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子供の無線教室 ~電波のフシギをやさしく学ぼう~

第5回 「周波数によって変わる、電波の特徴」

月刊FBニュース編集部

小学生のキミたちに無線や電波のことを知ってもらうこの連載も、5回目に突入だ。毎回少しずつ新しいことに触れているけれど、途中から読み始めた人はわからない言葉が出てくるかもしれない。そんな時はバックナンバーも読んでみてね。

さて今回は、「電波は周波数(しゅうはすう)によって特徴が違う」というお話をしよう。周波数のことは第2回第3回で触れたけれど、覚えているかな?

「周波数」と「波長」は、どういうもの!?

電波は、1秒間に何千回、何万回という高速で「プラス」と「マイナス」が入れ替わる電気(高周波電流)を電線に流すことで空間に広がっていく。この「1秒間に電波が何回プラスとマイナスが入れ替わりながら振動するか」を表すのが「周波数」だ。

例えば、1秒間に1回、プラスとマイナスが入れ替われば「1Hz(ヘルツ)」、1,000回入れ替わるなら「1kHz(キロヘルツ。キロ=kは1,000のこと)」、100万回入れ替われば「1MHz(メガヘルツ。メガ=Mは100万のこと)」といった具合だ。

このプラスとマイナス1回分の振動を「波長(はちょう)」と呼び、これが“電波の長さ”を表している。電波は1秒間に30万km(キロメートル)<300,000,000m(メートル)>進むことから、波長は簡単な計算式で長さを知ることができるぞ。

波長(メートル)=300,000,000÷周波数(Hz)

なんだか、ゼロの数が多いと難しく感じるね。そこでよく使う周波数に置き換えてみると、計算式はスッキリ! 暗算もしやすくなるぞ。

波長(メートル)=300÷MHz

そう、波長の長さを知りたければ「300」を「MHz」で割ればいいんだ!

例えばAMラジオ放送の1,500kHz(1.5MHz)の波長は300÷1.5で200mだし、FM放送の80MHzなら300÷80で3.75mになる。周波数が高くなるほど波長は短くなり、反対に周波数が低くなれば波長は長くなるというわけだ。

そして電波の出入り口になるアンテナは、「波長の半分の長さ」で作るのが基本なんだ。それよりも長くしても短くしても、電波を出したり受けたりするときの効率が落ちてしまう。ただし、一定の条件があれば「波長の1/4の長さ」でもOKだよ。

AMラジオ局の送信所のアンテナを見たことがあるかな? 連載第3回で写真を紹介した、首都圏のラジオ局「ニッポン放送」の送信所(千葉県木更津市)の垂直アンテナは、長さが約120mある。これは放送に使っている周波数1,242kHz(1.242MHz)の波長「241.5m」の半分の長さに設計されているからなんだ。


第3回で掲載した、AMラジオ放送局「ニッポン放送」の送信所(千葉県木更津市)。垂直アンテナの長さは120m。周波数1,242kHzの波長(241.5m)のちょうど半分の長さだから、一番効率良く電波を発射できる

アマチュア無線家は、いろいろな周波数を使って交信を楽しむことができるけれど、世界中との交信に熱中している人のアンテナは結構大きい(長い)。これはわりと長い波長の電波(中波、短波)を使うからなんだ。だんだん電波に興味を持ってくると、アンテナを見ただけで「これは、だいだい何MHzを使っている無線局だな」ということがわかるようになってくるよ。

「あれっ、じゃあ家族が持っているケータイやスマホは? アンテナはないよね!?」と気になる人もいるだろう。携帯電話やスマートフォンは、だいたい2000MHz(2GHz)付近を使うことが多く、波長は15cm(センチメートル)ぐらいとかなり短い。しかも電波は数百mおきにある近所の基地局まで届けばOKだ。だからアンテナはコンパクトに設計して、本体(ボディ)の中に入れてしまっている。携帯電話やスマートフォンには“アンテナがない”のではなく、外から見えないようになっているんだよ。


携帯電話とスマートフォンの例。アンテナは「ない」のではなく、ボディの内部に入れたり、外枠の一部を利用したりしている。波長が短い電波を使うからできるワザだ

周波数と波長による「電波の性質」の違い

では周波数や波長によって、電波の性質はどう違うのだろう?

電波は周波数(波長)で区切って、「極超長波(ULF)」「超長波(VLF)」「長波(LF)」「中波(MF)」「短波(HF)」「超短波(VHF)」「極超短波(UHF)」「マイクロ波(SHF)」「ミリ波(EHF)」といったように分類されているよ。

この中から、代表的なものの特徴や使い道を、周波数の低い順で紹介していこう(参考/総務省 電波利用ホームページ)。

★超長波(VLF:Very Low Frequency)3kHz~30kHz
波長は100km~10kmと大変長いので、地球の表面に沿って遠くまで伝わり、低い山を越えることもできるんだ。また水中にも伝わるから、潜水艦の通信にも使われているぞ。

★長波(LF:Low Frequency)30~300kHz
波長は10km~1km。電波は地表を伝わったり、電離層(地球を取り巻く、電波を反射するイオン層)反射によって、昼でも夜でも遠くまで伝わる性質があるんだ。

