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おきらくゴク楽自己くんれん

その42 暑さ対策万全の軽トラモバイルシャックでハムフェア

JF3LCH 永井博雄

2024年10月1日掲載

こんにちは。昨年軽トラモバイルシャックでの海ほたる車中泊を断念したハムフェアの夜。今年はその轍を踏むまいとミニスポットエアコンと1000W DC-ACインバーターを導入し、着々と暑さ対策を進めて室内環境改善に努めてきました。そしてついに今年のハムフェアが迫ってきました。インバウンド需要増大により過酷な競争となっている宿予約問題解決と物価高のあおりで、高騰する宿泊代を節約する為にモバイルシャックは恰好のアイテムとなります。しかしその為にクリアしなければならない課題が山積していました。


ハムフェアで都内車中泊するための用意

1. これまでの軽トラモバイルシャック暑さ対策

昨年は準備と資金不足から100均発泡スチロールボックスを改造した氷で冷やす簡易冷風発生装置を使い真夏の夜の暑さをしのごうとしましたが、十分に室内温度を下げることは出来ず、それでも冷風に当たっていれば快適なものの、持続時間が2時間程度しかなくてあえなく玉砕(笑)。深夜涼しい高地にあるサービスエリアに避難し翌日そのまま帰宅してしまう、という情けない結果で終わりました。東京の夜は予想以上に暑い。舐めてはいけないと今さらながら身をもって学んだ次第です(笑)


昨年導入した氷式冷風発生器

そこで今年こそは夜を快適に過ごそうと本腰を入れて一歩進んだ対策を講じることにしました。

MAC-10という小さなスポットエアコン(冷房能力は60Hzで0.43kW)を購入。メーカーでは「ミニクーラー」と謳っていますが、運転の形式的にはいわゆるスポットエアコンのそれですので本記事では「ミニスポットエアコン」と呼んでいます。これの駆動用として12.8V 230Ahの大容量リチウムイオン電池と1000WのDC-ACインバーターと組み合わせて使います。電池の容量はMAC-10の消費電力から2晩程度を持たせることができる容量と想定して購入。排熱を室外に放出する仕組みと吸入空気も極力本体に吸い込まれるよう工夫をしながら、2晩の使用実績を踏まえて問題点をつぶしていきます。


ミニスポットエアコンMAC-10

これまで使ってきた中で課題となっていた点は次の通り
 ①冷えがイマイチ(クーラー本体の後から出る温風問題)
 ②インバーターからの排出熱による室温上昇
 ③インバーターの冷却ファンの騒音
 ④インバーター起因によるノイズが酷い

まず排出される温風を室外に排出するのに壁にあけてあった穴をφ67からφ100に広げたのですが、もっと効率よく排出ができるように壁にもファンをつけておきました。

次にインバーターが運転を続けて自身が熱を帯びてくると冷却ファンが勢いよく回転しうるさい上に熱が室内のこもってしまうので温度が上がるというなにをしているかわからない状況となってしまいました。


インバーターが室内にある事が不都合に

そこで今回はインバーターを外に出すことにしました。室内にある電池から電源を新たに壁に開けたφ67の穴に通して板に取り付けたインバーターをモバイルシャックの右側面とアオリの間に差し込みます。この状況ではインバーターが丸裸で走れませんので、現地に着いてからインバーターの設置作業を行います。


インバーター取付け板を製作


インバーター取付け状況

外付け状態で雨が降るとインバーターが使えなくなるので、簡素ですが防雨カバーも作りました。これで多少の雨が降っても大丈夫です。

この1000Wインバーターは運転時大変高いレベルのノイズを発生させます。HFから144MHzまですべてのバンドで影響がでますので大問題ですが、これは対策する時間もなく冷房をする時には無線運用しないということで対策は先送りとしました。

2. ハムフェアに出発(大雨の影響)

ハムフェア前日の金曜日午後に出発しました。この日は静岡県内の高速道路が大雨の為に通行止めが発生していて影響が心配でしたが、この時は偶然雨を避けるような形で走行となりラッキーでした。途中数回休憩とパーキングエリアで移動運用も楽しみながら東に向かいます。暗くなる頃に到着したサービスエリアで夕食とシャワーをしてからいったん高速道路を降りることにしました。

昨年は東京行きの夜は高速を降りずにサービスエリアで寝たのですが、近くのトラックの騒音と排気ガスで熟睡することができませでしたし気分も悪かったので、今年は迷惑な車が少なそうな道の駅を選びました。しかし到着した目的の道の駅付近は大雨が降っていてシャックに移ることもできないような状況でしたので、トンネルを抜けた富士吉田の道の駅まで来てしまいました。ここでは雨は降っておらず、涼しくてとても車中泊にはとてもいい状態でしたので、ミニスポットエアコンの力を借りる必要はありませんでした。


道の駅富士吉田の朝

静かな夜を越えて迎えた朝、せっかくここまできたのですが残念ながら雲で富士山を拝むことができませんでした。本来なら東名高速で東京に向かう予定でしたが中央道を使い都内に向かいました。今年のハムフェアは会場が有明GYM-EXに変わり駐車場がないという事でしたので、会場とは離れた安いコインパーキングに軽トラを停めて徒歩と公共交通機関で会場を目指すことにしました。幸い24時間で1320円という安価な料金の場所が見つかりました。離れた場所に軽トラを置いておくのは少し心配でしたがまあ大丈夫だろうと預けることに。徒歩で最寄の駅に行くつもりだったのですが、駐車料金が安いという事は駅から遠いというのは必然で、歩いているうちにあまりの暑さで参ってしまい結局タクシーのお世話になってしまいました。せっかくの節約計画が台無になりました(笑)。


