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コロナ禍のSTAY HOMEでハムのアクティビティが上昇?

新型コロナウイルス感染拡大は、昨春以来アマチュア無線界にも各種イベントの中止をはじめとして、さまざまな影響を及ぼしている。その一方でアマチュア無線家のアクティビティは上昇しているとみられる数字がJARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)から公表され、注目を集めている。


日本で新型コロナウイルスの感染拡大に注目が集まったのは2020年2月のこと。アマチュア無線界でも3月8日の開催を予定していた「西日本ハムフェア」の中止を皮切りに、さまざまなイベントの中止または延期が決まっていった。また感染拡大を防ぐために、「三密を避ける」「不要不急の外出をしない」といった生活様式の変更を余儀なくされ、「STAY HOME」が合言葉のようになっていった。

このSTAY HOMEの影響で、アマチュア無線家のアクティビティが上昇したとみられる数字がJARLから公表されている。

コンテストの参加局数が増加

2020年4月から2021年1月までに開催された、JARL本部主催の国内コンテスト(ALL JA、6m AND DOWN、フィールドデー、全市全郡、QSOパーティ)の参加者数(書類提出者数)を、前3年間と比較してみよう。

①ALL JA コンテスト(4月下旬開催)の書類提出者数
・2017年:1,729局
・2018年:1,674局
・2019年:1,675局
・2020年:1,920局(前3年の平均よりも13.4%増加)
※2020年はマルチオペ種目を中止、移動運用の自粛を要請

②6m AND Downコンテスト(7月初旬開催)の書類提出者数
・2017年:1,665局
・2018年:1,482局
・2019年:1,648局
・2020年:1,885局(前3年の平均よりも17.9%増加)

③フィールドデーコンテスト(8月初旬開催)の書類提出者数
・2017年:1,424局
・2018年:1,413局
・2019年:1,385局
・2020年:1,647局(前3年の平均よりも17.0%増加)

④全市全郡コンテスト(10月中旬開催)の書類提出者数
・2017年:1,700局
・2018年:1,523局
・2019年:1,229局
・2020年:1,818局(前3年の平均よりも22.5%増加)

⑤QSOパーティ(1月初旬開催)の書類提出者数
・2018年:7,432局
・2019年:7,346局
・2020年:7,447局
・2021年:8,181局(前3年の平均よりも10.4%増加)
※2021年から開催期間を6日間に延長

このように、2020年4月から2021年1月にかけて開催されたJARL主催の国内コンテストすべてで、書類提出者数が前3年間の平均よりも2桁増加していることがわかった。

2020年の「ALL JAコンテスト」は三密を避けるため、急遽マルチオペ種目が中止され、移動運用の自粛が呼び掛けられる中での開催となったが、それでも13.4%も増加している。

また「フィールドデーコンテスト」は、2015年からホームステーション同士の交信も得点に計上できるようになり、自宅からの参加者が増えているが、2019年は全書類提出者のうち移動局(フィールドデーステーション)が51.9%を占めていたのに対し、2020年は書類提出者数が17.0%増加したにもかかわらず、(フィールドデーステーション)が占める割合は46.6%と5.3ポイントも減少。ここにもSTAY HOMEの影響が垣間見られた。

一方で、2021年お正月の「QSOパーティ」は開催期間を6日間に大幅延長するとともに、6日間の連続参加賞を設けるなどの工夫をしたが、書類提出者数は10.4%の増加と他のコンテストよりは“伸び”が少なかったことがわかった。


JARL主催コンテストの結果発表コーナー(JARL Web)。2020~2021年に開催された各国内コンテストの参加者数(書類提出者数)は、前3年の平均よりも10.4~22.5%増加したことがわかった

QSLビューローの転送枚数も増加

また、アマチュア無線家のアクティビティやコンディションの善し悪しなどを見る上で欠かせないのが、JARL会員がビューローに発送したQSLカードの転送枚数(取扱処理枚数)だろう。ここ3年間は次のように報告されている。

・2017年度(2017年4月~2018年3月)の取扱処理枚数:10,128,079枚
・2018年度(2018年4月~2019年3月)の取扱処理枚数: 9,786,190枚
・2019年度(2019年4月~2020年3月)の取扱処理枚数: 9,491,360枚

このように2017年度から2019年度の3年間、QSLカードの取扱処理枚数は減少傾向にあり、月平均にすると「81.7万枚」程度だった。

しかしコロナ禍に見舞われた2020年度(2020年4月~2021年3月)は処理枚数が急増した。これまでに断片的ではあるが、JARLのラジオ番組で「2020年5月は100万枚、翌6月は中旬までに50万枚」といった説明や、2021年2月の第54回理事会で「前年比117%」という報告があったことから、年間では1100万枚を超す枚数になることが予想されている。


JARL QSLビューローの転送作業(JARL Webより)

ちなみに、2020年度にJARL会員からビューローに送られたQSLカードは「以前のカードを整理して出されるものが目立つ」という特徴があるという。外出自粛により自宅で過ごす時間が増えたことから、過去の交信データを整理し、未発行のQSLカードを印刷しビューローに発送するアマチュア無線家が多かったと推測できる。

このほかではJARL会員数も増加傾向にあり、2020年3月7日時点では65,214名だった会員数が、11か月後の2021年2月7日時点では65,609名と395名増加。「実に27年ぶりとなる“前年度対比での会員増”が目前になった」と伝えられている。

コロナ禍の影響によるハムのアクティビティ上昇とはやや皮肉な現象だが、一日も早く感染が収束し、移動運用や無線イベントが心置きなく堪能できるとともに、サイクル25によるコンディション上昇と相まって、ますます楽しい無線ライフが過ごせることを願いたい。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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