2016年4月号
連載記事
部屋に入って、見せてもらったのはモールス通信の練習機と、1枚のペーパー。ここにモールス符号から、コンテストでよく使う用語、実際の交信例などがビッシリ書かれています。
無線工学班の部屋で鈴木君(高1)からコンテストに向けたモールス通信の練習について教えてもらいました
モールス符号とよく使う用語、コンテスト交信の実例などが書かれたペーパー。左にあるのは練習機です
「3アマの人は、ここに書いてある内容を先輩から教わります。コンテストでは先輩と2人1組で運用をして慣れていきます。モールス符号の送信はこの練習機で行って、受信は“CW FREAK”というソフトで耳を慣らしていきます。ちょっとやってみましょう」
「Masacoさんも3アマですよね!ぜひ!!!」ということで・・・。
ドキドキしながら挑戦!!! あ~~、ダメダメやった・・・(涙)。
私も練習機でモールス符号を打ってみましたが、結構難しいっ!!
パソコンソフトを立ち上げ、次々にモールスで呼んでくる局を聞き取っていく松田君(中3)。1局コピーすると、次の局はもっと早い速度で呼んできます!
それでは、ということで選手交代。松田君(中3)と荻上君(高1)がパソコンでCW FREAKを立ち上げ、モールス信号で呼んでくる局のコールサインを正確に聞き取ってどんどん打ち込んでいきます。
このソフトは、間違わずに何局も記録していくと得点がアップする仕組みで、自己記録を更新したときには部屋のホワイトボードにスコアを書き込むことにしているそうです。ちなみにこの時の荻上君は53,565点で自己記録の更新!でした。おめでとう!
CW FREAKで自己記録を更新したら、得点をホワイトボードに記入するのが習わしです
「今度は、モールス符号ではなくて、マイクを使ったコンテスト交信の練習をお見せします」
ということで、班員の皆さんが取り出したのは、無線工学班へJARL経由で届いたQSLカードの束。ここから何十枚か抜き出してみんなで分けると、1人がパソコンのコンテストログを立ち上げ、マイクを持っているポーズを取って「CQコンテスト」を出し始めます。
交信相手からJARL経由で無線工学班に届いたQSLカード。これを交信の練習に使います
「CQコンテスト、こちらはJJ1YAF。ジュリエット・ジュリエット・ワン…」
スタンバイすると、ほかの班員さんが自分が持っているQSLカードのコールサインで「ジュリエット・アルファ・セブン…」「セブン・マイク・スリー…」などと一斉に呼びかけます。あ、パイルアップの再現ねっ♪ そのうちの一人をピックアップして、コンテストナンバーを交換する…という練習だそうです。
ちなみに、無線を始めたばかりのころ、このパイルアップって言葉をね、パイナップルだとずっーと思っていた私・・・。「今日もパイナップルになっちゃった・・」って言ったら大笑いされたのー(汗)
自分が手に取ったQSLカードのコールサインで一斉に呼びかけ、パイルアップをさばく練習中。もしかしたら、皆さんがJJ1YAFに送ったQSLカードも活用されているかも!?
聞き取ったコールサインはコンテストログに記録。これも本番と一緒です
私もパイルアップに混ざって「JH1CBX!」と呼びかけたら、何度目かで取っていただきました。でも、あれ…コンテストってどんなナンバーを送るんだっけ!? 私の方がドキドキで戸惑ってしまいました。ゴメンナサイ!
続いて、広い教室に移って、全員と楽しくおしゃべりタイム♪
広い教室に移って無線工学班の皆さんと楽しくおしゃべり
高2の前島君に「無線工学班はどんなクラブ?」って聞いたら「ひとことで言えば“楽しいクラブ”です。普段はみんなゆる~い感じなんですけど、大会やコンテストになるとビシッとして、チームワークがとても良いんです!」と教えてくれました。メッチャ素敵!
無線工学班に入った理由を聞いてみたら、高3の木村君は「新入生の部活体験企画で電子工作が面白そうだった」と男子らしい答え。でも女子部員に聞いてみたら「部活紹介で“活動場所 屋上”と書かれていたのが気になりました」(中2柴田さん)、「ふだん立ち入り禁止の屋上で活動しているのが面白かった」(中3武藤さん)、「屋上で活動やってて、あっ屋上に出られるんだ~と思いました」(中3飯田さん)、「屋上がカッコいい!」(高1梅原さん)と、なぜか“屋上萌え”の人が多くてビックリ!!
屋上って“告白の場所”しか浮かばない~♥って言ったら、「それ、ドラマの見すぎですよ~」だって(笑)。女子部員が6名もいるし、恋愛とか「あの子が好きだから燃える~ 張り切る~」とか・・今の恋愛事情を聞きたくて仕方がなかったのですが・・・すかさず先生が「部内は恋愛禁止なんです!」って。つっこまれちゃいました!
