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車内シャックの構築と運用

その1 アイソレーターの設置

月刊FB NEWS編集長 JS3CTQ 稲葉浩之

新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。現役の方は自宅勤務を命ぜられ、テレワークで対応されておられる方も少なくないのではないかと思います。アマチュア無線でも移動運用の自粛要請が出されるなど、ステイホームが浸透しつつあります。

ウイルスに感染しないためには人との接触を断つのが一番効果があると言われていますが、無線を使ったコンタクト(接触)であれば、それが直接の原因で感染する可能性はゼロであり、こんな時の息抜きはやはり自宅からのアマチュア無線運用がおすすめです。特にこれからの時期はEスポシーズンとなり、ローパワーかつ小型アンテナでも国内遠距離通信の楽しめる季節となりますので、軒先からちょっと出したホイップアンテナでも遠距離と繋がるチャンスが広がります。

たまたまこんな時期にあたってしまいましたが、筆者は昨年車が故障したため、12月に新車を注文し本年2月に納車されました。注文から納車まで時間がありましたので、その間、車内シャックの構築についてじっくり検討しました。納車後は週末になれば、いそいそと車内運用のための設備を再構築してきましたので、順にご紹介致します。読者の皆様の多少でも参考になれば幸いです。

今現在、外出運用は我慢の時、車内シャックの構築に専念し、新型コロナウイルス感染症が終息した暁には、完成した設備で移動運用に出かけたいと考えております。その際にはぜひお相手いただけましたら幸いです。

その1 アイソレーターの設置

駐車場などに自動車を停車させ、車載バッテリーを電源にして運用を楽しむ場合、バッテリー上がりには特に気をつけないといけません。運用に熱中しすぎてバッテリーを使い切ってしまい、いざ帰ろうとエンジンを掛けようとしたらセルモーターが回らないといった事態は、絶対に避けなければなりません。特に人里離れた場所ではスマホが繋がらないことも多く、救助が呼べなかったり、他に誰も来ないような場所だったとしたら致命的となります。

もちろん、エンジンを回しっぱなしで運用すれば回避できますが、経済的ではなく、環境的にも決しておすすめできるモノではありません。このような事態に備え、無線運用にサブバッテリーを使用される読者も少なくないと思います。サブバッテリーを使って運用することで、たとえサブバッテリーを使い切っても、メインバッテリーでエンジンを始動できますので、バッテリー残量を気にすることなく、運用に集中できます。

ここで問題となるのがサブバッテリーの充電です。移動運用に出かける度に自宅に持ち帰って充電するのは、毎回重量のあるバッテリーの積み降ろしが必須となるため大変です。そこで、車に標準装備のオルタネーターでサブバッテリーを充電すれば、積み降ろしの煩わしさから解放されます。

ただし、サブバッテリーをメインバッテリーと並列接続し、そのままの状態で運用するとメインバッテリーも同時に消耗してしまうため、毎回手動で切り離すか、あるいはアイソレーターを挿入して解決するかのどちらかになります。このアイソレーターは、本WEBマガジン2019年12月号の「楽しいエレクトロニクス工作」で自作例が紹介されていますので、腕に自信のある方はぜひ作ってみて下さい。自作で楽しめ、さらに運用で楽しめて一石二鳥になるに違いありません。

筆者のように、工作よりも運用に重点を置きたいという読者の方は、市販品のアイソレーターを購入して取り付けるという手があります。「サブバッテリーチャージャー」や、「バッテリーアイソレーター」などでネット検索すると数種類のアイソレーターが見つかると思います。


写真1. 市販品のアイソレーターの例
(ニューエラーのSBC-004、写真はメーカーホームページより)

さて、今回導入した車両はメーカーオプションで寒冷地仕様にしてもらったため、バッテリー2個積みです。もちろんオルタネーターも強力型に変更されています。前代車両も寒冷地仕様でバッテリー2個積みでしたが、移動運用のためにディープサイクルバッテリーをサブバッテリーとして、助手席の足元に積載していました。室内への積載はかなり邪魔で、助手席に人を乗せるときにはサブバッテリーを降ろさなければならず面倒でした。さらにアイソレーターは安価な簡易型を使用していましたので、シガーライターソケットから充電できて特別な配線をしなくて良い、という大きなメリットはありましたが、アイソレーター内部の電圧降下が大きく、結局昇圧コンバーターとセットで使用しないと満足にサブバッテリーに電気が入っていかない状況でした。


