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子供の無線教室 ~電波のフシギをやさしく学ぼう~

第7回 「電波はどうやって海外や宇宙に届くの?」

月刊FBニュース編集部

このコーナーは小学生のキミたちに電波や無線のふしぎなところ、面白いところを知ってもらうために毎月連載しているよ。バックナンバーも読んでみてね。

さて第4回でお話しした「電波の性質」を覚えているかな? そう、電波にはこんな性質があるんだったね。

★第4回で勉強した「電波の性質」をちょっとおさらい
その1 「電波は超速いゾ!」
その2 「電波は遠くまで届くぞ」
その3 「電波は反射する」
その4 「電波は曲がる!?」

詳しいことはバックナンバーで第4回を読んでみよう。そして今回は「電波は遠くまで届く」という性質のことを、もう少しくわしくお話ししていこう。


宇宙を目指すロケット(H2A-II)の打ち上げシーン。地上(地球)との通信が欠かせないけれど、どんな電波を使っているのかな? (写真(C)JAXA)

電波を反射する電離層の働き

電波が遠くまで届くのは、地上約60~800キロメートルにある「電離層(でんりそう)」という、電波を反射する性質があるイオン層の働きなんだ。

地上から発射した電波は、電離層で反射してまた地上へ返ってくる。すると今度は地上(地面)で反射して空に向かって飛んでいく。そしてまたまた電離層で反射して返ってくる…ということを繰り返しながら、数千キロメートルも届いてしまうんだ。条件が良ければ、地球の裏側とも交信できることがあるんだよ。

電離層に反射しやすいのは、短波や中波、長波といった、わりと周波数の低い(波長が長い)電波だ。周波数が高くなるほど、反射しないで突き抜けてしまう。同じ短波でも、4MHzぐらいの周波数と25MHzぐらいの周波数では反射のしかたが全然違うのもおもしろいところだよ。

実はこの電離層、発生する場所の高さや、反射する電波の性質の違いから地上に近い位置から「D層」「E層」「F層」という3つに分かれているんだ。

★D層(地上から60~90キロメートルの高さ)
昼間に発生して夜は消える。周波数が低い長波をよく反射させる

★E層(地上から100~120キロメートルの高さ)
昼間が中心で夜は薄くなる。長波・中波を中心に反射する

★F層(地上から150~800キロメートルの高さ)
短波の電波をよく反射する。周波数が高くなるほど、反射するときのロスが大きい。夜は薄くなるので短波でも高い周波数は反射しない

「あれっ? 昼と夜では電波の反射のしかたが違うんだね!」と気が付いたキミはエライ!! そう、電離層は太陽からの強い光(紫外線)が当たる昼間は、電波を反射する性質(電子密度)が強まり、太陽の光が当たらない夜は弱くなったり消えたりしてしまう性質があるんだよ。太陽の光に関係しているなんてフシギだね!


短波を使ったラジオ放送(ラジオNIKKEI)の送信所。昼でも夜でも日本全国に放送を届けるため、3/6/9MHz帯という3種類の周波数を使っている。そのため送信所にもさまざまなアンテナが設置されている

電離層のことを“周波数による違い”でまとめると、こんな感じだ。

★長波(30~300kHz)
昼間:D層で反射して遠くまで届く
夜:D層が消えるのでE層で反射して遠くへ届く
※ただし強力な送信電波を出す必要がある

★中波(300kHz~3MHz)
昼間:D層を通るときに弱められてしまうので、遠くまで届かない(数百キロメートル程度)
夜:D層が消えるので、E層で反射して数千キロメートルも届く

★短波(3~30MHz)
昼:D層とE層を通り抜け、F層で反射して遠くへ届く(約2万キロメートル離れた、地球の裏側まで届くこともある)
夜:F層が弱まるので、低い周波数のほうが遠くまで届く

電離層による、昼と夜の電波の届き方の違いがわかるのが下の写真だ。電波の強さが目で分かる「リアルタイムスペクトラムスコープ」を搭載した受信機(アイコム・IC-R8600)で、AMラジオ放送が行われている中波の500~1,500kHz(0.5~1.5MHz)を、朝の11時と夜の11時にチェックしてみたよ(縦軸が電波、横軸が周波数)。

まずは朝の11時。この時間、中波は電離層で反射しないため、近所のラジオ局しか聞こえていないから、けっこう間隔が開いている。


朝11時にチェックした中波の周波数(グラフの左端は500kHz、中央は1,000kHz、右端は1,500kHz)。地元のラジオ局しか聞こえてこないので、けっこう空いているのがわかる

下の写真は夜の11時にチェックしたもの。この時間の中波はE層で反射するため、日本や近くの国々のラジオ放送がたくさん聞こえている。だからギッシリと電波が出ているのがわかるよ。おもしろいね!


同じ場所で夜の11時にチェックした中波の周波数。電離層反射で日本全国と近くの国々のラジオ放送が聞こえ、周波数がギッシリと埋まっているのがわかる

★超短波(30~300MHz)
超短波(VHF)の周波数は電離層で反射しないで突き抜けてしまうのだけれど、毎年5~8月頃の昼間には、超短波でもわりと低い周波数(30~150MHzぐらい)を反射する電離層が、E層のちょっと下に発生して、数十分から数時間で消えていくことがある。これを「スポラディックE層」、通称「Eスポ」と呼んでいるよ。

高い周波数で遠くまで電波を届けるには?

では超短波より高い周波数は、どうやれば遠くまで電波を届けることができるのだろう?

一番確実なのは、「電波の中継局」を作ることなんだよ。高い山の上やビルの屋上などに大きなアンテナを立てて電波を受信し、そこからもう一度送信をするという仕組みだ。こういう中継局をたくさん作ることで、情報は遠くまでリレー式に伝えることができる。テレビの生放送が、全国で同時に(それぞれの地元のテレビ局で)見られるのも、こういう中継局があるおかげなんだよ。ただし今は、テレビ局同士の中継は「光ファイバー回線」が主流になっている。

また“高い周波数の電波は電離層を突き抜ける”という性質を利用する方法もある。電離層よりも高い36,000キロメートルの上空に「通信衛星」を配置し、マイクロ波を使って世界中と結ぶ衛星通信が盛んに行われている。

こうした通信衛星の多くは、地球の自転と同じ速度で動いているから、地上から見ると、いつも同じ位置にいるように見えるので「静止衛星」と呼ばれている。宇宙に浮かぶ中継局みたいなものだね。キミたちの家で見ている衛星テレビ「BS」も、そうした静止衛星のひとつなんだ。


地球上空約400キロメートルの高さを周回する国際宇宙ステーション(ISS)。地上との通信には超短波(VHF)や極超短波(UHF)、マイクロ波(SHF)などを使っている(写真(C)JAXA/NASA)

ちなみに国際宇宙ステーション(ISS)のように、地球上空を短い周期でグルグル回っているような衛星を「周回衛星」と呼んでいる。高度は静止衛星よりも低くて、数百キロメートルから10,000キロメートルぐらいだ。その通信にも超短波(VHF)や極超短波(UHF)、マイクロ波が使われているよ。

ただし、周回衛星と通信するときは「その場所で地平線から見え始める時間」や「見え始める方向」「一番高い位置を通過するときの高さと方向」といったデータを事前に計算しておいて、アンテナを向けて待ち構えないといけないんだ。

国際宇宙ステーションは地上から約400キロメートルの場所を、時速約28,000キロメートルで飛んでいるので、地上から“見えている”時間は最大でも10分ぐらいなので、通信をするのは結構大変なんだよ。

電離層と周波数のお話、面白かったかな? それではまた次回!

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