2014年12月号
ニュース
アマチュア無線用ソフト紹介 その2
前号11月号では、UKのアマチュア無線雑誌「RadioUser」10月号に掲載されたアマチュア無線用の各種ソフトを紹介したが、今号でも、同誌の許可を得て、同誌11月号のsoftware spotページ(QSP73著)に掲載されたアマチュア無線用の各種ソフトを紹介する。
今号で紹介するソフトには、無線局の自動追尾、デジタルデータ通信、ネットマネージメント、QSLカード印刷、リグ制御、人工衛星追跡、SDR、VoIPや微弱信号通信などが含まれている。
SARTrack
SARTrackは、捜索救助活動のボランティアをはじめ、アマチュア無線家が使用しているAPRSプロトコルを使用したリアルタイム位置追跡用のフリーウェア。このソフトウェアは電話やインターネットの通信圏外で活動する救助隊が使うために作られている。メッセージ機能やデータログを記録する機能もある。SARTrackは、インターネット回線が使用できない場所で使えるように開発されたが、インターネットに接続している場合はゲートウェイとしても動作する。インターネット接続時は、捜索エリアの外からでもメッセージ、ログ、マーカーや地図を見て捜索に加わることができる様になっている。
AGWTracker
これはAPRSトラッカーの最新版で、マップ画面上にAPRSを備えたアマチュア無線局や業務無線局がすべて表示される。さらに軌道上の国際宇宙ステーション(ISS)も追跡でき、その他にも豊富な機能が備わっている。Windows XPとWindows 7/8用のバージョンがソフトウェアコレクションに入っている。
SDR# Revision 1318
安価なUSBドングルのSDR(Software Defined Radio)が広帯域受信機としてよく使われているが、SDR#は、SDRと組み合わせて使用することで、使い勝手や動作速度や拡張性が向上する。ここでは、最近公開されたフリーウェア、SDR Frequency ManagerとScanner Metrics Pluginsを紹介する。加えて、RTL-SDR Panoramic Spectrum AnalyzerとRTL SDR Scannerプラグインも今月のソフトウェアコレクションに入っている。
SDR# Plugins
SDR# Frequency ManagerとScanner plugin (Version 1.6.1) の最新版が公開された。これらは、周波数の管理や特定の周波数範囲をスキャンするのに優れている。このプラグインを使用するにはSDR# Revision 1294以降が必要で、今回のソフトウェアコレクションにはSDR# Revision 1318が入っている。
Scanner Metricsプラグインは、Frequency Manager + Scannerプラグインの追加アクセサリーで、スキャンした結果をデータベースに記録し、情報を解析する。膨大な受信情報の中から目的の情報を探し出すのに優れている。たとえば、あらかじめ周波数範囲を設定してスキャンさせておくと、スキャン中に最もアクティブだった周波数がグラフ表示される。
Airlink Express
最近公開されたAirlink Expressはアマチュア無線家をはじめ、その他の無線愛好家用に、各種デジタルモードを備えた、使い勝手のよいソフトウェア。Windows XP/Vista/7に対応している。ロギングやマクロ機能も備えており、PSK, MFSKやRTTYに対応している。Digipanを使ったことのある方ならすぐに使いこなせる。
DigiPan 2.0
DigiPanは、デジタルパノラマチューニング(digital panoramic tuning)の略で、PSK31やPSK63のパノラマ受信と送信が簡単にできる。DigiPanを使うと周波数スペクトラムをパソコンの画面の幅いっぱいにパノラマ表示するので、電波状況が把握しやすくなる。また、無線機のIFバンド幅によっては、PSK31モードで運用中の局を、同時に40局から50局ほど見ることができる。ウォーターフォールに表示されるすべての局が同時にデコードされ、各局のコールサインと受信テキストが別々の画面に表示される。コールサインは、色でハイライトされ、テキストの内容を色で関連付けすることもできる。また、各局のコールサインまたはテキストをクリックすると、交信したい局の周波数に移動することもできる。
DX Net Manager
DX Net Managerはローカル局やDX局とラグチューを楽しむのに便利なツールで、大きなグループにおいて、ブレークインしてきた局やラグチューから離れる局を管理するのに優れている。ヒストリータグには過去のラグチューが統計的に記録される。それによって、前回のブレークインの時刻やメンバーなどがすぐに分かる。加えて、たまにしか参加しない局がいても、それが誰かすぐに分かる。このソフトウェアは詳細なコールサインデータベースをアップデートしながら使い続けることができる。
