日本全国・移動運用記
2025年1月6日掲載
11月30日(土)から12月1日(日)にかけて、アマチュア無線に関するイベントが全国各地で行われました。
筆者は11月30日のアイコムフェア(詳細はこちら)への参加も検討しました。しかし、1エリアで移動運用を行った実績が少ないことから、この機会に1エリアを訪れたいと考え、「さいたまハムの集い」(2020年1月号の記事)に行くことにしました。今回は2019年とは異なる会場で開催されたため、新たな場所への訪問・運用となりました。
筆者が在住する愛知県から埼玉県へ車で移動するには、新東名→東名→圏央道や首都高を経由するほか、中央道を利用するルートもあります。筆者はこれまで神奈川県での移動運用が特に少なく、横浜市や川崎市で運用したことがありませんでした。そのため、移動局が少ない区や運用が難しい区で1か所でも多く運用したいと考え、新東名-東名を経由して神奈川県内で運用する計画で、候補地をリストアップしていました。
ところが、新東名高速道路で静岡県内を移動中に交通情報を確認したところ、神奈川県内で事故渋滞が発生し、所要時間が予測できない状況になりました。貴重な移動運用の機会を渋滞で無駄にしたくないと判断し、予定を変更して、御殿場市から東富士五湖道路を経由して中央道の大月ジャンクションへ向かうことにしました。
写真1 駿東郡小山町での運用の様子
沿線でCWでの需要がありそうな場所を調査すると、駿東郡小山町、富士吉田市、都留市、南都留郡山中湖村、南都留郡忍野村などが候補に挙がりました。移動時間や衛星の通過時刻を考慮し、また、過去に運用したことがあり様子が分かる場所を優先して、小山町→富士吉田市→山中湖村→都留市の順番で回ることにしました。
最初に訪れた駿東郡小山町では、富士山が間近に見えました(写真1)。V/UHF帯では富士山での反射を利用して、思わぬ遠方と交信できることがあります(例: 2024年2月号の記事)。しかし、今回は時間が限られていたため、HF帯の運用に専念しました。その後、富士吉田市、山中湖村、都留市とも、公園や運動公園で運用しました(写真2)。
写真2 富士吉田市での運用の様子
埼玉県内での運用計画を立てるために情報収集していると、いつもお世話になっている方が鶴ヶ島市で移動運用していると情報を得ました。そこで、まず隣の日高市で短時間運用を行い、鶴ヶ島市の運用場所を訪れて、お会いすることができました。その後、さらに隣の坂戸市に移動し、埼玉県の3市で運用を行いました。
さいたまハムの集いの会場である さいたま市岩槻区に近付くと、2012年10月に埼玉県白岡市が誕生した際、現地に乗り込んで移動運用を行い、周辺の市区町でも運用場所を探したことを思い出しました。当日の朝は、さいたま市岩槻区の会場に近く、これまで運用実績が無かった蓮田市で運用しました。午前6時前後では7MHz帯で国内が聞こえない様子だったので、1.9MHz帯、および3.5MHz帯だけの運用になりました。
岩槻区の会場の駐車場で運用を開始しました(写真3)。午前7時過ぎ、太陽が完全に昇った時間帯に1.9MHz帯を運用すると、埼玉県内の2局と交信に成功するなど、会場での運用では1.9~50MHzの全ての周波数帯で交信できました。なお、無線機の電源には専用のバッテリーを使用しているため、運用中に発電機の騒音は発生しません。
写真3 さいたまハムの集い会場駐車場での運用の様子。到着直後に撮影したもので、この後すぐに満車になった
2019年の「さいたまハムの集い」では、当時の記事にあるように運用実演の掲示などを用意していただきました。今回は、使用できる衛星が少なく大々的な宣伝が難しかったことや、現地の駐車場の様子が分からなかったことから、会場にいる方に声を掛けて駐車場に移動し、サテライトFO-29の実演を行いました。FO-29はJARLが管理する衛星で、打ち上げから年月が経過しているため、現在は管制局がトランスポンダをオンにする時だけ運用可能になっており、運用の機会そのものが貴重になっています。
筆者がハムフェア、北海道ハムフェア等で出展しているブースでは、アンテナの設置や撤収については解説する機会がありませんでした。そこで、車内にアンテナを収納した状態から組み立てるまでについても実演を行いました。
サテライト用の三脚アンテナは、車内から取り出して設置するまでに1分30秒以内で完了します。運用の様子は、前述の2019年の記事と変わりませんので、そちらをご参照ください。さらに、HF帯のアンテナ設置の実演もしました。アルミ板をアース端子に接続したオートアンテナチューナーを車の屋根に置く方式で、タイヤベースを踏む→オートアンテナチューナーを屋根の上に置く→タイヤベースに釣竿を立てる→電線を接続する までの一連の動作が1分ほどで終わります。
QSO数を表1に示します。冬場の電離層のコンディションでは、HF帯のハイバンドの国内近距離伝搬は期待できないため、昼間の運用は7~14MHz帯に限定しました。夕方になって少しコンディションが良くなり、18MHz帯でも交信できました。
表1 周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数。1.9~50MHz帯はCW、サテライトはCWとSSB。
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