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From Steve's Workbench

リレーに関する再考察

JS6TMW Steve Fabricant (翻訳 JI1GYO 王新華)

リレーは最もシンプルで、最も広く使われている電気部品の一つです。形や大きさはさまざまですが、一次回路から離れた場所にある二次回路を完成させるという機能はすべて同じです。リレーという言葉自体は、重要なメッセージをランナーが運んでいた時代に遡り、19世紀には電磁リレーが電信や鉄道信号の基礎となりました。アメリカ無線中継連盟(ARRL)は、アマチュア無線家が短距離しか伝送できなかった時代に、大陸を横断して迅速にメッセージを伝えるために組織されました。小学校では、リレー競技はもちろんのこと、リレーやボタン、ランプがたくさん並んだ三目並べができるボードで論理回路を学びました。


図1. 基本的な部分は昔から変わっていない電磁リレーの構造。

最近の無線機の回路基板には、小さな表面実装部品の他にたくさんのリレーが載っていて、よく驚かされます。強力なコイルと太い接点を持つ昔のカチャカチャしたもの(図1)に比べればはるかに小さくなっていますが、それでも同じ原理で動いています。非常に高速なスイッチングが必要な場合はソリッドステート・デバイスが使われますが、特にRFパワーのスイッチングでは、旧来の電磁気的設計の方が優れている場合もあるのです。

最近、月刊FB NEWSで紹介した3つのプロジェクトを再確認しました。いずれもアンテナに関するもので、リレーを使用しています。シンプルなリレーで最高の結果を得るには、非常に慎重な設計と組み立てが必要であることがわかりました。

A. マグループポータブルアンテナ
私の最初の月刊FB NEWSの記事は、沖縄のJACOTA(Japan Castles On The Air)のアクティベーションに関するものでしたが、そのハイライトは自作のマグループ(magloop)アンテナでした。これまでにもマグループを作ったことがありましたが、あまりうまくいかなかったのです。ブログで昔ながらの大工道具の折尺のように折りたためるポータブルループ(図2)を紹介したことがきっかけで、再挑戦することになりました。


図2. 大工道具の折尺からヒントを得て、折りたたみ式マグループアンテナを作りました。

7~21MHzをカバーするため、1mの軽いアルミ棒材を4本使ってループを作りました。折り曲げ接合部の抵抗を非常に低く抑えることが課題でしたが、広い接触面積で強く密着することで(図3)、うまくいきました。電気的性能は良好でしたが、トップヘビーで風に吹かれ揺れます。そのため、手で可変コンデンサを調整するのはかなり難しく、またバンド変更の際にはマストを下げなければなりませんでした。

同調コンデンサに小型DCモーターを組み合わせてバンドを変えるために固定コンデンサを切り替える小型リレーを設置しました(図4)。これらは、VSWRメーターの入ったリモートボックスから制御しました。これで、自分の運用ポジションからバンド変更とチューニングができるようになりましたが、次のSOTA活動にさらに2つの問題が見つかりました。マストを支えるために地面に杭を打つ必要があるのですが、岩だらけの山頂では不可能です。また、1m長ほどのアルミを運ぶのは、他の登山者や混雑したフェリーの乗船時は他の乗客に邪魔となります。


図3. 折りたたみ式ジョイントは、大きな接触面積と強い密着力に頼っています。


図4. リレーにより、小さな可変コンデンサと並列に固定コンデンサを切り替え、7~20MHzをカバーします。

アルミエレメントを、軽量で導体剛性に優れ、円い形状を保持しつつ持ち運び用にコンパクトに輪っかにできる5D-FB同軸ケーブルに変更しました。また地面に打つ杭をやめ小型のカメラ用三脚と、現地調達で石や砂を入れることができるアクセサリーポーチを採用しました(図5)。マグループ、ケーブル、三脚の重さはちょうど1kgで小さなキャリーバッグに収まるため、他の人に迷惑になることはなくなりました。


図5. 5D-FB同軸をメインループに使用し、リモコンによるチューニングと軽量な三脚を使用するようになりました。(注 この写真を撮ってから、再び作り直しました!)

しかし、リレーが問題となりました。可変コンデンサと並列に接続する固定コンデンサの切り替えにループ側のトグルスイッチを使った場合(図6)、22MHzまでチューニングすることができました。リレーでコンデンサを切り替えるようにすると正常に動作しますが、最低容量が上がってしまい20MHz以上では共振させることができませんでした。共振回路に小さな容量とインダクタンスを加えたため、15mバンドに出られなくなってしまいました。


図6. RY1とRY2は固定容量で切り替えますが(左)、共振ループ回路の最小容量は、当初使用していたトグルスイッチよりも大きくなりました(右)。

B. リモートHFアンテナスイッチ
私の次の改造は、数ヶ月前に説明したリモートアンテナスイッチです。100Wで一日に何度も使っていましたが、800Wでテストしたところ、10A(DC)リレーの接点の一部が不調でした。そこで、16A(DC)接点の安価なDPDTリレーを何個か買ってきて、元のリレー回路8個を取り替え、配線基板に銅のベタ配線をしました(図7)。32Aの容量とソリッドワイヤー接続を組み合わせると、QROテストに簡単に合格しましたが、リレーが大きくなるとVSWRに影響が出るのではと心配になりました。

アンテナやその周りにあるものが伝送路のVSWRを増加させると、RF源からのライン全体に損失が生じます。一方、VSWRの乱れがRF源の近くにある場合、ライン損失は低くなりますが、高VSWRが送信機やATUに問題を引き起こす可能性があります。

