2014年3月号

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連載記事

移動運用便利グッズの製作

JO2ASQ 清水祐樹

第12回 トランスバータ用コントローラ

移動運用では1台の親機に対して3台のトランスバータ(1200MHz、2400MHz、5600MHz)を常時接続し、即時にQSYできるようにしています。その際、リグとトランスバータとの接続を切り替える同軸切換器と、自作のコントローラのスイッチの2か所の操作だけで済むように工夫しました。その回路をご紹介します。

マキ電機製のトランスバータでは、親機の出力を自動的に検出して送受信を切り替える機能があります。FMで運用する場合は、同軸ケーブルと電源ケーブルを接続し、親機を送信にすれば自動的にトランスバータ側の送受信切り替えができます。しかし、SSBやCW(A1A)では、親機を送信にしてもトランスバータが送信になるまで時間遅れがあり「頭切れ」を起こすため、トランスバータから出ている「スタンバイ(STBY)線」を別にコントロールする必要があります。

CWの場合は、セミブレークイン方式と同様に電鍵のON/OFFを検出し、符号の合間でも送信状態を継続するように、時間遅れを設ける回路が必要です。なお、SSBの場合は、親機にPTTに同期する出力端子が付いていれば、スタンバイ線との接続は容易です。しかし、私の運用形態はCWとFMが多く、SSBは少ないので、SSBの送受信切り替えはスイッチによる手動としました。

回路

回路図を図1に示します。電鍵がONの時、ダイオード2本によって無線機とコントロール回路の両方から電流を吸い出し、回路を動作させます。2SA1015と2SC1815の間は、抵抗とコンデンサによる遅延回路です。電鍵がONになった時には瞬時にリレーを動作させ、OFFになった時には一定の時間ONの状態を保持します。この回路は「ゼロからつくるアマチュア無線局、高田継男著、CQ出版社」を参考にしました。電鍵の接続部分と同様にダイオードを利用して、1個のリレーで複数のトランスバータのスタンバイ端子を動作させています。


図1 回路図

各トランスバータに電源を供給するスイッチは、調光スイッチ(LED内蔵のスイッチ)により色分けしました(図2)。本体の背面には各トランスバータに電源を供給するDCプラグと、スタンバイ端子を設けました(図3)。図1にある「コントローラ電源スイッチ(2連)」、図2にあるOFF/STBYと表示しているスイッチが、コントローラの電源スイッチです。動作原理としてはスイッチを2連にする必要はありませんが、直近で他の電波を送信した時の誤動作による送信LEDの点灯が気になったため、強制的に電鍵入力をOFFにしています。図2の赤いトグルスイッチは手動による送受信切り替えで、図1で2SC1815のコレクタに接続されているものです。


図2 上面の様子


図3 背面の様子

トランスバータの台数をさらに増やす場合には、電源回路はそのまま分岐、スタンバイ端子は回路図のようにダイオードを入れることで接続が可能です。

本体の大きさは幅66×奥行66×高さ23mmです。図4のように、かなり集積度の高い配線となりましたので、本体はもう少し余裕を持たせるとよいでしょう。


図4 内部の様子

親機の出力は図5のように、144MHzの出力には2接点、430MHzの出力には3接点の同軸切替器を設けました。


図5 アンテナおよびトランスバータの配線図

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