電波が発見された最初のころには国際通信としても使われた。そのためには、とっても大きなアンテナと高出力の送信機が必要なことから、その後に実用化された短波へ、だんだん移っていってしまったんだ。今はヨーロッパやアフリカの一部でラジオ放送に使われているほか、日本では電波時計などに正しい時刻と周波数を知らせる「標準周波数局」などで使われているよ。


電波時計などに向けて、長波40kHzで正確な時刻と周波数を送信している、福島県の「おおたかどや山標準電波送信所」。長波だけにアンテナは超巨大だ。事務所の入口には40kHzの電波を来訪者に聞かせる受信機が置かれていた

★中波(MF:Medium Frequency)300~3000kHz(3MHz)
波長は1km~100m。AMラジオ放送でおなじみの周波数帯だけど、それ以外に船舶通信などにも使われているよ。

昼間は100km前後の距離まで安定して電波が届き、夕方から早朝までは電離層(E層、地上約100km)に反射して、日本全域はもちろん海外まで伝わるから、夜中にAMラジオの周波数を聞いてみるとおもしろいよ。ただ、雷とか電気機器からの雑音の影響を受けやすい欠点もあるんだ。

★短波(HF:High Frequency)3~30MHz
波長は100~10m。電離層(F層、地上約200~400km)によく反射する性質がある。一度発射した短波帯の電波は、小さな出力でも地表と電離層で何度も反射を繰り返しながら、地球の裏側まで伝わっていくことがあるんだ。長距離の通信が手軽にできるので、船舶通信や国際線の航空機の通信、海外向けのラジオ放送、アマチュア無線など広く使われているよ。


元・南極観測船「しらせ(初代)」。1982年から2008年まで日本と南極・昭和基地の間を毎年往復していた。連絡には衛星通信と短波通信が使われ、大型の短波アンテナを装備している

★超短波(VHF:Very High Frequency)30~300MHz
波長は10~1m。これぐらいの波長だと高性能のアンテナが作りやすくなるね。超短波の電波は電離層に反射しにくく、しかも短波などと比べると「直進性」が強くなってくる。と言っても、山や建物の陰にもある程度回り込んでくれる。

少し前まではアナログテレビ放送もVHF帯で行われていた。そのことからもわかるように、1つの無線局(放送局)が使う電波の幅を拡げて、多くの情報が送れるのも特徴だ。テレビ放送は地デジ化されて極超短波(UHF)に移ったけれど、高音質のFM放送は超短波で行われているよ。そのほか、防災や警察、消防といった重要度の高い無線や、航空無線(飛行場の管制用)、鉄道無線などにも利用されている、とっても大切な周波数帯だ。


超短波(VHF)は航空無線や警察・消防無線など、重要な無線に利用されている。写真はこれらの無線システムを装備した愛知県警のヘリコプター「あかつき(JA6922)」

★極超短波(UHF:Ultra High Frequency)300~3000MHz(3GHz)
波長はさらに短くなって1m~10cm。電波の直進性はますます強くなってくる周波数帯だ。波長が短いから、アンテナも無線機も小さく高性能のものが作れ、電波に乗せて送れる情報量も増えてくる。タクシー無線、アマチュア無線のデジタル中継局(D-STAR)、地デジのテレビ放送、携帯電話、無線LANなど、いろいろな用途で使われ、なんと電波を使って食べ物を加熱する「電子レンジ」もこの周波数帯(2450MHz)なんだ。

★マイクロ波(SHF:Super High Frequency)3GHz~30GHz
波長は10~1cm。直進性が非常に強く、光にも似た性質があるので、パラボラアンテナなどを使って、特定の方向に向けて強い電波を発射するのに向いているよ。衛星放送(BS)や海外との衛星中継、離れた送信所同士を結ぶ中継回線などに使ったり、発射した電波が障害物に反射して戻ってくる性質を使った「気象レーダー」や「船舶用レーダー」などにも使われているんだ。


マイクロ波は衛星通信や放送衛星(BS)にも利用されている。写真は上空36,000kmから日本に向けてテレビ電波を送信する、放送衛星「ゆり3号a(BS-3a)」(写真©JAXA)

最後に、波長と周波数による特徴の違いを簡単にまとめてみよう。

<波長と周波数による特徴のまとめ>

◆波長が長い(周波数が低い)と…
・電波は障害物の裏側にも回り込みやすい
・電波は地表に沿ったり電離層に反射して遠くまで届く
・アンテナは大きく(長く)なる
・無線機器も大型になることが多い
・電波に多くの情報を載せることは難しい

◆波長が短い(周波数が高い)と…
・電波は直進性が高くなり、障害物に反射しやすくなる
・電波は見通し距離にしか届かない。電離層を突き抜けるので衛星通信が可能
・アンテナが小さく(短く)なるので、高性能のものが作りやすい
・小型の無線機器が作りやすい
・電波に多くの情報を乗せることができる

電波も周波数によって違いがあるのはおもしろいね。それではまた来月!!

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