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コンテストインフォメーション

2024年10月~11月のコンテストレビューと12月の注目コンテスト

JR1UJX 松永浩史

2024年12月2日掲載

皆さんはじめまして。JR1UJX松永です。1979年に開局し、大学受験前を除き継続してアマチュア無線を楽しんでおります。現在はアパマンQRPで国内コンテストに参加しております。この度、縁あって記事を執筆させていただくこととなりました。国内コンテストを中心に無線界の話題について書きたいと思います。よろしくお願いいたします。

レビュー① 全市全郡コンテスト

10月12~13日に全市全郡コンテストが開催されました。以前から「開催から結果発表までの期間が長すぎる」との意見がありましたが、現在は締め切り後すぐにraw scoreが公開され、余韻が冷める前に暫定結果をみることができるようになりました。審査に多大な作業を要し時間がかかることを考えると、妥当な対応であると思います。


第45回全市全郡コンテストログ受付局リスト(審査前データ)
(シングルオペ100万点以上のみ抜粋、JARLのwebから引用)

シングルオペ参加者のraw scoreをみて気づくことは、CAMにエントリーされたJA1BJIとXAMにエントリーされたJK1JHUが好成績をあげておられることです。シングルオペオールバンド部門で上位入賞される方々は皆さん卓越した運用技術と設備を備えておられます。しかし、先のお二人はこれらに加え自前のskimmerを整備し活用されておられます。これらの効果が発揮されたものと思います。今後、RBNなどweb上で得られる情報の活用が進むのではないでしょうか。

レビュー② オール千葉コンテスト

10月20日に開催されました。東京から参加した印象では、21MHz~50MHz帯は非常に寂しい状況である一方、14MHz帯では6エリアからのCQ CBX TESTが目立っていました。コンディションの大きな崩れは無かったようなので、県外からマルチバンド部門に参加された方々は3.5MHz帯と7MHz帯の県内局をしっかり確保したうえで、関東近郊の局はVUHFで、それ以外の局はHFハイバンドでどれだけ交信できたかが勝敗を分けると思われます。

なお、ログの提出にあたり主催者は「タイトルは自局のコールサイン-参加部門の略号とすること」を求めております。しかし、執筆時点では提出メールのうち少なくとも約2割がこれを満たしておりません。主催者に負担をかけるうえ、参加者も失格などとなるリスクがあります。他のコンテストも含め、参加にあたっては規約を熟読することをお勧めいたします。

レビュー➂ 電信電話記念日コンテスト

10月23日水曜日に開催されました。このコンテストは曜日に関わらず電信電話記念日である10月23日に開催されることが特徴です。それゆえ、開催日の曜日によって入賞ラインや雰囲気がかなり異なります。当然かと思いますが、概して土日に開催された年が盛会です。また、平日開催の年は帰宅時間の関係で遅い時間帯になるにつれてバンドが賑やかになる傾向もあります。

私は例年VUHF部門に参加しておりますが、今回も上記の傾向通りの展開となりました。時間当たりの交信数をみると開始直後である18時台が最多でしたが、21時台がこれに次ぐ多さでした。ご多忙でフル参加が難しい方でも、後半に参加できれば結構楽しめるコンテストだと改めて思いました。

レビュー④ 東京CWコンテスト

10月27日に開催されました。今年は暦の関係でCQ World Wide DX Contest(Phone)と同時期開催となりました。モードが異なるためバンド内で混乱はなかったようですが、参加局は分散したかもしれません。

また、本コンテストは名称が「東京」となっていますが、都外局同士の交信が有効でありマルチも都道府県がそれぞれカウントされます。そのためか、東京都内から参加してもあまり優位性がなく、都外局のほうが沢山呼ばれる現象も多々見られました。

コンテスト後にSNSへの投稿やblog等を拝見していると、「参加局数が減ったようだ」という感想が散見される一方、先の全市全郡コンテストの項で紹介しましたJK1JHUはかなりの高得点をあげておられます。私自身、オールバンド部門に参加しておりましたが、どのバンドもCQを出すと彼は直ぐに呼んでこられました。やはりskimmerが効果的なようです。

レビュー⑤ 鶴見川コンテスト

11月3日に開催されました。430MHz帯のみ、3時間というスプリント形式のコンテストです。電信・電話それぞれの交信が有効であること、電話1点に対し電信2点であることから、上位入賞には電信・電話のバランスやタイミングが重要となります。しかし、もともとFM運用局が多いため、FM機一台でも楽しめるのが特徴です。また、例年この日に開催されておりますが、今回は三連休の中日となりました。休みの方が多く参加者が増えるか、逆に行楽のため参加者が減るかが注目されました。

私自身は移動運用で参加しました。開始直後は非常に良いペースで交信が進みましたが、予想よりも早く呼ばれなくなった印象でした。結果として、自宅から参加した過去二回よりは交信数等は増えましたが、期待よりも少ない印象です。他の参加者のコメントからも、参加者は少なめだったと思われます。


鶴見川コンテストに参加した際の筆者のアンテナ

レビュー⑥ 多摩川コンテスト

11月17日に開催されました。VUHF帯で開催されるスプリント形式の元祖というべき存在です。一時期参加者数が低迷しましたが、主催者を始め関係者の努力により現在は大変賑やかなコンテストになりました。2時間という短時間勝負、電話2点、電信3点という配点に加え、電信・電話のうち最初の交信のみ得点になるというルールのため、各参加者の戦略や参加中の見極め、決断力が求められます。

