2016年10月号

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国立科学博物館が今年度の「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」の1つとして「八木・宇田アンテナ」を選定

国立科学博物館は、先進の科学技術に基づいて開発され、未来に残すべき製品を選定する「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」を毎年選定している。9月13日に発表された今年度の選定資料16件の中に、アマチュア無線家にもなじみが深い指向性アンテナの「八木・宇田アンテナ」が選ばれた。


今年度の重要科学技術史資料(未来技術遺産)に選ばれた「八木・宇田アンテナ」
(未来技術遺産 写真提供:国立科学博物館)

国立科学博物館(東京都台東区)は、「科学技術(産業技術を含む)の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学史資料」の保存と活用を図るため、2008年から毎年「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」を選定し発表を行っている。

今年度は、開発当時に世界最高レベルのアナログ録音音質を達成した円盤録音再生機(1943年)や、日本で最も普及した16ビットパソコン「PC-9801」(1982年)など16件が選定されたが、その1つとしてアマチュア無線の指向性アンテナとしてもなじみが深い「八木・宇田アンテナ(通称:八木アンテナ)」も選ばれた。

同博物館は八木・宇田アンテナを、「世界最初の超短波アンテナ」(初出年:1925年、製作年:1930年、製作者:八木秀次・宇田新太郎)と説明し、選定理由を次のように解説している。

「無線通信などで利用されるようになった電磁波(電波)は、より波長の短い電磁波研究へと進み、マグネトロン(超短波発信器)やレーダーなどの開発が世界的に行われた。日本においても1920年頃から東北大学でマグネトロンの研究が開始されたが、その過程で電磁波による共振現象、指向性に気づき、八木秀次と宇田新太郎により指向性と増幅作用のある八木・宇田アンテナが開発された。この成果は、日本よりも世界でいち早く認められ、英米などの最新レーダー装置に使用された。現在も、テレビ受信用アンテナなどとして世界中で利用されており、日本の科学技術の成果として誰もが認めるものである。本資料は、八木・宇田アンテナ開発直後の1930(昭和5)年にベルギーで開催された国際博覧会に出品のために製作された物と考えられる」

今年度16件の新規登録により「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」の総数は225件となった。なお、写真の八木・宇田アンテナは、東京都港区の「NHK放送博物館」が所蔵しているが、現在は公開を行っていない。

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