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コンテストインフォメーション

2024年11月~12月のコンテストレビューと2025年1月の注目コンテスト

JR1UJX 松永浩史

2025年1月6日掲載

皆様明けましておめでとうございます。年始のお休みを満喫されている方、既にお仕事や勉学に励んでおられる方等様々だと思います。今回は11月30日に開催されましたコンテスト講習会の紹介を中心とし、年末に開催されたコンテストのレビューと年始に開催されるコンテストの特徴について紹介したいと思います。

イベントレビュー 第二回コンテスト講習会

11月30日に立川市アマチュア無線クラブとホタテコンテストクラブの共催により立川市にて開催されました。昨年開催された第一回では比較的初心者向けの演題・内容が多かったのですが、第二回は各分野で活躍されているアマチュア無線家が演者となり、ベテランでも満足できるような高度な内容となりました。以下、演目と内容を簡単に紹介します。

① コンテストスキルアップにつながるかもしれない? 野戦的な衛星通信移動運用(7N1PFW)
「限られた時間内に要件のみを伝える」という点でコンテストと衛星通信は類似点が多いです。コンテスターでありサテライターでもある演者が衛星通信の基礎的な情報や運用のコツを紹介されました。特に「野戦的な運用」と称された早回り移動運用のノウハウは衛星通信のみならず、POTAのActivation等にも応用できると思いました。

② リモートを使ったDXペディション(JE1CKA)
リモートオペレーションの技術向上やノウハウの蓄積により、今はリモートオペレートを活用しDXペディションを行うことができる時代になりました。今回はN5Jにリモートオペレーターとして参加された演者がその概要や運用の模様、ご苦労された点を紹介されました。

③ コンテスターも楽しめる?? POTAアクティベーションの世界(7L4WVU)
自作やコンテスト、DXと幅広い分野で活躍されている演者がPOTAアクティベーションの楽しさと設備・運用両面での様々な工夫を紹介されました。特に演者の高い技術力とPOTAのノウハウを活かし製作されたHF用POTA運用システムは大変コンパクトかつ実用的です。会場に現物を展示されており、参加者の注目を浴びていました。

④ 手のひらサイズのコンテストロガーで楽しむ担ぎ上げコンテスト(JK1DVP)
呼ばれるコンテストを楽しむうえで良いロケーションで運用することは重要です。しかし、担ぎ上げで移動運用する際に荷物の重さと電源の確保が問題となります。演者は自ら小型のロガーとロギングソフトを自作し、PCを持参しなくてもSO2Rが可能な省電力のシステムを構築されました。今回はその経緯や概要を展示と併せて紹介いただきました。

⑤ 誰も教えてくれないコンテスト集計のイロハ(JE1ICU)
演者はJARL群馬県支部のコンテスト委員を担当されておられます。審査する立場からログ作成、提出時に注意すべき点、集計の方法、ログ解析プログラムを紹介いただくとともに、オール群馬コンテストにおける集計事例を紹介いただきました。質問も多く出され、参加者の関心の高さも感じられました。

⑥ トップコンテスターが使う紙ログ(JK1XDB)
コンテスターの多くはロギングソフトを使用されていますが、紙ログを使用し好成績をあげておられる方もおられます。紙ログ派である演者が紙ログ使用の長所や改善活動との共通点、今も工夫している点を紹介されました。

演者が所属されているクラブでは毎年Contest Guide Book(CGB)を発行、頒布されており、その中でも過去紙ログの長所・短所が紹介されてきました。今回の講演はそれらをまとめた分かりやすい内容だと感じました。

⑦ SHF CWを制する者は6m AND DOWNを制す ~SHF CWの勧め~(JA1BJI)
優れた運用技術に加えSkimmerの活用により、コンテストで素晴らしい戦果をあげられておられる演者がSHFでの運用、特にA1Aでの運用事例、実験事例を紹介されました。F2Aでは交信困難でもA1Aならば交信可能な実験例、山岳反射や都心のビル反射の有用性、zLogのF2A対応状況等、すぐに活用できる情報が豊富でした。IC-905の発売によりSHFが盛り上がっております。ここで紹介されたノウハウは今後役立つと思います。