AGWSQLPrint
AGWSQLPrintは、QSLカードを簡単に作成できる。まずはカードをデザインし、必要なデータを入力すると自動的に交信記録を作成してQSLカードとしてプリントアウトできる。また、ADIFフォーマットでエクスポートされたロギングソフトのデータを使うこともできる。
Orbitron
Orbitronは、アマチュア無線用の人工衛星を追跡するためのフリーウェアで、1000箇所以上もの人工衛星の位置を監視できる。また、現在の衛星位置だけでなく、予測位置も表示できる。これは世界中のOrbitronユーザーから、現在手に入る人工衛星追跡ソフトの中で、一番簡単に使えて性能のよいソフトウェアの一つではないかとの声もある。
Ipox5
Ipox5は、アマチュア無線、業務無線、CBやPMR446の各サイトをネットワークで接続するためのVoIPソフトウェア。このソフトウェアは、無線通信と緊急通信をより堅固にするためのもので、使用者数を制限することなくプッシュ・トゥ・トークが使える。また、発信時の音声フィルターに加え、CTCSSとDTMFのデコード機能も備えている。
CommCAT 4
CommCAT 4は、世界中と交信したいアマチュア無線局に適したリグコントロール機能付きのロギングソフト。ほとんどの無線機やそのオプションが使用可能で、DX局の発見や交信に威力を発揮する。Spot Managerはスポット情報を選別し、呼びたいDX局が出ると警告表示する。また、DX TrackerとBand Spotterウィンドウは目的局のアクティビティと運用のクセを分析する。このソフトウェアはWindows Vista, Windows 7 または、Windows 8 (32/64bit)で動作する。取扱説明書(PDF)はソフトウェアコレクションに入っている。
QSXer
QSXerは、運用中の周波数、モードやメモをMyQSXサイトに送信するフリーウェア。MyQSXサイトでは、送信された情報をアクティビティマップにして表示する。送信された情報と追加情報は使用中のQSXerサイトにも表示される。このソフトウェアは、自動的にCommCat、TRX Manager、Ham Radio Deluxe、LOGicやHAMLOGと連携して動作する。また他のロギングソフトを使う場合でもマニュアルモードで動作する。
SD and SDV
SD (Super Duper Logging V17.42)は、EI5DI Paul O’Kane氏が作成したフリーかつ使用制限の無いソフトウェアで2014年9月に公開された。主要な国際コンテストだけでなく、世界中のさまざまなコンテストで使えるように、簡単にロギングと編集ができる。これは2つのソフトウェアで構成されており、一つはSDというHFコンテスト用で250以上のコンテストに対応している。もう一つは、SDVというVHFコンテスト用になっており、ともにシングルオペによるSSBとCWでの運用を想定して作られている。
SDは、文字ベースで表示され、Windows 95からWindows 7までのOSで動作する。リグコントロール、シリアルキーイングおよびパラレルキーイングをサポートし、ログに入力済みのQSOを編集できる。ログを含むすべてのSDで作成されたファイルは、ASCII形式のテキストファイルとなっており、テキストエディターで表示できる。取扱説明書(PDF)もソフトウェアコレクションに入っている。
WSJT 10.0
微弱信号通信用にK1JTが作ったこのソフトウェアは、月面反射、流星散乱、HF空中伝播、VHF/UHFの電離層散乱伝搬などの通信で使用される最適なデジタルプロトコルを提供する。また、最近打ち上げられたアマチュア無線用衛星はこのモードを使って送信している。
このソフトウェアは、流星散乱で反射した1秒以下の長さしかない信号や、可聴レベルより10dB以上微弱な信号をもデコードできる。WSJTはさまざまな電波型式に適したプロトコルを使用してデジタル通信を容易に楽しめる。たとえば、流星散乱に適したJTMSとFSK441、電離層散乱に適したISCATとJT6M、VHF/UHFでのEMEやHF/MFでのQRP運用に使われるJT65、そしてマイクロ波帯のEMEに使われるJT4などを備えている。
その他のソフト
11月号のソフトウェア集DVDの中には、8月号、9月号、10月号で紹介した下表のソフトウェアも含まれている。
なお、今回紹介したソフトも、1枚のDVD ROM(もしくは2枚組みのCD ROM)に納められており、通信販売で入手可能である。
入手方法についての詳細は前号の記事をご参照いただきたい。