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子供の無線教室 ~電波のフシギをやさしく学ぼう~

第8回 「無線機にはどんなものがあるの?」

月刊FBニュース編集部

このコーナーは小学生のキミたちに電波や無線のふしぎなところ、面白いところを知ってもらうために毎月連載しているよ。バックナンバーも読んでみてね。

さて今月は無線機のお話だよ。これまでの連載で紹介してきた「電波」を使って、離れた場所と通信(交信)するための装置のことを「無線機」と言うんだ。

細かく言うと、電波を発射する装置は「送信機」、遠くから届いた電波をキャッチして音声にする装置を「受信機」、その両方の機能があるものを「トランシーバー」と呼んでいるよ。

今から60年ぐらい前まで、無線機と言えば「送信機と受信機が別々になっているもの」が主流だった。でも、2つの機械を操作するのは面倒だし、サイズも大きくなってしまうので持ち運びにも不便だ。そこで電子技術の進歩とともに、送信機と受信機を1つのボディに入れ、小さく使いやすくした無線機が使われるようになってきた。それが「トランシーバー」なんだ。

ちなみに英語で送信機のことを「トランスミッター(Transmitter)」、受信機のことは「レシーバー(Receiver)」と言う。「トランシーバー」は、送信機の“トランス”と受信機の“シーバー”を組み合わせて生まれた単語(Transceiver)なんだ。

トランシーバーを使うために必要なモノ

とっても便利なトランシーバーだけれど、実際に交信に使うためには、トランシーバー以外に3つのモノが必要になるんだ。さて、わかるかな?

それは「電気(電源)」と「マイクロホン(マイク)」と「アンテナ」だよ。トランシーバーを動かすためにはテレビやラジオ、携帯電話などと同じように電気(電源)が必要になる。電気エネルギーがないと、せっかくのトランシーバーも、ただの箱になってしまう。

そして話す人の声を電気の信号に変える「マイクロホン」と、電波の出入り口になる「アンテナ」も必要だ。トランシーバーにはマイクロホンや電源、アンテナを接続するためのコネクター(日本語では「端子=たんし」と呼ぶ)が設けられているんだよ。

トランシーバーの種類によっては、バッテリーやアンテナが本体に取り付けられ、マイクロホンも内蔵されたタイプもある。では、トランシーバーの種類について説明しよう。

いろいろな形のトランシーバー

トランシーバーの面白いところは、「使い道によっていろいろな形状のものがある」という点なんだ。これから紹介する、代表的な3つの種類を覚えてほしい。

(1)ハンディトランシーバー
持ち歩いてどこからでも交信できるものは「ハンディトランシーバー」とか「ハンディ機」と言うよ。

片手で持って手軽に作えるように、ボディのサイズは、スマートフォンや携帯電話と同じぐらいのサイズに作られている。電波を送ったり受けたりする電子回路のほか、トランシーバーを動かすための電池(乾電池または充電式バッテリー)や、電波の出入口になるアンテナも付属している「一体型」だ。マイクロホンはボディの中に内蔵されているよ。


ハンディトランシーバーで交信する小学生たち。アンテナは取り付け済みでマイクロフォンも内蔵されているから、電池を入れてすぐに交信を始められる

ハンディトランシーバーが活躍するのは、イベント会場とか販売店や飲食店のように、多くのスタッフが連絡を取りあって働くような場所だ。火災現場で活躍する消防士さんや、事件現場に急行するお巡りさんも、こうしたハンディトランシーバーを腰に付けているよ。

一人ずつがトランシーバーを持っているから、リーダーからの指示を聞いたり、何かあったときにすぐ連絡ができるので、とても便利なんだ。


お巡りさんが使っている警察無線のハンディトランシーバー。腰に取り付けたままでも交信がしやすいように、外付けの「スピーカーマイクロホン」を使用している

(2)モービルトランシーバー
自動車に取り付けて使うために設計されたタイプは「モービルトランシーバー」とか「モービル機」「車載機」と呼ばれているよ。

よく使われているのは、荷物を運ぶ運送会社の車(宅配便など)、バスやタクシーといったみんながよく使う乗り物、パトカーや消防車、救急車などの緊急車両などだ。


消防車にも消防署や司令センターと交信するためのモービルトランシーバーが取り付けられている

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消防車の車内にはサイレン装置(上)と消防無線用のモービルトランシーバー(下)が並んで設置されている(写真に一部画像加工を施してあります)