写真2. 前代車両で使用していた簡易型アイソレーターと昇圧コンバーター。
真ん中のプラケースには電流制御用の抵抗(0.2オーム)を入れている。

今回は、この状況を改善すべく、車に積載された標準バッテリー(85D26)✕2個のうち1個をサブバッテリーとして無線専用に割り当てました。これにより、ただでさえ狭い室内空間にサブバッテリーが鎮座することが無くなり、人を乗せる度にサブバッテリーを降ろす面倒からも開放されました。


写真3. エンジンルームの前方左右にそれぞれバッテリー(85D26)が積載されている

もちろん、バッテリー間にアイソレーターを入れることで、走行中はオルタネーターからサブも同時に充電され、ACC(車両のアクセサリー機能)オフ時には、自動的にサブとメインが切り離されるため、極端な例としてサブが空になるまで運用してもメインでエンジンがかかります。(ご注意: エンジン始動用の鉛バッテリーを完全放電させてしまうとバッテリーの寿命が極端に縮まるそうなので、適当なところ(例えば11.0V)で運用停止するのが無難です。)


写真4. バッテリー並列接続ケーブルを外して、メインと切り離したサブバッテリー


写真5. メインバッテリー側の配線

今回は市販のアイソレーターとして、ニューエラーのSBC-004を購入しました。このアイソレーターの取り付け箇所ですが、エンジンルーム内にするか、室内にするかでかなり迷いました。エンジンルーム内に設置すれば、接続ケーブルを短くできることでロスが抑えられ、電圧降下を減らせます。しかし、エンジンルームを開けないとLEDで示される充電状況を確認することができません。そのため配線が長くなってロスは増えるもののアイソレーターは室内に設置することにしました。


写真6. 助手席の足元右サイドに設置したアイソレーター

配線には、メーカー推奨の8SQケーブルを使用しました。付属品の丸形圧着端子が、R8-S4でしたので、これをそのまま利用しました。なお、エンジンルームから室内への配線引き込みは納車前にディーラーにて、ディーラーオプションの装着に合わせてやってもらいました。また、車のACCからアイソレーターに配線を施し、ACCと連動してアイソレーターがオン/オフするようにしました。これにより、(通常は)エンジン動作時のみアイソレーターが動作し、両バッテリーがオルタネーター出力で充電されます。

上の写真でアイソレーター本体のすぐ上に取り付けたデジタル電圧計は、トグルスイッチとの組み合わせで、各種電圧を表示するように配線しました。このトグルスイッチはACCとアイソレーターに接続したラインに入れています。

このスイッチを挿入した目的は、(レアケースですが)、エンジン停止時にACCをオンにしてラジオなどを聴いている状態では、ACCがオンだとアイソレーターが動作してメインバッテリーがサブバッテリーを充電してしまい、メインバッテリーが減ってしまうため、このスイッチを手動でオフにして、アイソレーターの動作を止めるためです。そのため、このスイッチで必須ではありません。


図1 構成図


写真7. リレーには車載用配電盤(アドニス電機のPD-30)を使用中

デジタル電圧計の表示内容

1-1. エンジン始動時、かつトグルスイッチオン時
(オルタネーター出力でサブバッテリーを充電中)
→充電電圧(オルタネーターの出力電圧)を表示

1-2. エンジン始動時、かつトグルスイッチオフ時
(アイソレーターの電源がオフ = サブバッテリーの充電停止中)
→サブバッテリーの電圧を表示

2-1. エンジン停止時でACCオン時、かつトグルスイッチオン時
(メインバッテリーでサブバッテリーを充電中)
→メインバッテリーからの充電電圧を表示

2-2. エンジン停止時でACCオン時、かつトグルスイッチオフ時
(アイソレーターの電源がオフ = サブバッテリーの充電停止中)
→1-2同様、サブバッテリーの電圧を表示

3. エンジン停止時でACCオフ時
→トグルスイッチのオン/オフに関わらず、何も表示しない

今回、アイソレーターを装着した最大のメリットは、サブバッテリーがエンジンルーム内にあることで室内の一部(助手席の足元)を占有することが無くなり、重量物であるサブバッテリーの積み下ろしから開放されたことです。もちろん、メインバッテリーの残量を気にすることなく、運用に熱中できることも大きなメリットです。

なお、サブバッテリーからの出力は、DC-DCアップバーターを通して、13.8Vにブーストし、無線機に供給していますが、これの詳細は次回以降でご説明いたします。

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次号は 8月17日(月) に公開予定

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