港から、フェリーもしくは高速船を利用するか、隠岐の他の島から、内航船を利用することになる。あるいは島後の隠岐空港まで航空機を利用し、そこから船で渡るという方法もある。


今回乗船した隠岐汽船のフェリーおき

中ノ島の菱浦港に着いたら、港に隣接した建物内に、海士町観光協会があるので、そこでロッジの鍵を受け取る。菱浦港からロッジまでは、フェリーに乗り車で渡ってきた場合は約10~15分、その他には、レンタカーやタクシー、また路線パスを利用する方法がある。ただし、路線バスを利用した場合、最寄りのバス停からロッジまではかなり距離があるのでお勧めしない。

今回は自家用車で中ノ島に渡ったが、幸いにも、ボランティアでこのロッジの清掃や保守をされている地元のハムが車で先導して案内をしてくれたので、道に迷うことはなかった。ロッジに到着してみると、宣伝どおりの抜群のロケーションであった。さっそくクランクアップタワーのステージまで登ってみたところ、北米、欧州方面には何もさえぎるものが無かった。


奥に見えるのが島後

さて、このロッジは開設から26年が経過しているため、常設アンテナは長年風雨や潮風にさらされた影響で不調となっているため、使用ができない。そのため、通常の移動運用に行くように、使用するアンテナはすべて持ち込む必要がある。もっともワイヤーアンテナであれば、常設のタワーなどを支柱として利用できるので、伸縮ポール等は持参しなくてもOKである。

今回は、14/21/28MHzの2エレと、18/24/50MHzの2エレを、全長8mの伸縮ポール(ローテーター付き)で展開した。その他に、1.9/3.5/7/10Mの4バンドダイポールを、常設クランクアップタワーを支柱にして展開し、これらアンテナ3基で1.9~50MHzの10バンドにオンエアできるようにした。


8mポールで展開した2基のビームアンテナ

ロッジは開設から26年経過しているものの、外壁は塗り直してあってきれいで、さらにロッジ内部も整理整頓や清掃が行き届いており、大変きれいにしてあった。棚には過去に運用した局のQSLカードアルバムや、落書き帳などもあって、過去に多くのハムが、ロッジからの運用を楽しんでいったことが分かった。

ロッジ内には、台所やトイレがあるので、快適に滞在できる。風呂はないが、車で10分ぐらいのところに、町営の温泉「ひまわり」があり、町外者でも1回300円で入浴できる。ただし、ロッジには布団の用意がないので、布団一式、もしくは寝袋などを持参する必要はある。


海士町保健福祉センター内に「ひまわり」がある

ロッジ内の運用デスクは2つあり、2名が同時に快適にオペレートできるようになっている。その他にもデスクと椅子が2セットあるので、4つのデスクにそれぞれ無線機を設置すれば、最大4名まで同時に運用することも可能である。また4名程度まではロッジで寝られるが、それ以上の団体の場合は、徒歩で5分ほど下ったところにある「隠岐自然村」という宿泊/研修施設を利用した方が良いかもしれない。


右側の運用デスク(今回はこちらで運用)


左側の運用デスク

なお、ロッジ内の常設機器のうち、30A安定化電源の1基は使用可能ではあったが、年代ものの装置のため、いつ不調になるか分からないというリスクもあり、念のために、リグと一緒に安定化電源器も持ち込んだ方がベターである。

今回は到着した日に地磁気嵐が発生したために、コンディションが最悪(A=44、K=6)の状況で、序盤はQSOが進まなかったが、滞在後半はコンディションが回復していったため、実質3日弱の滞在にもかかわらず、多くの局とQSOすることができた。やはりロケーションは抜群である。

レンタルシャックと考えると、常設アンテナが使用できないので不満が出るかもしれないが、レンタルシャックではなく、移動運用をするために最適なロッジだと考えてほしい。ロッジの周りには人家などがないので、夜間運用でも他人に迷惑をかけることもないし、そもそもアマチュア無線を楽しむためのロッジであるから、(一般の人には理解の難しい)電信などの運用をしていても不審者と思われることもない。

今回は、ボランティアの地元ハムが大変親切にしてくれ、到着から出発まで色々とお世話になった。そんなこともあって、機会があれば、ぜひまた海士を訪れ、アマチュア無線ロッジを利用してみたいと思いながら、帰りのフェリーに乗船した。

頭の体操 詰将棋

3人娘アマチュア無線チャレンジ物語

  • 連載記事一覧
  • テクニカルコーナー一覧

お知らせ

発行元

発行元: 月刊FBニュース編集部
連絡先: info@fbnews.jp