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2024年10月1日掲載
無線従事者国家試験の指定試験機関である公益財団法人日本無線協会が、令和6年度(2024年度)12月期に実施する「第一級アマチュア無線技士(1アマ)」および「第二級アマチュア無線技士(2アマ)」国家試験の受験申請受付が10月1日から始まった。締め切りは10月20日。来年度(令和7年度)の1アマ、2アマ国家試験は、5月期と11月期の年2回開催になることが決定しているため、12月期の上級ハム国試はこれが最後になるかもしれない。
日本無線協会の発表によると、令和6年度12月期の1アマ国家試験は12月7日(土)、2アマ国家試験は12月8日(日)で、全国11か所(東京都、札幌市、仙台市、長野市、金沢市、名古屋市、大阪市、広島市、松山市、熊本市、那覇市)の試験会場で実施される予定だ。受験申請の受付期間は10月1日(火)から10月20日(日)までで、同協会のWebサイトにある専用ページでのみで受け付けている。
日本無線協会が発表した、令和6年度の1アマ、2アマ国家試験日程と受付期間(日本無線協会Webサイトより)
無線従事者国家試験は、以前は郵送による受験申請も可能だったが、2022年1月からインターネット申請に一本化されている。申請時には撮影後4か月以内の顔写真の電子データ(縦横比が「5:4」の縦長写真)のアップロードが必要になるので、申請前に準備しておこう。(写真の条件やアップロード方法はこちら)
試験手数料は1アマが9,600円、2アマが7,800円。受験者が申請時に指定した方法(クレジット決済、コンビニ決済、ペイジー決済)で、支払期限(12月期の場合は10月22日)までに納付を終える必要がある(振込手数料220円が別途必要)。
日本無線協会の「無線従事者国家試験等申請・受付システム」トップページ。申請はここから行う。初回申請時は先にユーザ登録が必要になる
(https://exshinsei.nichimu.or.jp/napp/shiken)
受験票は、試験が行われる月の前月(今回開始される令和6年12月期の場合は、11月8日に配信予定と告知されている)に電子メールで送付され、同協会ホームページの「お知らせ」欄で発送を行ったことが告知される。万一届いていない場合は「迷惑メール」のフォルダなどに自動仕分けされていないかを確認し、それでも未着の場合は日本無線協会に問い合わせをしよう。メールで届いた受験票は受験者がA4サイズの用紙に印刷した上で試験会場に持参する必要がある。
試験前に届く受験票(例)。写真画像も入っているので改めて用意する必要はなく印刷して会場へ持参する
試験で配布された問題用紙は持ち帰りが可能だ。出題された問題とその正答は後日、日本無線協会のホームページの「試験問題と解答」コーナーにPDFで公表される(土・日に実施された1アマ、2アマ国家試験の場合、週明けの火曜日か水曜日の夕方に公表されることが多い)。この正答発表の時期と試験結果の通知時期は、試験会場で係員から案内がある。
出題された問題とその正答は後日、日本無線協会のホームページの「試験問題と解答」コーナーで公表される。過去3回分の試験問題と正答も閲覧可能だ
試験結果は受験票と同様、電子メールで届く。メール内にURLアドレスが記載されている専用サイトから試験結果のPDFファイルをダウンロードする仕組みになっている。また令和5年10月期以降の無線従事者国家試験では、合格者に試験結果通知と併せて、試験時の情報(住所、氏名、生年月日、受験番号、合格の年月日等)を掲載した無線従事者免許申請書案の電子ファイル(Excel)の提供を試行的に行っている。この電子ファイルをダウンロードし、無線従事者免許証の申請に使うことが可能だ。
試験結果通知のメールよりダウンロードした結果通知書(例)
ここで、無線従事者規則に規定されている1アマ、2アマの試験科目と、日本無線協会が公表している両資格の試験問題、試験時間、出題数と配点・合格点の情報(目の見えない者の試験を除く)を紹介しておこう。なお“科目合格”はなく、「無線工学」、「法規」の両方とも合格点を取らなくてはならない。
●1アマ国家試験の「無線工学」
・試験科目:
(1) 無線設備の理論、構造及び機能の概要
(2) 空中線系等の理論、構造及び機能の概要
(3) 無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の概要
(4) 無線設備及び空中線系並びに無線設備及び空中線系等のための測定機器
・試験時間: 2時間30分
・出題数: 30問
・配点: 150点
・合格点: 105点
●1アマ国家試験の「法規」
・試験科目:
(1) 電波法及びこれに基づく命令の概要
(2) 通信憲章、通信条約及び無線通信規則の概要
・試験時間: 2時間30分
・出題数: 30問
・配点: 150点
・合格点: 105点
●2アマ国家試験の「無線工学」
・試験科目:
●2アマ国家試験の「法規」
・試験科目:
(1) 電波法及びこれに基づく命令の概要
(2) 通信憲章、通信条約及び無線通信規則の概要
・試験時間: 2時間30分
・出題数: 30問
・配点: 150点
・合格点: 105点
日本無線協会が公表している無線従事者国家試験の試験問題数と試験時間より(目の見えない者を除く)
日本無線協会が公表している無線従事者国家試験の配点・合格点より(目の見えない者を除く)
最後に1アマ、2アマ国家試験の合格率を紹介しておこう。総務省の情報通信統計データベースで公表されている直近のデータである令和4年度(2022年4月~2023年3月末)の1アマ、2アマの申請者数、受験者数、合格者数、合格率は次のとおりだ。
●令和4年度 1アマ国家試験
・申請者数: 1,732名
・受験者数: 1,248名
・合格者数: 389名
・合格率: 31.2%
●令和4年度 2アマ国家試験
・申請者数: 970名
・受験者数: 754名
・合格者数: 371名
・合格率: 49.2%
これは令和4年度に3回(4月期、8月期、12月期)実施された国家試験のデータを集計したものだが、最近15年間で見てみると、1アマも2アマも国家試験の受験者数は平成24年度(2012年度)をピークに緩やかな減少傾向が続いている。
最近15年間の合格率は、2アマについては平成23年度(2011年度)から50%前後でほぼ横ばいが続いているものの、1アマは平成28年度(2016年度)まで45%程度だったものが、平成29年度(2017年度)以降は30%前後という“難化”状態になっている。日本無線協会のWebサイトにある「試験問題と解答」コーナーでは、過去3回分の試験問題と正答をPDFで見ることができるので、最近の出題傾向を確認した上で試験に臨みたい。
無線従事者国家試験の試験機関である公益財団法人日本無線協会の本部。月刊FB NEWSでは歌手のMasacoさんが2020年11月号の「Masacoのむせんのせかい」で訪問している
なお日本無線協会は、これまで年3回行ってきた1アマ、2アマの国家試験の実施月を令和7年度(2025年度)から見直し、「5月」と「11月」の年2回実施に変更することを2024年4月に発表している。具体的なスケジュールはまだ公表されていないが、来年度に受験を計画している場合は注意が必要だ。
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