アマチュア無線資格試験の実施

「続カンボジアのアマチュア無線事情」でお知らせしましたように、カンボジアではアマチュア無線の資格試験制度がないため、引き続きNPIC(National Polytechnic Institute of Cambodia)でARRLのアマチュア無線試験を実施し、これをベースにカンボジアの免許を取得するようにしています。すでに20名以上の学生がテクニシャンやジェネラルクラスのライセンスを取得し、さらにエクストラクラスを取得したNPIC電子工学科のカンボジア人教員ら3名はVEの資格を取得しました。次回の試験実施に向け準備を進めています。

ARDF(Amateur Radio Direction Finding)への取り組み

電子工学科電気通信コースの学生を対象にARDFやフォックスハンティングの話をしたところ大変興味を示し、「ぜひやってみたい」と強い要望があり、またカリキュラムへの導入も考えていたことから実施に向けて進めることになりました。

幸いJARLの前ARDF委員長としても活躍されていたJG2GFX種村OM(XU7AKW)がプノンペンにおられたので、先ず第1回として「ARDF概論」の講義をしていただきました。そして、私XU7AKJの第2回「アンテナ概論」と第3回「ARDFに用いるアンテナ製作」へと進み、アンテナシミュレーションソフトMMANAを使っての3エレメント八木・宇田アンテナの設計・製作へと進みました。

JG2GFX種村OM(XU7AKW)によるARDF概論の講義

学生たちの製作したアンテナは私たち教員の期待と予想を超えたアイデア満載のすばらしいものばかりでした。数日後、完成したアンテナと2mの受信機を手に、学校の隣にある大きなお寺の広い境内で『ARDF入門・超初心者版』としてフォックスハンティングを行ないました。

電波の発信源であるFox-1とFox-2をHunter1～4の各グループが自作したアンテナで電波到来方向を探します。制限時間内にすべてのHunterがFox-1とFox-2を見つけ、製作したアンテナはうまく機能しているようです。いくつかのアンテナをVNA(ベクトルネットワークアナライザー)で測定した結果は、どのアンテナもシミュレーションソフトでの設計値とまずまずの対応ぶりでした。

カンボジア初の“フォックスハンティング”

3月22日(金)コンポンスプー州にあるキリロム国立公園内でカンボジア初の“フォックスハンティング”が行われました。ARDFの入門版として、第1回ARDF概論の講義、第2回アンテナ概論と八木・宇田アンテナの製作、第3回隣接寺境内での試行を経て、キリロム高原での開催です。電子工学科電気通信コースの学生・教員計45名が企画・運営し、学生たちは青空のもと野山を駆け巡りました。Foxチームの迷彩処理にHunterチームはずいぶんてこずったようでした。Foxチーム、Hunterチーム、本部チーム、そしてメディアチームの学生の皆さんは、初めての取り組みながら各役割を見事に果たし、充実した野外での実習となりました。

Foxを探索する参加者

カンボジア初のフォックスハンティングの参加者、スタッフ