2015年10月号
連載記事
第7話 3人娘、今年もハムフェアに行く(後編)
コノちゃんと別れたMasaco先輩・あーちゃん・サミー・エリーの4人は、朝一で予約を入れておいた記念局運用のため、特別記念局ブースに向かいました。今年はJARL創立90周年。コールサインは「8J190Y」となっています。
スタッフ「運用にはJARL会員証と無線従事者免許証が必要になります」
あーちゃん(以下、あ)「ああっ!会員証、家に置いてきちゃった!(◎o◎)」
エリー(以下、エ)「私も~(T_T)」
Masaco先輩(以下、M)「それは大変!それじゃ記念局は運用出来ないわね・・・。サミーは?」
サミー(以下、サ)「私はさっき会場内でJARL会員の更新手続をしてきたので大丈夫です♪」
ということで、Masaco先輩とサミーだけが8J190Yを運用することになりました。
3人が運用するのはD-STAR機です。レピータを使って中継交信を行います。
まずはMasaco先輩から!
M「CQCQCQ、こちらは8J190Y、8J190Y・・・」
CQを出し終え、スタンバイしましたが、無音状態が続きます。
あ「あれ~?何も音がしない・・・」
スタッフ「D-STARのパイルアップは無音になるんですよ。しばらく待ってみましょう」
※パイルアップ・・・多くの局が一斉にコールし、電波が重なること。
サ「へぇ~!つまりそれだけ人気ってことですね(*^o^*)」
しばらく待っているとパイルアップが解消されていき、Masaco先輩は多数の局を華麗にサバき、次々とQSOを成功させていきました。それをウズウズと見守っていたあーちゃんは、突然立ち上がりました。
あ「私も8J190Yと交信したい!」
エ「あ、あーちゃん?!」
あーちゃんは記念局コーナーを飛び出しました。エリーは慌ててあーちゃんの後を追いかけます。
少し離れた場所に移動し、Masaco先輩の交信が終わるとすぐにコールするあーちゃんですが、他の局の電波に負けてしまい、なかなか応答がもらえません。
「レピータの近くからコールすれば勝てるかも知れないよ」
近くにいたおじさんがアドバイスをくれました。あーちゃんとエリーはハムフェア会場を走り回りながら、ハムフェア会場内に特設された臨時レピータを探し始めました。
あ「あっ、あれ、レピータ―じゃない?!」
やがて、JARLコーナー付近のブースから垂直アンテナが飛び出しているのを発見しました。
エ「あの近くならパイルアップを抜けそう!」
すぐさま2人はベストポジションを確保しました。
Masaco先輩と他局との交信が終わるタイミングを見計らいます。
あ「8J190Y、こちらはJP3KGTです」
終わった瞬間すぐさま自分のコールサインを言うあーちゃん。結果は・・・
M「JP3KGT、JP3KGT、こちらは8J190Y・・・」
ついに応答がありました!あーちゃんは意気揚々とMasaco先輩との交信を終えました。
エ「私も交信したーい!><」
エリーも交信しようと必死にコールしますが、なおもパイルアップが厚く、微妙なタイミングで他の局に先を越されてしまい、Masaco先輩から応答がありません。そうこうしているうちに、オペレーターはサミーに交代していました。
サ「CQCQCQ、こちらは8J190Y・・・」
あ「CQが終わった瞬間にPTT押して!・・・よし、今っ!」
エ「8J190Y、こちらはJP3JZK・・・」
あ「ああ、サミーは他の局に応答しちゃった。よしもう1回!次こそはっ」
エ「あーちゃん、スパルタ・・・(;_;)」
こんな風に、あーちゃんに叱咤激励されながらも、結果的にはエリーはなんとかサミーとQSOすることができました。あーちゃんとエリーはブースに戻り、最後に4人全員でスタッフの方にお礼を言って記念局運用を終えました。
記念局ブースを後にした3人とMasaco先輩は、JAIAコーナーに向かいました。メーカー各社の新製品がどんなものか見るためです。午前中は来場者で一杯だったメーカーブースも、午後になると比較的空いていました。
はじめに第一電波工業のブースを訪れました。ここではダイヤモンドアンテナのブランドで、アンテナや周辺機器を展示していました。新製品や参考出品も多数並んでいます。
サ「このバネみたいなのってなんですか?」
スタッフ「これはアンテナの全長を短かくするためのコイルです」
係の人にアンテナの違いについて詳しく説明してもらいました。3人娘のようなアンテナの知識がほとんどない初心者の質問にも、親切丁寧に対応してくれました。