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アマチュア無線が社会貢献活動で利用可能に

総務省はアマチュア無線制度を改正し、「社会貢献活動の通信にも利用可能にする」「無資格者である小中学生の運用体験機会を拡大する」ことを決定した。関連する電波法令(電波法施行規則の一部)を今年3月に改正、施行する予定だ。


2月2日、総務省が意見募集の結果と電波監理審議会からの答申を公表した

昨年10月、総務省はアマチュア無線に係る制度整備として、「社会貢献活動の通信にも利用可能にする」「無資格者である小中学生の運用体験機会を拡大する」の2つを実現するための電波法関係省令と告示等の改正案を作成し、一般からの意見(パブリックコメント)を募集していた(2020年11月1日号のニュース記事参照)。その結果と同省の考え方が2月2日に発表された。

期間中に総務省へ意見を提出したのは429者(法人・団体37者、個人392者)。法人・団体には制度改正の要望書を提出したJARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)、JARD(一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会)のほか、公益財団法人 日本無線協会、JAIA(日本アマチュア無線機器工業会)、JAMSAT(NPO法人 日本アマチュア衛星通信協会)、一般社団法人 大日本狩猟会、一般社団法人 全国陸上無線協会などが含まれている。


意見募集の結果(概要)より。提出者は合計429者にのぼり、特に「アマチュア無線の社会貢献活動での活用」に関する意見が多かった

この429者からという提出件数は、2014年4月の「2アマ資格に養成課程制度を導入する」際の意見募集(216者)や、2014年8月の「475kHz帯の新規割り当て」(397者)、2020年1月の「1.9/3.5MHz帯の拡張と免許手続きの簡素化」の意見募集結果(221者)と比較しても多く、今回の制度改正に注目が集まったことが伺える。

今回の改正案と提出された意見

(1)アマチュア無線の社会貢献活動での活用(改正案)

★趣旨:
我が国は、その自然的・地理的条件から各種の自然災害が発生しやすい特性を有している。これまでアマチュア無線は、被災地の通信確保等において「非常通信」として活動を行い、地域において重要な役割を果たしてきている。非常災害時など地域課題の解決には、地域との連携による「共助」が重要とされ、近年、ボランティア活動の位置づけや活動の範囲も広がっている。米国においては、アマチュア無線の社会貢献活動が活発に行われアマチュア無線の社会の認知度が高いと言われている。

また、非常災害時等の自主防災組織・消防団活動、野生鳥獣による農作物や人身被害などの広域化・深刻化に対処する鳥獣被害対策事業等、また、より多くの方の協力が必要となる遭難者捜索など、国等の施策においても、その目的を円滑かつ効率的・効果的に達成するためには、地域の自発的な協力(共助)が欠かせず、地域の活動にアマチュア無線による社会貢献活動が期待されている。このため、アマチュア無線の定義を明確化することにより、アマチュア無線の積極的な活用や地位向上を図り、地域社会に貢献する。

★内容:
非常災害時等のボランティア活動や、地域における活動において、アマチュア無線を身近なくらしの中で活用できるようにします。これにより、アマチュア無線のより一層の活用が期待されます。

●非常災害時の災害ボランティアでの活用(事前・直前準備、訓練含む)
●ボランティア活動・地域活動での活用


改正後はアマチュア無線を社会貢献活動でも活用できるようになる。特に赤文字の部分が今回補足された(総務省公表の資料より)

この(1)の改正案に対しては、415者から意見が提出された。このうち原案通り賛成とする意見は88件で、それ以外の意見は738件が提出され、「アマチュアバンドにおける不正利用の増加が懸念されるため、電波監理を強化すべきではないか」(195件)、「社会貢献活動による通信は、アマチュア無線ではなく、各種の業務用無線により行うべきではないか」(190件)、アマチュア無線の定義は国内法令の上位に位置付けられる国際条約で定められているものであるが、今回の改正案はその範囲を逸脱しており、条約違反なのではないか」(99件)、「消防団が行う活動に関する通信は、アマチュア無線ではなく、消防用無線により行うべきではないか。鳥獣被害対策事業等の活動に関する通信はどうか」(97件)などがあった(1者で複数意見を提出したものが含まれる)。



「アマチュア無線を社会貢献活動に活用」の改正案に対して提出された主な意見と総務省の考え方より。提出意見により改正案の修正を図った部分も見られる

総務省はこれらの意見に対して、同省の考え方を表明している。例えば「社会貢献活動による通信は、アマチュア無線ではなく、各種の業務用無線により行うべきではないか」という意見には「本改正案は社会貢献活動等を行う通信として、アマチュア無線を使用させる・推奨するというものではなく、無線システムの選択肢の一つとしてアマチュア無線も使用することができることとするものです。(このため、アマチュア無線を使用しない、業務用無線を主としアマチュア無線を補助的に使用するなど、様々な対応が考えられます。また、当然ながら、アマチュア無線の使用にあたっては、アマチュア無線に係る法令を遵守する必要があります)」と説明している。