モービルトランシーバーは、自動車の中で走りながらでも安全に使えることが大切だ。だから、運転席の近くに取り付けたり、車のダッシュボードに組み込むのにちょうどよいサイズのボディで、暗い車内でも見やすいディスプレイ、操作しやすい大型のツマミなどを装備しているんだ。そして走行中でも聞き取りやすいように工夫されたスピーカーが内蔵されているよ。電源は、自動車のバッテリーを使うんだ。マイクロホンは手で持つタイプの「ハンドマイクロホン」をつなげるしくみだ。

モービルトランシーバーにはアンテナが付属していないので、周波数や取り付け場所に合ったアンテナを用意しなくてはいけないんだ。道路でカーラジオやテレビ用とは違う感じのアンテナが立っている車を見かけたら、それはモービルトランシーバーを搭載しているのかもしれないよ。


モービルトランシーバーを使うためには、車体の屋根などにアンテナを取り付ける必要がある。アマチュア無線のイベントに行くと、無線のアンテナを立てた車がたくさんいるぞ

実はこのモービルトランシーバー、会社や自宅などで使うこともできるんだ。コンセントに来ている電気(100Vの交流)を、12Vの直流に変える装置(安定化電源)を電源にして、アンテナを建物の上に立てれば、立派な「基地局」に早変わりするよ。

(3)デスクトップトランシーバー
机の上に置いて、じっくり通信を行うための大型のトランシーバーは「デスクトップトランシーバー」とか「デスクトップ機」「固定機」と呼ばれているよ。


机の上に置いて、本格的な通信が行えるデスクトップトランシーバーの設置例

ハンディ機やモービル機のような大きさの制約は少ないから、サイズも大きめで、その代わりにハンディトランシーバーの何十倍もの高出力の電波を発射できたり、混信や雑音を防止する機能が充実していたり、アンテナに一番良い状態で電波を送り込む機能が搭載されていたりするよ。

電源はコンセントに来ている100Vの交流を使う。アンテナは付属していないので、屋根の上などに立てることになるんだ。

--代表的な3種類以外にも、トランシーバーにはいくつかの種類があるよ。弁当箱ぐらいのサイズで肩からベルトで下げて持ち歩ける、バッテリー内蔵の「ポータブルトランシーバー(ポータブル機)」や、服にバッジのように取り付け、イヤホン式マイクで交信する「超小型トランシーバー」もあるし、中には腕に取り付けて交信できる「腕時計型トランシーバー」といった変わり種もあるぞ。


服にバッジのように取り付け、耳元のイヤホンマイクで交信する超小型トランシーバーもある

無線機を使う場所や、仕事の種類による“違い”にも注目

また、トランシーバーを使う場所によって、無線機のデザインや、搭載される機能が変わることもある。

例えばヨットやボートなどで使われる「マリン用トランシーバー」は、海の波しぶきがかかっても問題なく使えるように、水にも強く、錆びにくい構造になっている。中には「うっかり海に落としても浮いてくれる」という、すごい機種もあるんだよ。


海上を航行するヨットやボートで使うマリン用トランシーバーは、海水に強く錆びにくいのが特徴だ。写真の製品(アイコム IC-M36J)は、“海に落としても浮く”という、驚きの構造を実現した

また航空機用の無線機「エアバンド用トランシーバー」は、狭いコックピットに取り付けるために小型にできているだけではなく、故障で使えなくなると事故につながることがあるから、世界的に決められた厳しい基準で作られている。

石油コンビナートや鉱山、炭鉱などでは、スイッチを入れたときなどに「火花」が出る可能性のある電気機器は、引火や爆発の危険性があるので絶対に使えない。こうした場所で活躍するトランシーバーは「防爆(ぼうばく)形」という安全な構造のものになっている。

それから、あまり知られていないところでは、お巡りさんが使うハンディトランシーバーには、犯人と格闘になったときなどに応援(助け)が呼べる“緊急ボタン”が、ある場所に装備されているんだ。これも大切な機能だね!

無線機の種類や機能の違いのお話、面白かったかな? ではまた次回!!

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