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フリードリスハーフェン ハムラジオにおける二つの“The First JA”

JA1IFB/KA1Z 福田弘道

2017年7月14日から16日までの3日間、南ドイツのフリードリスハーフェンにて、ヨーロッパ最大の“Die Welt zu Gast in Deutscheland”を合言葉とするハムラジオ2017が開催されます。合言葉は「世界がドイツのお客様」の意味ですが、目下適切な日本語訳を考えています。

【ハムラジオA2ホール】
次の平面図に赤く塗ってあるA1~A5建屋がハムラジオの使用ホールです。A1ホールは各国の連盟、クラブおよびメーカーの展示、即売場、A2ホールは控室兼講堂群、A3からA4ホールはフリーマーケットさらにA5ホールはメーカーフェアーへと割り振られています。


フリードリスハーフェン会場の平面図

特にA2ホールはA1ホールの控室のようでいささか床面積が狭く、入口から真直ぐの廊下左側に収容人員200名規模の講堂が4部屋並んでいます。入口近くにある銀行が出張っているため、初回参加者にはA2ホールの位置が判りにくいようです。

ハムラジオ見物の合間にA2ホールで何度か講演を聴講しました。発表者と質問者が互いにコールサインを名乗れば、時折通訳を交えながらもアマチュア無線仲間がお空で話しているように、和気あいあいの雰囲気が醸し出され質疑応答が進みます。2016年は次表に示す通り、大学教授の基調講演を中心として、7名のアマチュア無線家がアマチュア無線に関する研究発表を行いました。


2016年の講演者名簿とその講演題目表

ハムラジオinフリードリスハーフェンが施策するアマチュア無線界への新技術導入、指導者の教育および科学に向き合う姿勢の学習、さらに取得した知見を日常活動へ反映させて、アマチュア無線を楽しむという基本理念が脈々と流れています。基本理念成就のために大切な役割を担う場所がA2ホールです。

【ハムラジオ2017への挑戦】
フリードリスハーフェン波止場付近のレストランで、ドイツ地ビールとハウスワインを呑みながら、フランクフルトソーセージを味わうのも、ヨーロッパ旅行の楽しみの一つといえましょう。しかし、大枚をはたいてのハムラジオ見物ですから、何か参加記念になる足跡を残したいものです。そこには将来の語り草になるだろう二つの“The first JA”が今もなおハムラジオにあります。

(1)研究発表
一番目の“The First JA”はハムラジオA2ホールにおいて、自己のアマチュア無線活動に関する研究発表を行うことです。講演の聴講記憶をたどりながら、先人による講演の進め方と時間配分の目安を整理してみました。みなさんの参考にその骨子をご紹介しましょう。

講演時間30分、7枚のパワーポイント画面を基に、横文字に慣れたドイツ語圏内の発表者が1分間約140語の発表速度にて行われた事例をまとめたのが次表です。発表者は発表に先立つ挨拶から始まり、謝辞で発表を締め括る間、パワーポイント画面斜め横に立ち、聴講者へ半身の体を向けながら、ほとんど原稿を見ることなく発表を進めています。

黒目の日本人がヨーロッパを旅行する折に佇まいが暗いと感じることがよくあります。講演会場も照明が暗くて、頻繁に原稿を読むことができないため、われわれの英文発音速度を毎分約110語として、約3,000語の英文原稿を覚えなければなりません。現場を想定した立ち稽古を通じ全文を覚え、さらに、記憶を呼び出せるよう20号フォントにて要となる単語を点線により繋いだ“虎の巻”を手許に準備し発表を円滑にする工夫が必要でしょう。

発表内容に新規性と応用面が卓越していれば、補足説明用のLCDに英文抄録を流しながら、日本語で堂々と発表することも可能です。かえって、聴講者に驚きと好印象を持ってもらえるに違いありません。因みに、ハムラジオ2016から開会式と記者会見のドイツ語による挨拶は大型LCDに英文抄録が映しだされ、英語通訳は重要な局面にしか登板しなくなりました。

本業を抱えながらの準備作業は苦労が多く約3年の歳月がかかりそうです。講演主題の決定、データ整理、発表原稿の起稿と知人アマチュア無線家への原稿添削依頼、パワーポイント画面作成、力点内容の知的財産権主張、ドイツアマチュア無線連盟による事前審査へと準備作業が続きます。


発表者の講演項目と時間割

(2)FCC One Day Extra
二番目は日本人アマチュア無線家によるFCC”One Day Extra”取得です。2017年7月15日、午前9時からハムラジオ会場左横のメッセ事務所棟5階会議室にて, DL, F及び G, HB9, I, JA, OE, Wのボランティア試験官により試験が行われます。

旅券、アメリカでFCCから郵便物を受け取るためのメーリングアドレスおよびFCC発行のFRN、受験料15米ドルを所持しておれば、予備登録せずとも試験場受付で受験願書を作成し、筆記用具と受験クラスの識別色紙を受取り、手続きを済ませれば,飛び込み受験が可能です。

試験の世話役は受験に対する次の諸注意を英語で説明します。 試験場における質疑は公式言語の英語で行われますが、注意事項を受験者に周知徹底させるため必要があれば、参加ボランテイア試験官がイタリア、スペインとドイツ、日本、フランス語で対応、補足説明します。蛇足ながら試験場では曇天でも室内照明がありませんから、日本人には暗く感じます。もし、受験される時には試験風景写真の左窓際に陣取ることをお勧めします。

①試験問題には何も書かない
②試験問題の特定番号を答案用紙に明確に転記する
③解答記号A,B,C,D文字中、正答と考える一文字を鉛筆で黒く塗りつぶす


試験場のあるメッセ事務所棟


試験風景と採点係のボランティア試験官達

【あとがき】
数回のハムラジオ参加を通じて筆者が抱いている二つの“The First JA”についてご紹介しました。これらは自己の永年たゆまぬ研鑽により会得した知見を踏まえ、自己完結かつ自己責任において挑戦できる“The First JA”です。特に、ヨーロッパ・ナンバーワンを任ずるアマチュア無線の祭典、ハムラジオの国際舞台で研究発表をすることはアマチュア無線のある種、知的活動の一つとして、アマチュア無線技士である以上一度は挑戦する価値ありと思われますが、いかでしょうか。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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