⑧ ~JHU流~オバケポールの上げ方(JK1JHU)
移動運用で大型アンテナを使用する際、所謂「オバケポール」を使用される方が多いと思います。しかし、タイヤ基台を使用できない場面や重たいアンテナをあげる際に苦労することも多いです。マルチバンド移動運用の経験が豊富な演者がソフト、ハード両面からノウハウを紹介されました。
一見小さいネタに見えるかもしれませんが、筆者を含めこのあたりのノウハウがないために移動運用時のアンテナ展開に困る方も多いと思います。大変有用な講演でした。

⑨ コンテストで広めるアマチュア無線の魅力 YCPの取り組みについて(JJ1AHS)
演者は高齢化が進むアマチュア無線界では珍しい大学生です。YOTA Summer Camp参加を通じて若者にアマチュア無線を広めることを課題認識され、コンテスト参加を通じた普及に着目されています。この講演ではYouth Contesting Program(YCP)の事例が紹介されています。様々な反省点も紹介されており、読者の皆様が企画される際の参考になると思います。抱負も述べられており、今後の活躍が期待されます。

⑩ シングルオペでのDXコンテストの運用について質問受け付けます(JH5GHM)
皆さんは250QSO/時を超えるオペレーションを経験したことはありますか? DXコンテストで活躍されている演者がこれを実現するシステムを紹介されるとともに、実際の運用の様子を動画で紹介されました。

動画をご覧頂く際の注意点ですが、動画で紹介されているのは21MHzと28MHzで同時にRunしている場面です。片方のバンドで送信中に他方のバンドを受信していますが、送信中のサイドトーンを出さないよう設定されているため、ずっと受信音が流れているように聞こえます。このことを前提としてお聞きください。

⑪ 「WW DXコンテストSSB 2024」海外からのコンテスト(JJ1DQR)
海外での運用経験が豊富な演者がタイからコンテストに参加された様子やそこで学んだことを紹介されました。現地のトップコンテスターからアドバイスを受け、それを実践した様子を動画で紹介されており、Before/Afterが明確にわかります。皆さんにも是非参考にしていただきたいと思いました。

⑫ マルチステーションのリグ選び(JQ1BVI)
1kWマルチTX局であるJQ1YUFのオーナーである演者が、マルチTX局で使用するリグに求められる条件を紹介するとともに、新旧様々な無線機の長所・短所を忖度なく紹介されました。中には一般的な評価とは異なるマルチTX局ならではの評価もあり、参加者は興味深く聞き入っておられました。

⑬ あなたのリグ、リグコンに挑戦(JJ8DAN)
こちらは講演でなく実演です。参加者が会場に持ち込んだ無線機、PCを接続設定し、zLog等のロギングソフトが動作するようにする様子を実演されました。設定を依頼した参加者以外にもリグコンに関心を持つ参加者は多く、接続によるメリットや設定のポイント等、様々な質問に答えていました。


これら以外にも立川市アマチュア無線クラブの紹介、更にはホタテビキニ製作所の作品展示も行われました。

筆者はこれまで様々なハムの集い、講習会に参加してきましたが、これほどハイレベルかつ密度の濃いイベントは無かったと思います。講演の模様はYouTubeで見ることができます。是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/@jq1bvi

コンテスト界の話題 6m AND DOWNコンテストの結果について

12月に入り参加者へLog Check Reportが配信され、webで結果が発表されました。しかし、実在する局がブロークンコール(不完全・未発給・海外コールサイン等)として扱われ、減点された等の情報が参加者から発信されました。JARLにも問い合わせが多数寄せられたようで、「現在調査中」との回答が返信されている模様です。審査時のトラブルと思われますが、続報を待ちたいと思います。

