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「アマ無線の社会貢献活動での活用」「小中学生の運用体験機会の拡大」がスタート

「社会貢献活動や地域活動でアマチュア無線が利用可能に」「無資格の小中学生がアマチュア無線を体験運用できる機会の拡大」が3月10日にスタートした。アマチュア無線の世界に大きな変革をもたらすかもしれない。


3月10日のインターネット版官報 号外第52号の目次。アマチュア無線の制度整備関連の改正省令と告示が掲載されている

総務省は昨年10月、「アマチュア無線の有資格者が営利を目的としない社会貢献活動、ボランティア活動、地域活動の通信にアマチュア無線を活用できるようにする」ことと、「資格を持たない小中学生が家族の開設するアマチュア局や通学する学校のクラブ局、学校教職員のアマチュア局から体験運用ができるようにする」という2点を盛り込んだ“アマチュア無線の制度整備”を実施したいとして、改正案を発表し意見募集を実施した(11月1日号のニュース記事参照)。


アマチュア無線を社会貢献活動でも活用できるようになった(総務省作成の資料より)


無資格者の小中学生がアマチュア無線をより体験しやすくなった(総務省の公表資料より)

約1か月間の意見募集期間の間に、総務省には無線関連団体やアマチュア無線家など合計429者からの意見が提出され、その結果と総務省の考え方が今年2月2日に公表された

賛否さまざまな意見が出されたが、アマチュア無線が営利活動の連絡手段に使われるのではないかという懸念が多かったことから、総務省は企業等の営利法人等の営利活動のためにアマチュア無線を使用することを明確に禁止していることを明示するよう、告示案の一部文言の修正を表明。その上で電波監理審議会から「原案のとおりとすることが適当である」という答申があったことを踏まえて、3月中に改正した規則と告示を公布・施行する方針であることを発表していた。

3月10日、改正された電波法施行規則と関連する総務省告示が官報に掲載され、同日から施行された。掲載内容の一部をインターネット版官報 号外第52号から抜粋する。なお同官報号外は掲載から1か月間、無料でPDF版を閲覧することができる。

「アマチュア業務」の定義変更と社会貢献活動等への活用

電波法施行規則の一部改正部分。4アマの試験にも登場する「アマチュア業務」の定義が「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務をいう」と改められた(下記写真参照)。


3月10日のインターネット版官報 号外第52号より抜粋

上記の改正で「その他総務大臣が別に告示する業務」とされた部分の総務省告示。特定非営利活動、社会貢献活動、国や地方公共団体などが行う事業に係る地域活動が指定された。なお「各号に掲げる業務には、営利を目的とする法人等の営利事業の用に供する業務は含まれない」という文言も入っている(下記写真参照)。


3月10日のインターネット版官報 号外第52号より抜粋

小中学生のアマチュア無線の運用体験機会拡大

電波法施行規則の一部改正部分(下記写真参照)。無資格者がアマチュア局を運用できる場合を示した。赤枠部分が新たに追加された項目で「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内においてアマチユア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に、当該無線設備の操作を行う場合」とある。


3月10日のインターネット版官報 号外第52号より抜粋

上記の改正で「総務大臣が別に告示する条件に適合するとき」とされた部分の総務省告示(下記写真参照)。追加されたのは赤枠部分で、小中学生(学齢児童生徒)が家庭内や所属する学校から無資格で運用できる場合の条件を細かく規定した。


3月10日のインターネット版官報 号外第52号より抜粋

総務省とJARLが参考となる情報を掲載予定

今回改正された規則と告示は「公布の日から施行する」とされているため、官報に掲載された3月10日から効力を発している。アマチュア無線の社会貢献活動での利用も、小中学生のアマチュア無線の運用体験も、事前に特別な申請や届け出は必要なく、アマチュア局の免許人は各自の責任においてすぐに行える。

とはいえ「どんな社会貢献活動やボランティア活動に利用できるのか」「連絡に使用する場合の注意点」などが、いまひとつ分かりにくく実感が持てないのも事実だ。そこで総務省は電波利用ホームページに、「アマチュア無線の社会貢献活動での活用に係る基本的な考え方」を掲載した。また一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)もアマチュア無線を利用した社会貢献活動のガイドラインを作成中だという。

今後、ボランティア活動に積極的に取り組むアマチュア無線クラブが増えるかもしれない。また父母や祖父母が開設するアマチュア無線局から、手軽に交信体験を行って、アマチュア無線への入門意欲を高めていく子供たちが増えるかもしれない。今回の法改正がアマチュア無線界によい変革をもたらし、さらなる活性化に繋がることを念じたい。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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