校正されたアナライザーを使って、リレーボックスを通して50Ωの抵抗負荷をリレー交換前と交換後に測定しました。3.5MHzでのVSWRは、元のリレー接点の1セットを通して1.04:1であったのに対し、新しいリレーでは1.07:1でした。28MHzのVSWRは新旧リレーとも1.30:1でした。「最悪の場合」の測定は、28MHzで4組の直列接点(フェーズドアレイのアンテナを切り替えるためのもの)を通して行いました。大型リレー4個を通したVSWRは、旧リレーが1.40:1であるのに対し、新リレーは1.65:1でした。しかし、この回路は10MHz以下でしか使わず、アンテナスイッチもトランシーバーの近くにあるため、接続同軸の損失は無視できる程度です。アイソレーションや挿入損失は測定していませんが、要するにリモートアンテナスイッチのハイパワーリレーとの接続はVSWRに実用的な影響を及ぼさないということがわかりました。


図7. 壁掛け式リモートアンテナセレクターの小型モジュールに代わり、RY1~8を高出力リレーに取り換え。
(左上の小さなコンデンサは7MHzアンテナの位相合わせ用)

C. 衛星アンテナリレー
VHFやUHFでは通常のリレーで低VSWRを実現するのは、相対的な大きさや内部の設計上、かなり困難です。私の衛星用設備では、衛星が高仰角にあるとき、指向性アンテナから無指向性アンテナに切り替えなければなりません。そのための最も実用的な方法は、アンテナケーブルがシャックに入るところにDPDTリレーを設置することです。

UHF帯やSHF帯で動作するさまざまなリレーが入手可能ですが、高耐電力のものは高価になります。パナソニック社の小型SPDT同軸リレーは3GHzまで動作し(図8)、10Wの切り替えが可能で価格は約15ドル、Axicom社は23ドルで、50Wの切り替えが可能です。東洋通商社の大型同軸リレー(図9)は、2.5GHzまで300~1500Wの耐電力で、価格は120~200ドルもします。


図8. パナソニックの安価なリレーは、UHFでのVSWRが低く、10Wのスイッチングが可能です。


図9. 代表的なUHF用高耐出力SPDT同軸リレー。

衛星アンテナの切り替えについては、HFで使用したものと同様のリレーを使用して、様々な結果が得られました。DIYで有名なW6PQLは、慎重に設計された回路基板と小さな補償コンデンサを使用することにより、いくつかの安価なリレーが低VSWRと500MHzまでの良好な絶縁で、かなりの電力を処理できることを発見しました(図10a)。私はエッチング回路基板を製造する設備を持っておらず(優先順位は高いのですが)、ポイント・トゥ・ポイント配線を使ったこの回路基板のコピー(図10b)は失敗で、VSWRは430MHzで2.7:1に達しました。


図10a、10b。W6PQLのUHF用リレーとプリント基板(左)。C1とC2はVSWRとアイソレーションを改善する小さな補償用コンデンサです。私の作ったものは(右)はVSWRが非常に高くなりました。

W6PQLと同じオムロンリレーを使い、同軸ケーブルでシールドボックスを作り、内部を直接接続しました(図11)。図12に見られる適度なVSWRは、ランダムな静電容量や共振によるものかもしれませんが、おそらく再現は困難でしょう。このユニットを使って、衛星アンテナの切り替えに成功しましたが、この場合も、インピーダンスの乱れは、トランシーバーへの短いジャンパのみに影響し、アンテナ給電線には影響しませんでした。


図11. VHFとUHFの衛星アンテナを切り替えるのに、安価なDPDTリレーを使いました。


図12. 図10のシールドリレーを通してダミーロードを測定した結果。
UHFでVSWRが低いのはなかなか良いが、おそらく偶然であろう。

UHF帯のVSWRやその他の伝送線路パラメータを正確に測定することは、アマチュアレベルのグレードの機器ではかなり困難でしょう。短い同軸ジャンパや方向性結合器でさえも、インピーダンスに影響を与えることがあります。図13は、軍用グレードの優れたUHFリレーを通し、2つの短いジャンパで測定したVSWRです。これは非常に「フラット」であるべきRF特性ですが、私の自作リレーを単独で測定した場合、実際にどの程度VSWRに寄与しているかを知るのは難しいということでしょう。


図13. 高品質なUHFリレーを通して測定したダミーロードのVSWR。
短い同軸ケーブルのジャンパやコネクタでもインピーダンスの不連続性が生じます。


図14. 軍用中古品のUHF SPDTリレーは、現在、衛星アンテナの切り替えに使用しています。

私のアマチュア的失敗が教えてくれたA、B、C
A) 従来の小型リレーとその接続では、浮遊インダクタンスとキャパシタンスが発生し、比較的低い周波数でも問題になることがあります。

B) 他の用途では、VSWRの増加は重要でなく、安価なリレーで大電力のスイッチングができるかもしれない。

C) VHF/UHFの中出力用途では、適切なリレーはそれほど高価ではないので、プリント基板の自作を始めなければならない。

さて、ここで小型リレーを多用したリグの写真をお見せします。次回は、この特殊な無線機とQRP界でちょっとした騒ぎを起こした理由について書いてみたいと思います(ちなみにIC-705ではありません)。


図15 ローパスフィルターや自動アンテナチューナのインダクタやコンデンサなど、RF部品の切り替えにはリレー(薄黄色)がよく使われます。
この“汎用”QRPリグは注目を集めました。来月は、その理由をご紹介します。

参考)
図1. Circuitbread.com
図8. パナソニック株式会社
図9. 株式会社東洋通商
図10a. W6PQL website
Using Inexpensive Relays (w6pql.com)

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