会場とは離れたパーキングに預けました

タクシーを使ったおかげで開場時間より早く到着することができました。今年は特に開場とともに焦って買い物するような予定はありませんでしたので、落ち着いて会場入りを果たすことができました。


無事会場に到着

会場では沢山の方々と久しぶりのアイボールで話に花が咲き、楽しい一日を過ごすことができました。ここまできた甲斐があったとつくづく思いました。

3. 空港近くの有料駐車場で車中泊

1日目が終わって今回の最大の課題である都内での車中泊です。まずは場所の選定ですが車中泊系動画で紹介されていた羽田空港近くの公園にあるコインパーキングで泊まることにしました。ここの台数は12台と小さいのですが近くにキレイなトイレと飲料の自動販売機もあり、料金は24時間で1100円と格安です。ただ空港に近いので騒音がかなり大きいという事だったのですが、室内でミニスポットクーラーを運転している時スマホのアプリで計測すると50dB程度の騒音なので同じ程度の音ならそんなに気にならないはずと判断しました。これまでの実績で50dB程度の騒音なら平気で寝ることができる鈍感力に優れる(笑)私ですが、今回は念のために耳栓をして寝ることにしました。

到着時2台分しか空きがありませんでした。週末のこの時間は人気がある時間帯だったみたいです。入庫後1時間は無料なのでコンビニで買い物する為に一旦出た時に何台か車が入り満車になってしまいました。幸い買い物から帰ってくると1台分だけ空きがありましたので問題なく今夜の宿泊地を確保することができました。


今夜の宿泊地

ひとり宴会(笑)の前に冷房の準備をしました。出発前に試したインバーター外付けを実践します。お天気はいいので心配は少ないですがインバーターを雨から守る保護カバーを装着し万全を期しました。


外付けインバーターを防雨カバーで保護

準備ができたら早速冷房運転とひとり宴会を開始しました(笑)


就寝前の温湿度

冷房開始時の室内は31℃。湿度は80%でした。運転を開始するとすぐに汗が引いて快適な環境になりました。そのまま運転を続けて就寝前0時30分では28.3℃となりました。湿度は72%とこれもわずかですが下がっていました。この時の羽田アメダスの気温は約30℃。東京アメダスでは湿度90%を記録していました。。狭いシャック内では人が入っているだけで室温は上がりますから冷房の効果は確実に出ていました。また熱風を排気した分湿度90%の空気が入ってくる訳ですし、気温が下がれば同じ水蒸気量なら湿度は上がりますから、両方の数値が下がるという事はかなり除湿ができていると言える状態だと思いました。


キレイな夜明け

4. 会場近くで移動運用もバッテリーが・・・

昨年はあまりの暑さに耐えきれず海ほたるを逃げ出したのですが、今年はうるさいものの耳栓のおかげもあり快適に夜を過ごすことができました。飛行機の騒音はあまり気になることはありませんでした。朝方少し雨が降ったようで、防雨カバーにはたくさんの水滴が残っていました。念のためにカバーをしておいて大正解だったようです。一晩中運転を継続したのですが、0.7Lのドレンタンクは3時頃目が覚めた時に確認すると70%程度溜まっていたので排出しました。その後は朝まで運転して50%を超えることはありませんでした。本機では単純に運転時間とドレン水の発生量が一致しないので、蒸発器で発生したドレン水を下にある凝縮器に垂らして蒸発させる仕組みがあるのかも知れません。


撤収し2日目に出発

この日は少し料金が高かったのですが、会場最寄りの駅駐車場に車を停め会場入りました。おかげで暑い中さほど歩くことなく会場に入ることができました。早く到着できたのでここで冷房をかけながらシャック屋根に上げたホイップアンテナを使い、インバーターノイズの影響がない430MHzで移動運用を行いました。沢山の方と交信していただき2時間ほどしてクーラー電源にしている230Ahの電池の容量が尽きてしまいました。予備の100Ah電池は残っていましたが、開場時間も迫っていた為移動運用は終了。昨日から朝までの約7時間と今朝の移動運用2時間で230Ahが尽きてしまったことは予想よりかなり早く感じました。定格の消費電力での運転ならばもう少し長く使える計算だったのですが、運転条件が厳しく予想以上の電力を消費してしまっていたようです。この季節の使用では今後延べ9時間程度の運転時間を目安にすることを必要としておきます。

この日は東京の友人と会う約束もありお昼には会場を後にして、会食後帰路につきました。

5. 満足の帰宅

これまで数々のテストと対策が実り、一年の課題をクリアして満足いく結果を得ることができました。少し電池の持続時間に不満はありますが冷やすために必要なエネルギーがそれだけ必要だという事なので仕方のない事だと思います。冷やす能力をこれ以上下げることは出来ませんし。逆に昼まで快適になるような能力が欲しいならもっと大きな電池が必要だという事です。

昨年とは大違いでいろいろなサービスエリアに立ち寄りのんびりと気分のいい帰り道でした。実質この季節を過ぎれば冷房の必要はないので、このミニスポットエアコンも一年間お役御免という事になりそうです。その間は自宅で除湿の能力を買って衣類の乾燥などに活用したいと思います。


総走行距離1000㎞を超える旅でした

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