2015年10月号
連載記事
楽しいエレクトロニクス工作
JA3FMP 櫻井紀佳
第29回 CQコールマシン
移動運用などで何回もCQを出したい時があります。しかし連続してコールすると疲れることもあるためCQコールマシンを考えてみました。既に同様なものを作っておられる方もありますが、無線機の付属品としてできるだけ小型に作りました。
今回のメインの素子はアナログメモリーのISD1016で、もう20年位前に話題になった際、サンプルとして買っていたものが残っていました。現在もインターネットで探せば手に入るようなので興味ある人は作ってみてください。今回使ったISD1016は四角いPLCCタイプのICですが、市場に残っているのは大きいDIPだけかも知れません。
このISD1016はアナログの信号を直接入力するとアナログ的に記憶するようです。巻末のコラムに資料をつけていますのでご参照ください。。今回作ったものはマイクから直接信号を入力すると16秒間記憶できます。16秒間の「CQ」を何回かやってみましたが、「CQ CQ CQ こちらはJA3FMP JA3FMP Juliette Alpha 3 Foxtrot Mic Papa JA3FMPです、受信します、どうぞ」で、ちょうど16秒位になりました。「録音」の時、何回か練習すると丁度収まるようになります。
一度「録音」すれば、「送信 (PLY、TX)」にしてSTARTのボタンを押すと何回でも繰り返して音声がでてくるので便利です。
ユニットの前面パネル(左)と内部(右)
使い方は、このユニットからでている2本のケーブルの一方の♀コネクターにマイクを接続し、もう一方の♂コネクターを無線機のマイクコネクターに接続します。無線機側は丸形8ピンのものと四角いモジュラー型コネクターの両方に使えるよう途中に差し替え用コネクターをつけました。
最初はICに音声データは入っていません。スイッチを「REC」と「TX」に倒し「START」ボタンを押してマイクより信号を入力します。16秒の録音中はLEDが点灯していますのでそれをモニターにして「録音」します。
録音内容の確認は、モニター端子にイヤホンを接続し、スイッチを「PLY」にして「START」ボタンを押すと録音した内容がイヤホンから再生されます。この時スイッチが「TX」になっていると無線機は送信状態になり、録音した音声が送信されますので注意してください。送信せずモニターだけしたい時は「RX」にしてください。
このユニットは受信音も16秒間「録音」することができます。スイッチを「REC」と「RX」にして「START」ボタンを押すと何回でも上書きされて録音できます。聞き逃しそうな信号を受信し何回も再生することができます。
今回対応する無線機とマイクはアイコムの製品に合わせており、受信信号と電源の8Vは無線機のマイクコネクターから出ているためこれを利用しています。
1.動作
まずISD1016は、巻末資料のようにアナログ部にマイクアンプや小型スピーカーを鳴らす電力増幅まで含まれており、ほとんどこのICだけで使えるように便利にできています。
このユニットの概略のブロック図は次の通りです。
「START」スイッチを押さなければマイクからの音声信号はそのまま送信機に行きます。スイッチを「TX」と「PLY」にして「START」スイッチを押すとアナログメモリーの出力に切り替わり、無線機のSENDをグランドに落とし送信状態にして録音しているメッセージが送信されます。メッセージが終了するとICの「EOM」端子からメッセージの終了信号が出て元に戻ります。
全体の回路図は次の通りです。
アナログ信号の切替には4066のCMOSスイッチを使い、スタート信号のホールドに74HC74のDFFを使っています。「START」スイッチ押すとこのDFFがONになりメッセージが終わるとEOMの信号でリセットされます。
電源はマイクコネクターの8Vからユニット内部のシリーズレギュレーターTA7805Sで5Vにして供給しています。DFFの入力についているIC2Dの4066は4個入りのスイッチが一つ残ったのでロジック的に利用しました。
ISD1016シリーズは使用個数の追加で録音時間を延長することができ、以前に観光案内用の2分30秒位のものを作って微弱FM放送に使ったことがありました。他にも利用方法があるかも知れません。
楽しいエレクトロニクス工作 バックナンバー
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- 第88回 CWスピード
- 第87回 雨量計
- 第86回 IC-705用電源
- 第85回 デジ簡と特小のリンク
- 第84回 エレキー
- 第83回 スピーチコンプレッサー
- 第82回 長波JJY受信機
- 第81回 3.5MHzアンテナ
- 第80回 シニアスピーカー
- 第79回 バッテリーアイソレーター
- 第78回 F2A発振器
- 第77回 DDSの動作
- 第76回 マルチチェンジャー
- 第75回 ハンディ無線機用電源
- 第74回 NAVTEX
- 第73回 多用途タイマー
- 第72回 周波数誤差検出
- 第71回 ワイヤレス充電
- 第70回 警報付電圧計
- 第69回 分配器
- 第68回 半田ごてタイマー
- 第67回 可変アッテネーター その2
- 第66回 アンテナマッチング回路
- 第65回 AM受信機
- 第64回 2バンドアンテナ その2
- 第63回 2バンドアンテナ その1
- 第62回 ドライバーSG
- 第61回 144MHz→50MHzダウンコンバーター
- 第60回 音声帯域モデム
- 第59回 位相方式SSB (その2)
- 第58回 位相方式SSB (その1)
- 第57回 AMトランシーバー
- 第56回 グリッドディップメーター
- 第55回 低周波発振器
- 第54回 スイッチトキャパシターフィルター (SCF)
- 第53回 SWR計 その2
- 第52回 SWR計 その1
- 第51回 コードレスキー その2
- 第50回 2トーン発振器
- 第49回 スペクトラム拡散通信 その2
- 第48回 スペクトラム拡散通信 その1
- 第47回 ワイヤレスハンドマイク
- 第46回 自動アンテナ切替器
- 第45回 CI-Vターミナル
- 第44回 案内放送
- 第43回 PEP パワー計
- 第42回 容量計
- 第41回 コードレスキー
- 第40回 電子バグキー
- 第39回 お酒沸かし
- 第38回 電圧給電アンテナ
- 第37回 パルスジェネレーター
- 第36回 インピーダンスブリッジ
- 第35回 GPS その3
- 第34回 GPS その2
- 第33回 GPS その1
- 第32回 鹿おどし
- 第31回 続CW復調改善 その2
- 第30回 続CW復調改善 その1
- 第29回 CQコールマシン
- 第28回 PINダイオード
- 第27回 可変アッテネーター
- 第26回 誘導無線アンテナ
- 第25回 CW復調改善
- 第24回 1.2GHz受信用プリアンプ
- 第23回 パワー計
- 第22回 実験用定電圧電源
- 第21回 色々なフィルター
- 第20回 1人でタワーを建てる
- 第19回 マルチバンド ワイヤーアンテナ
- 第18回 省エネシステム
- 第17回 太陽光発電で無線をしよう! その3
- 第16回 太陽光発電で無線をしよう! その2
- 第15回 太陽光発電で無線をしよう! その1
- 第14回 0-V-1 その2
- 第13回 0-V-1
- 第12回 周波数カウンターの製作 5
- 第11回 周波数カウンターの製作 4
- 第10回 周波数カウンターの製作 3
- 第9回 周波数カウンターの製作2
- 第8回 周波数カウンターの製作1
- 第7回 送信機2 (最終回)
- 第6回 送信機
- 第5回 HF受信機3
- 第4回 HF受信機2
- 第3回 HF受信機
- 第2回 無線通信機の構成
- 第1回 ゲルマラジオ