Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

HW Lab

第21回 UHF帯でも動作する簡易電界強度計の製作

JH3HWL 箭野佳照

2026年10月1日掲載

回路説明

回路構成は、HF帯で使われる簡易電界強度計と基本的には同じで、異なるのは使用している部品だけです。アンテナで受信した信号をダイオードで検波し、コンデンサーと抵抗で平滑します。さらに、その平滑された電圧を増幅してメーターを振らせるという、非常にシンプルな仕組みになっています。以下では、その回路の各ブロックについて順に説明します。

(1) 検波・平滑回路
図1に示した全体回路図から、検波部だけを取り出したものが図3です。この回路はエンベロープ(包絡線)検波と呼ばれる方式で、検波性能は主にダイオードの高周波特性によって決まります。


図3. 検波回路

回路の動作は、INPUT → C1 → D2 → C2・R1 → OUTPUTという流れになります。D1は負側の振幅をカットしつつ、入力側の電位をある程度クランプする役割を担っています。

検波の中心となるのはD2・C2・R1の3つです。D2がRF信号を整流し、C2が整流波のピークを保持し、R1がその保持電圧を放電することで、図4右端の赤線で示した包絡線(エンベロープ)を取り出します。


図4. 整流の仕組み

UHF帯での整流では、D2のスペックが検波性能に大きく影響します。今回の回路では1N5711を使用しています。

HF帯~50MHz帯程度までは、検波用ダイオードとして定番の1N60で十分でしたが、430MHz帯付近になるとメーターがほとんど振らず、アンテナ調整が困難でした。この「メーターが振れない」原因の多くは、検波に使用するダイオードの高周波特性にあります。

そこで、検波によく使われる1N60と、比較的高い周波数まで使用できるダイオードを、主要な項目ごとに比較した表を図5に示しました。各項目のスペックはメーカーのデータシートから抜き出し、代表値としてまとめています(外観の比較は図6参照)。


図5. 1N60とUHF対応のダイオードとの比較

  • ・検波に使用するダイオードは、まず順方向電圧(VF)の低いゲルマニウムダイオードやショットキーバリアダイオードを選ぶ必要があります。これらのダイオードは順方向電圧が約0.2Vと低く、弱い信号でも検波しやすいため、感度の高い簡易電界強度計を作ることができます。参考までに、一般的なシリコンスイッチングダイオードのVFは約0.7Vです。
  • ・高周波を扱う場合、VF以上に重要になるのが接合容量(Cj)です。DCやHF帯用の電子工作ではあまり意識しないスペックですが、VHF帯やUHF帯のような高い周波数を扱う回路では、この接合容量が信号の通りやすさに大きく影響します。UHF帯に適したダイオードをAIで検索したところ、数種類の候補が提示されました。
  • ・図5の比較表では、1SS99、1N4148、1N5711、そして1N60の4種類のダイオードを比較しています。スペックを見ると、1SS99と1N5711はいずれもVFとCjが低く、UHF帯の検波に向いていることが分かります。実際に回路へ組み込んで比較したところ、1N5711が最も高い感度を示したため、最終的に検波用ダイオードとして1N5711を採用しました。
  • ・なお、接合容量(Cj)の詳細な説明は専門外のため、ここでは割愛します。


図6. 1N60と1N5711の外観の比較

(2) 増幅回路
IC1(LM358)は単電源で動作する汎用のオペアンプです。このICを用いて非反転増幅回路を構成します。3番ピンに入力された微弱な信号を増幅し、メーターを駆動できるレベルまで引き上げます。

非反転増幅回路における入力信号(VIN)と出力信号(VOUT)の関係は、次の式で表すことができます。


回路に使用した抵抗の定数を上式に代入し( )内の増幅度(AV)を計算してみます。VR1は最大値1MΩの可変抵抗器です。R3は1kΩです。VR1が1MΩの時はAV≒1000倍、最低の0Ωの時はAV=2倍となります。増幅回路で入力信号が1000倍にも増幅されると仮にVIN=1VであればVOUTは1000倍の1000Vにもなる計算です。実際は電源電圧以上の出力は得られません。VR1は増幅回路の増幅度を可変する意味で外付け部品としています。

(3) メーター表示回路
入力信号の強弱をメーターで表示します。本格的なアナログメーターは高価なため、今回はプラスチックケースに収められた、いわゆるインジケータータイプの小型メーターを使用しました。使用したメーターは、某無線機メーカーのHFトランシーバーから取り外したもので、調べたところフルスケールは約1mAの電流計でした(図7)。

回路図中のVR2およびR4の定数は、使用する電流計によって異なります。事前に「フルスケール電流が何mAか」を確認しておくと、これらの定数を決めやすくなります。


図7. フルスケール1mAのインジケーター

(4)電源回路
フィールドで使用できるよう、電源は乾電池で動作させています。本製作では単4電池4本で6Vを得ています。電池の逆挿入はまず起こらないと思われますが、念のため保護ダイオード(D4)を挿入しました。

ダイオードを通すと、順方向電圧(VF)分だけ電圧が低下します。この回路では逆接防止のため整流用のショットキーバリアダイオード、SR140を回路に挿入しています。SR140のVFは一般的なシリコンダイオードの約0.7Vに対してデータシートでは0.55V@1Aとなっています。実際、回路に流れる電流値を最大10mAとして事前に実測したところ、VFは0.2Vでした。その結果、回路に印加されるVccは6V-0.2V=5.8Vとなります。

調整

メーターの調整を行います。まず、入力信号が非常に大きい状態を作り出します。この状態では、IC1の1番ピンから4~5V程度の電圧が出力されます。

この4~5Vの電圧でフルスケール1mAの電流計を振らせるには、直列に約5kΩの抵抗を挿入すればよいことが分かります。

そこで、回路ではR4=4.7kΩを使用し、さらにVR2(3kΩの可変抵抗)を組み合わせて、フルスケールの指示をVR2で微調整できるようにしています。

完成した簡易電界強度計

テストは、冒頭のイラストに示したように、送信側に8月号で紹介した1200MHz・10エレメント八木アンテナをハンディー機(1W)に接続して設置し、受信側に今回製作した簡易電界強度計を置いてフィールドで行いました。

送信アンテナのビームを簡易電界強度計の正面に向けると、約5mの距離までならメーターの針はフルスケールを示しました。このとき、簡易電界強度計の感度(SENSITIVITY)ツマミは最大位置です。送信アンテナの方向を少しずらしたり、距離を離したりすると、メーターの指針は下がりました。

同じテストを430MHz帯でも行いました。使用したアンテナは、9月号で紹介した6エレメント八木アンテナです。実験では、送信側(1W)と簡易電界強度計の距離を10m程度離してもメーターはフルスケールを示しました。

結論として、1200MHz帯では期待したほど感度は高くありませんでしたが、1N60の検波ダイオードでは振れなかったメーターもダイオードを変更することで振れるようになりました。検波の前にRFアンプを挿入したりして改善を図りたいと思います。430MHz帯、あるいはそれ以下の周波数帯では十分に実用になることが確認できました。


図8. 完成した簡易電界強度計

今回はここまでです。この簡易電界強度計を使ったビームパターンの測定については、機会があれば改めて実験を行いたいと思います。

HW Lab バックナンバー

2026年10月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2026 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.