天候に恵まれたこともあり今回も盛会でして、電信電話の上位は150交信超、電信の上位は100局超のようです。また、マルチも全23のうち電信電話上位局は21~22程度確保されているようです。私自身も青梅市から流域内電信部門に参加しましたが、QRP+シンプルアンテナで大いに楽しむことができました。


多摩川コンテスト参加時に筆者が使用した設備

最近の話題① WARCバンドにおけるコンテスト開催について

先日、WARCバンドのみを対象とした新コンテストの規約が公開されました。SNS等では「紳士協定やルールに従い開催すべきではない」、「バンドの活性化の観点から良いのでは」等様々な意見が出されましたが、結果として主催者は「コンテストではなくパーティとして開催する」との方針を示しました。

IARUの各regionはそれぞれバンドプランを示しています。日本が所属するregion3もinterim版ながら承認済のものが示されています。
(https://www.iaru.org/wp-content/uploads/2020/01/R3-004-IARU-Region-3-Bandplan-rev.2.pdf)

これをみますと、「Contest activity below 30 MHz should be restricted to the160 m, 80 m, 40 m, 20 m, 15 m and 10 m bands」と記載されており、やはりWARCバンドにおいてコンテストを開催することはこのバンドプランに反すると私は考えております。

最近の話題② コンテストナンバーの省略について

バンドやモードによっても異なるかもしれませんが、最近コンテストナンバーのうちRSレポートをアナウンスしない方が散見されます。例えば、「5910P」と送るべき場面で「10Pです」とだけ送る方がおられます。「コンテストでは皆59だから」という意見もあるかもしれませんが、RSレポートを含めてコンテストナンバーであることや一般の交信においてもコールサインとレポート交換を以て交信成立とみなす方々も多いことを踏まえ、きちんと送出、交換すべきと私は思います。

開催予定① KCWA CWコンテスト

12月1日に開催されます。3.5MHz帯と7MHz帯の2バンドのみで開催されること、交信相手のログと照合できた場合のみ得点となることが特徴です。交信数に対するログの提出率は8割前後のようですが、CQを出している局を呼んだ場合のほうが提出率が高いように感じます。上位入賞するためには自局がCQを出すのみならず、CQを出している常連局を逃さず交信することが重要だと思います。

なお、シングルバンド、マルチバンドとも入賞枠は上位3位までです。マルチバンド部門だと240QSO、3.5MHz部門だと70QSO、7MHz部門だと180QSOあたりが入賞ラインになります。開催時間の10時間に対して少な目の交信数であること、その一方で上位局は例年接戦であり気が抜けないことから、「我慢大会度」はかなり高いと言えます。

開催予定② FCWA CW QSOパーティ

12月7日に開催されます。WARCバンドを含むHFにて開催されること、オールバンド部門のみであること、「パーティ」と称されていますが高得点者は表彰されることが特徴です。過去数回参加しておりますが、雰囲気は「コンテスト」そのものです。また、過去の結果をみると3.5MHz帯、7MHz帯に加え10MHz帯で数多く交信している方が目立ちます。先に述べたWARCバンドにおけるコンテスト開催の話と絡みますが、入賞を目指すならば10MHz帯を無視できないと思います。

最近の入賞ラインは一般部門で300QSO、QRP部門で150QSOです。バンドが多いため、先に紹介したKCWAよりも「我慢大会度」は低いです。

開催予定➂ ARRL 10m Contest

今年は12月14~16日(日本時間)に開催されます。ARRLが主催するコンテストですが、ARRL DX Contest等とは異なりJA同士の交信も有効です。また、シングルバンドのコンテストですが、電信部門/電話部門/電信電話部門、ハイパワー/ローパワー/QRP、シングルオペ/シングルオペ(unlimited)/マルチオペ(電信電話のみ)と部門が豊富であることが特徴です。

太陽活動極小期には国内近隣とアジア、オセアニアの局位しか交信できませんが、太陽活動が活発な今年は沢山交信するチャンスだと思います。IC-705のようなローパワーの無線機とホイップアンテナのような小さなアンテナでも交信可能ですので、是非参加しお楽しみいただきたいコンテストです。上位入賞を目指すのでなければ、各日の朝のみ運用するのも楽しいかと思います。

コンディションにより交信数が大きく変動しますし、部門数が多く参加者が分散するため、入賞ラインは極端に変動します。また、国内コンテストと異なり開けるエリアや時間帯が予測できるため、我慢大会度は高くありません。

開催予定④ 1エリアAMコンテスト

1年で一番6m AMが賑わう日です。一時期、規約や結果の発表の遅延が問題になっておりましたが、昨年担当者が交代され改善されました。今年は12月22日に開催されます。部門は1エリア内の固定局と移動局、1エリア外局、QRP、SWLの5部門です。QRP部門は出力0.5W以下ですのでご注意ください。

入賞を狙う場合、1エリア内固定局だと100交信、移動局だと150交信、QRP部門でも100交信は必要です。参加にあたっての注意点として、AMはSSB程飛ばないので、弱い信号を聴くのに苦労するかもしれません。また、ゼロインせず呼んでくる方もおられるので、CQを出す際にはフィルターを広めに設定する等の工夫も必要です。

新鋭機で運用するのも結構ですが、1970年代の無線機で参加される方も多くおられます。各々が楽しめる形で参加頂けるコンテストだと思います。

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