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特別寄稿 第2弾

SHF帯ディスコーン・アンテナの製作

JH3OUI 中谷 充宏


7月15日号では、LiteVNAを使いバイコニカル・アンテナを製作しました。製作したものの実際の交信はまだ行っていないのですが、近い将来のSHF帯のオンエアに向けて、今度はディスコーン・アンテナの製作にチャレンジしました。このアンテナも前号のバイコニカル・アンテナ同様、超広帯域です。バンド幅の広いSHF(Super High Frequency)帯に適しているアンテナといえます。

ディスコーン・アンテナとは

ディスコーンとは、英語でDisconeと綴ります。これはdisc(円盤)とcone(円錐)で構成される造語で、見るからに外観は「ディスク」と「コーン」で構成されたアンテナといえます。形状は、図1に示したようにアンテナの頂上部にはディスク部、下部にはコーン部が取り付けられています。


図1 ディスコーン・アンテナの外観図

書物によるとディスコーン・アンテナの寸法は、最低使用周波数で決まるとの説明があります。円錐部の辺の長さは、最低使用周波数の1/4波長以上にするのが一般的であるようです。こうすることで、入力インピーダンス特性は周波数の比で8倍以上に渡りほぼ一定の値となり、超広帯域特性が得られるようです。

ディスコーン・アンテナの製作

具体的なスペックを決めます。アンテナの中心周波数を5.7GHzとし、最低使用周波数を2.4GHz(2400MHz)として製作を進めます。理論では最低使用周波数の8倍ぐらいまでは入力インピーダンスがほぼ一定との説明がありますので、うまくいけば2.4GHzの8倍の周波数帯の19GHzぐらいまで使えるかもしれません。これも併せて後ほど確認します。

2400MHzの波長λは、次式より0.125m(=125mm)です。


円錐の辺の長さは、最低使用周波数の1/4波長以上とすることから、辺の長さLは、125÷4=31mmとなります。31mm以上とすると理論通りの結果が得られます。

製作段階で結果から発表するのは心苦しいのですが、この寸法でアンテナを製作したところなかなかSWRが広帯域に渡って低下せず、残念ながら理論どおりの結果とはなりませんでした。結局はカットアンドトライで円錐の辺の長さLを計算値の2倍程度まで長くし、ディスク部とコーン部との距離等も工夫して取り付けながら、L=68mmとすると図4に示したように、超広帯域に渡り一定の特性となりました。

従って、今回のアンテナの製作は実測を元にした製作を進めます。まずは、前号で製作したバイコニカル・アンテナのときと同じように銅板を準備します。本アンテナでは、上部エレメントのディスク部に使用する銅板は0.3mm厚、下部エレメントのコーン部には加工しやすいように0.1mm厚の銅板を使用しました。それぞれのエレメントの寸法を図2に、各エレメントの接合を図3に示します。


図2 ディスコ―ン・アンテナの各エレメントの展開図


図3 各エレメントの接合

製作したアンテナの特性

測定したデータを図4に示します。画像のStartが1GHz、Stopが16GHzで、15GHzの幅を表示しています。最低使用周波数を2.4GHz用として製作したアンテナですが、コーン部の辺の長さLを計算値より長くしたことから1GHzから16GHzに渡りほぼ一定の値となり、十分使用できる特性が得られました。

ディスコ―ン・アンテナのコーン部の辺の長さLを最低使用周波数の1/4波長以上とすることで入力インピーダンス特性は周波数比で8倍以上に渡りほぼ一定の値となるとの記述も今回の実測で裏付けられたことになります。


図4 測定結果(左:リターンロス、右:SWR特性)

アンテナの打ち上げ角も簡易的な方法で片方向のみ測定しました。その結果を図5に示します。2.4GHzでは、主ビームはかなり下に向いており、俯角45度ぐらいになっています。5.7GHzでは、ほぼ地面に対して水平方向です。10GHzではどちらが主ビームで、どちらがサイドローブは分かりませんが、2つのビームが出ていることが分かります。


図5 ディスコ―ン・アンテナの打ち上げ角の簡易測定

完成したディスコ―ン・アンテナ

完成したディスコ―ン・アンテナを図6のようにCDケースに収めました。このようにすることで、全天候型のアンテナとして使用することができます。また、CDケースの底に取付けたマストは、水道工事に使用する塩ビパイプの継手材を利用して製作したものです。アンテナをケースに収めた後は、接着剤で隙間を埋め、防水対策も行います。


図6 CDケースに収めたディスコ―ン・アンテナ

ジャンク市で見つけたGPSアンテナのジャンク品を分解し、その中に今回製作したアンテナを収めると、本格的なSHFアンテナとなりました(図7)。特性の実測や実運用はこれからですが、また結果が分かりましたらご報告したいと思います。


図7 ジャンク品のGPSアンテナのケースに収めたディスコ―ン・アンテナ

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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