コンテストレビュー① 東京UHFコンテスト
昨年に続き筆者は移動運用で参加しました。運用環境に大差ありませんが、昨年よりも呼んでくださる局が少ないと感じました。CQを出すと呼ばれるが後が続かない、ワッチすると多数の局がCQを出しているが皆空振りしているという状況でした。帰宅後にSNS等を見ましたが、やはり「昨年程は交信できなかった」というコメントが多数でした。ここ数年をみると2020年、2021年はコロナ渦の影響で参加局が非常に多かったのですが、その後は徐々に参加局数が減っているようです。今回でコロナ以前の状態に戻ったのかもしれません。

コンテストレビュー② CQ WW DX CONTEST(CW)
筆者は東京UHFに参加していたためこちらには参加しておりませんが、大変コンディションが良かったようです。SNSやblogを拝見していると「自己記録を更新できた」「部門レコードに迫る結果を出せた」等の書き込みが多数みられました。内訳をみると10mのコンディションが大変良かったようで、マルチバンド参加者も10mの交信数が最多という方が多いようです。一方、人によっては14MHzを運用するタイミングに苦労したかもしれません。既にRaw Scoreは発表されております。最終結果発表が楽しみです。

コンテストレビュー➂ KCWA CWコンテスト
先月号にて紹介しました通り、有力局がひしめく状況でした。筆者は終盤のみ短時間参加しましたが、CQを出したら直ぐに常連局が立て続けに呼んできて、しかもシリアルナンバーは極めて接近しているという緊張した状況でした。コンディションのトラブル等も無かったようで、皆さん平年並みの出来だったのではと思います。

コンテストレビュー④ ARRL 10m CONTEST
コンディションは大変良好でした。筆者はベランダに仮設したEFHWでワッチしていましたが、強くはないものの東海岸までしっかり聞こえていました。しかし、前月に開催されたCQ WW(CW)のコンディションが良過ぎたため、参加者の感想は「期待をやや下回る」というものが多かったようです。とはいえ、ベアフットでも約800交信できた方もおられますし、何とQRPで500交信近くできた方もおられます。年明けのARRL DXが楽しみです。

注目のコンテスト① QSOパーティ
2021年に開催期間が延長されました。今年も1月2日~7日に開催されます。ステッカー発行要件である20局の達成が容易となった一方、楽しく参加する工夫をされる方もおられます。いくつか紹介します。
・とにかく沢山交信する。
・特定のバンド、モードで参加する。
・出来るだけ多くのバンドで20交信する。

WARCバンドや普段アクティビティが低いバンド、モードで交信する機会ですので、皆さんもお時間がございましたら覗いてみてください。

注目のコンテスト② オール兵庫コンテスト
例年1月4日に開催されております。4日が仕事初めとなる年もあり議論もありましたが、今回は土曜日開催なのでこの問題はございません。むしろ問題になるのはQSOパーティとの重複です。一方、過去の結果をみると曜日やQSOパーティとの重複の影響は特にみられません。グラフ中の開催年に曜日を付記しております。またQSOパーティの期間延長は2021年からです。


昨年は能登半島地震のため中止となりました。参加局や参加部門、入賞ラインは安定していますので、過去の結果や兵庫と自局の位置、伝搬の相性を見ながら参加部門を検討されてはいかがでしょうか。

注目のコンテスト③ オール埼玉コンテスト
成人の日である1月13日に開催されます。多くのローカルコンテストは対象地域外局同士のコンテストは無効ですが、本コンテストの場合、2024年に規約が改定され県外局同士の交信も得点やマルチとなりました。更に今回は電信、電話での交信がそれぞれ得点計上できることになりました。このように大きな変更があったため、過去の結果から入賞ライン等を予測することは難しいです。しかしながら、県外局同士の交信が有効、同一局でも同一バンドで電信、電話の2交信が有効となることから、少なくとも県外から参加するうえでは従来よりも沢山交信できるはずです。

では、楽しいお正月をお過ごしください。

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