さらに「アマチュア無線の社会貢献活動についての補足」という文章を公開し、この開催案の目的と意義、誤解を招きやすい点を説明。またアマチュア無線の社会貢献活動での活用について基本的な事項の考え方をまとめて、電波利用ホームページで広く一般に公表することも明らかにした。


総務省は「アマチュア無線の社会貢献活動についての補足」を発表。意見募集の結果、誤解を招きやすい部分を説明している

なお総務省は意見を踏まえて、企業等の営利法人等の営利活動のためにアマチュア無線を使用することを明確に禁止していることを明示するため、告示案の文言の一部を変更し『電波法施行規則第三条第一項第十五号に規定する、金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う総務大臣が別に告示する業務は、次の各号に掲げる業務とする。なお、各号に掲げる業務には、営利を目的とする法人等の営利事業の用に供する業務は含まれない。』とすることも決定した。

(2)小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大(改正案)

★趣旨:
電波有効利用成長戦略懇談会における提言等を踏まえ、本年4月無資格者がアマチュア無線を体験できるアマチュア無線体験局を制度化したところ、さらにワイヤレスIoT人材の裾野を広げていくため、親と子、祖父母と孫といった家庭等及び学校(教職員と児童・生徒)において無資格の小中学生が身近なくらしの中で電波の利活用の可能性や楽しさを体験できるようにし、ワイヤレスIoT人材の育成に資する。

★内容:
無資格者の小中学生が、親や祖父母、学校の教職員などといったアマチュア無線有資格者の指揮・立会いの下で、その有資格者が開設するアマチュア無線を操作できるようにし、身近なくらしの中でアマチュア無線を体験できるようにします。このことにより、電波の利活用の可能性や楽しさを身近なくらしの中で体験できる機会を増やし、ワイヤレスIoT人材の裾野を広げていきます。

●有資格者である保護者(三親等内)の指揮・立ち会いの下、有資格者が開設するアマチュア無線局を使用し、無資格者の小中学生が運用体験可能
●学校の教職員である有資格者が指揮・立ち会いの下、その者が開設するアマチュア局を、当該校に在学する無資格者の児童生徒が運用体験可能
●学校の教職員である有資格者の指揮・立ち会いの下、その者が構成員となっている学校クラブ局を、無資格者である当該校の児童生徒が運用体験可能


改正後は無資格者の小中学生がアマチュア無線をより体験しやすくなる(総務省の公表資料より)

(2)の改正案に対しては、219者から意見が提出された。このうち原案通り賛成とする意見は80件で、それ以外の意見として81件が提出され、「無資格者による無線設備の操作が認められる範囲をより拡大すべきではないか」(56件)、「無線従事者資格を取得させるべきではないか。無資格者による無線設備の操作が認められる範囲は限定すべきではないか」(25件)などがあった。

これらの意見に対して総務省は、「電波法は、原則として、アマチュア無線局の無線設備の操作は、無線従事者でなければ行ってはならないこととされており、本制度により認められる範囲はその例外であり、一律、限定的なものとなります」「無資格者の操作範囲を、監督(指揮・立会い)する無線従事者の操作範囲内とすることで、無資格者がより多くの電波の利活用の可能性や楽しさを体験でき、ひいてはIoT人材の裾野を拡大に寄与するものと考えます。また、監督(指揮・立会い)する無線従事者の操作範囲内の運用であるため、その能力は担保されていると判断しており、多くの機会が創出できるようにするため、監督(指揮・立会い)する有資格者の資格を限定しないものです」と説明(一部抜粋)している。


「小中学生のアマチュア無線の運用体験機会の拡大」の改正案に対して提出された主な意見と総務省の考え方より

今後の公布・施行スケジュール

総務省は提出された意見と、改正案について諮問した電波監理審議会から「原案のとおりとすることが適当である」との答申が出たことを踏まえ、関連規則などの改正作業を行う方針を表明した。この改正案は3月中には公布・施行の予定で、さらに電波利用ホームページで「アマチュア無線の社会貢献活動での活用についての基本的事項」を公表するとしている。


今後のスケジュール。3月中には改正した関連規則を公布・施行する予定だ

今回の改正案の概要、提出された主な意見と総務省の考え方などの詳細は、総務省の報道発表ページ「電波法施行規則の一部を改正する省令案等に係る電波監理審議会からの答申及び意見募集の結果」に掲載されている。

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次号は 10月 1日(金) に公開予定

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