2016年9月号
連載記事
どうしてコンテストに熱心なの? と伺ったら、「この建物が見晴らしのよい場所にあるので、屋上に立てたアンテナからの眺めは最高! 電波の飛びが良いので、コンテストにはピッタリだから!」と。そうなんや~、アンテナも一度見てみたいな~。
「ではMasacoさん、屋上にご案内しますので、ちょっと後ろを振り返ってください」
部長の本多さんの説明を聞いている私。後ろの壁には屋上につながるハシゴが…
はい? はい?! 後ろは部室の壁ですよね? …と思ったら、壁をよじ登るためのハシゴが打ち込んであって、見上げてみると、天井には潜水艦みたいなハッチ(蓋)が!
あの、もしや…、これを登るのー??
「はい、登ると屋上に出られます♪」
うわーー、登れるかなぁ~。今日はワンピやし、サンダルやし、腕の力ないし…。でも、アンテナ見たさに一生懸命に登りましたよ!! 「下から覗いたらアカンでー」って言いながら・・・(笑)。 この連載が始まってから、どんどん逞しくなる私・・。
怖々とハシゴを登って、もうすぐ屋上に到着…
ハッチを出て屋上に立ってみると…、本当や! 地平線や遠くの山がよく見える!!! ロケーションはバツグン!! そして大きなタワーが2本建てられて、いろいろなバンドのアンテナが取り付けられていました。
大学の周囲に高い建物はなく、地平線が広がっています。アマチュア無線をやるには絶好のロケーション! (27号館屋上より)
本多さんが説明してくださいました。
「屋上には3基のタワーがあります。1つには144/430/1200MHz帯のグランドプレーン、14/21/28MHz帯の4エレ八木、3.5MHz帯のフルサイズダイポールが取り付けられています」
「そしてもう1基のタワーには、3.5/7/14/21/28/50MHz帯のグランドプレーンアンテナと、14/18/21/24/28/50MHz帯の2エレ八木、50MHz帯の6エレ八木、7MHz帯のフルサイズダイポールを取り付けてあります」
屋上のアンテナタワー! いろいろなバンドのアンテナが取り付けられています
凄いわあ~。いろんなコンテストに出られるアンテナがいくつもあるところが“頑張っているクラブ局”っていう感じがします。
「そうなんです。ほかに予備のルーフタワーもあるので、430MHz帯の八木など、参加コンテストに応じたアンテナを取り付けることもできます。コンテストになると、OBがアンテナ持参で応援に来てくれることもあるので、それにも対応できます」(荒木さん)
手前にあるのは予備のルーフタワー。コンテストの種類によってはここにアンテナを取り付けることもあるそうです
「あと、ワイヤーアンテナは電線が太いほど電波の飛びが良くなるので、最近は太陽光発電パネルの送電線を使っています。メンテナンスも不要で便利ですよ」へえ~!!!
アンテナの詳しい説明を聞かせていただき、景色を楽しんでから、再びハッチを使って部室へ戻るのですが・・・(登るときよりも、降りるほうが怖かったのはナイショ♪)
再びハッチを開けて帰ります!!
もう一度無線室に戻って、今度は部活動と部員勧誘のお話を伺いました。
「無線部の活動は毎週1回です。ほかに顧問の柴田先生が、無線機やアンテナの知識を付ける勉強会を毎週開催してくださっています。コンテストがある時期は、準備もあるのでもっと活動しますよ。最近だと8月6~7日に夏合宿を兼ねて行ったフィールドデーコンテストの参加が大きな行事でしたね」(荒木さん)
今年は移動運用の場所へ3m×6mの大型テントを持ち込んで快適な運用ができたそうです。コンディションにも恵まれ、交信局数は1,000局を突破! メチャ頑張ってるやん!!
今年のフィールドデーコンテストのスナップ(中部大学無線部提供)
今年のフィールドデーコンテストには大型テントを持ち込み、その中で各バンドを一斉に運用したそうです(中部大学無線部提供)
コンテストのために作った「夏合宿のしおり」を見せていただきましたが、毎年同じ場所で移動運用しているので準備は慣れたもの。持ち物のチェックリストや注意事項から、アンテナやテントの設営場所の図解まで、とても細かい内容でした。
「あの、“おやつはいくらまで”とかも書いてあるんですか?」と伺ったら、「いや、“パワーは50Wまで、1.2GHzは1Wまで”って書いてあります」という返事に大爆笑。それ、大切やわ~!!!
フィールドデーコンテスト参加を兼ねて行われた夏合宿。細かい手陣が書かれた「夏合宿のしおり」が部員全員に配られました
最近、無線部が力を入れているのは新入部員の獲得です。4月になると校内に無線部のPRポスターを貼ったり、パソコン部や科学物理部と合同で「技術系サークル合同説明会」を開催しているそうです。
「ほかのクラブは黙っていても入部してもらえるけれど、無線部は“何それ?”って通り過ぎられてしまうんです。そこで説明会で流す動画を作りました。ハッキリ言って自信作です!」(荒木さん)
新入部員獲得のために制作した動画をパソコンで試聴。「そもそもアマチュア無線って何か分かりますか?」と問いかけるシーンもありました
パソコンで見せていただきましたが、アマチュア無線の特徴と楽しみ、1年間の部活動の紹介が上手に編集されていて、ところどころにお茶目なシーンもありましたよ~。これならアマチュア無線の資格がない人も“面白そうなクラブだな”と興味をもってくれそう!
どこかで見たようなシーンも登場、この動画、凝っています♪
「そんな工夫で、毎年、数名の入部希望者がありますが、ほとんどの人がアマチュア無線の資格をもっていません。そうした方には勉強会で教えて、3アマの資格取得を目指してもらっています」
えっ? 4アマじゃなくて、3アマなんですね!
「はい。部で保有している無線機の多くが送信出力50Wなので、4アマの資格を取っても使えなかったりするんです。コンテストでしっかり戦力になってもらうために、3アマの資格取得を勧めています」
「中には理系以外の学部の人がいて、いきなり3アマは難しいというときは、4アマの国家試験を受けてもらって、合格後に養成課程講習会で3アマになってもらっています。ちなみに今は1アマが3名、3アマが13名、4アマが2名います。中にはプロの2陸技(第2級陸上無線技術士)の資格を取った部員もいますよ」ということでした。なるほど、3アマは必須なんや~。
そしてもうひとつの特徴は、無線部OB会が組織されていることだそうです。
「2014年に無線部OB会が発足して、現在は約90人が加入しています。コンテストになると関東方面から現役部員のサポートに駆けつけてくれるOBもいますし、学園祭のときには懇親会も開かれていて大勢の方が集まります。実は2014年4月から1年間、中部大学の開学50周年を記念して、JARL特別局“8J2CU5X”を開局したのですが、その開設や運用にもOB会の諸先輩方が力を貸してくださいました」(荒木さん)
無線部OB会には90名が加入。コンテストのたびにサポートに駆けつけてくれる人もいらっしゃるそうです(写真:中部大学無線部)
2014年4月から1年間、中部大学の開学50周年を記念したJARL特別局を開設。無線部OB会が協力してくれたそうです
OB会がしっかりと組織されている大学の無線部は、珍しいんじゃないかなぁ。卒業してからもコンテストのサポートに駆けつけてくれるなんて、後輩思いで頼もしいね~。
このあと、校内のラウンジに移動して、本多さんと荒木さん、そして2人の部員さんにも加わっていただき、ご自身のことを伺いました。
エアコンの効いたラウンジに移動して、いろいろお話を伺いました♪