私なんて、「〇〇先輩かっこいい~」「いい成績をとって振り向いてほしい~」ってモチベーションアゲアゲで走ってたもんね(笑)。
みんなコンテストが大好き! 目をキラキラさせて、コンテストの楽しさを語ってくれました
クラブの活動で何が好き?って尋ねたら「コンテスト!」という声が圧倒的でした。そのうち10名ぐらいが「コンテストはCWのオペレーションが好き」って言っていたけれど、「裏方を担当するのが大好き」という人も半分ぐらいいましたよ(笑)。ちなみにコンテストの設営などでは、アンテナを立てる「外設(がいせつ)」と無線機のセッティングをする「内設(ないせつ)」というチームに分かれているそうです。
フィールドデーコンテストのアンテナ設営風景。外設、内設、みんなそれぞれの持ち場で協力し合います(写真提供:中村先生)
じゃあ、コンテストは何MHz帯が好き? と質問してみたら、それぞれに好きなバンドがあるみたい。そして素敵な答えが返ってきましたよ。
3.5MHz帯:深夜のCWが飛ぶから楽しい!
7MHz帯:参加者が多いので大変だけど飽きません
14MHz帯:このバンドの参加者はみんな紳士的でやさしいんです
21MHz帯:フィールドデーコンテストでたくさん交信できたので好き♥
50MHz帯:ビームアンテナを振った方向の局が呼んできてくれるのが面白いです!
144MHz帯:初めてCWで「CQコンテスト」を出したら呼んでもらえた♥
430MHz帯:たくさん交信できる。1時間で80局を超えることもあります!
1200MHz帯:アンテナやビーム方向を変えたり、CQの出し方を工夫する楽しさがあるバンドです。頑張って1エリアの外とも交信できた!
2400MHz帯:1局の交信が貴重なバンドで、移動運用で遠くと交信できます!
一人が「そのバンドを好きな理由」を言うたびに、ほかの班員さんが笑ったり、大きくうなずいたり、とっても和気あいあいとしていたのが印象的。コンテストの話をすると目がキラキラしていました!! みんな仲良くて楽しそうだなあ~。
2015年のJARL主催コンテストで獲得した賞状と、2012年のコンテストで獲得した楯。顧問の中村先生はコンテストについて「全員がオペレートに参加し、運用を止めずに交信し続けることで結果が出せる、入賞に全員が貢献できるというのが魅力のようです」と教えてくださいました
科学部無線工学班の活動はコンテストだけではありません。ARDF競技にも積極的で、2015年は群馬県で開催された「Reg.3 ARDF選手権」に出場し、日本代表としてメダルを獲得しました
私はまだ、本格的なコンテストに参加したことがないけれど、その楽しさや面白さを皆さんから分けてもらった気がします。コンテストにも参加して、「あと2時間、頑張って!」「はい、頑張ります!」なんて声を掛け合ってみたいです☆
お手洗いにも行かないように少しの水分補給と、おにぎりを片手に耐久レースのような感覚かなぁ・・。経験しなきゃ!!!
夕焼けの筑波山をバックに部員の皆さんと。みんなありがとう~!!
茗溪学園中学校高等学校 科学部無線工学班の皆さん、楽しい時間をありがとう! みんなにエネルギーをもらったので今月はワンマンLiveとニューシングルの発売と・・・・・さらにパワーアップ! エンジン全開で駆け抜けます! 1歩1歩! 笑顔でね♪
(JH1CBX Masaco)
協力:全国高等学校文化連盟アマチュア無線専門部設立準備会
Masacoの「むせんのせかい」~アイボールの旅~ バックナンバー
- 第11回 徳山工業高等専門学校 アマチュア無線同好会の皆さん
- 第10回 国立極地研究所と第58次日本南極地域観測隊の皆さん
- 第9回 名古屋工業高等学校 アマチュア無線同好会の皆さん
- 第8回 中部大学 無線部の皆さん
- 第7回 秋田県立能代高等学校 無線部の皆さん
- 第6回 「UECコミュニケーションミュージアム」を訪問!!
- 第5回 神奈川県立横須賀工業高等学校 電子研究部の皆さん
- 第4回 静岡県立掛川工業高等学校 電気・アマチュア無線部の皆さん
- 第3回 茗溪学園中学校高等学校 科学部無線工学班の皆さん
- 第2回 茨城県立八千代高等学校 工業クラブの皆さん
- 第1回 奈良育英中学校・高等学校 情報技術部(JA3YTF)の皆さん