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特別寄稿

アンテナ解析ソフトMMANAを使ってHB9CVアンテナを設計してみる
前編 430MHz HB9CV

JA7LRU 松本敏巳

2026年10月15日掲載

HB9CVアンテナは位相差給電して、2エレでも良好なF/B比が得られ、またゲインも取れるアンテナです。なかでもヘア-ピンを用いたマッチング(?)がありますが、アンテナの各部寸法はどう決まっているの? どう設計するの? と思っています。そこで、JE3HHT森さんのアンテナ解析ソフトMMANAを使って設計できないか考えてみました。前編としては、430MHzのHB9CVアンテナに挑戦です。

初めに

図1が2エレHB9CVアンテナのモデル図です。図の各部の寸法をMMANAに入れて計算しますが、各部寸法を少しずつ変えた組み合わせを考えると、その組み合わせ数は気が遠くなる、とんでもない計算量になります。また、通常はヘア-ピン無し(更にクロス部無しも)で目標のF/B比や利得になるようにMMANAの最適化を使用してRa/Refの長さとEL間隔を決めて、給電点インピ-ダンスからヘア-ピン(スタブ)を設計して追い込むようですが、そんな難しい事は解らないので、MMANAには最適化ボタンがありますから、これを殆ど使ったら簡単に出来るかもと考えました。


図1 2エレ HB9CVアンテナの各部

MMANAの最適化

アンテナ定義して計算し、最適化ボタンを押下してエレメント参照すると、MMANAはHB9CVに特化したソフトではないので、エレメント選択TABでは、複合として扱われ、横幅とX幅のみの選択になります。

そこで最初、ワイヤ-選択TABで全部のエレメントを選択して最適化させたら、L1とL2の長さが違うとか、L3とL4の長さが違うアンテナになってしまいました。(そう指示しているのだから当然ですが・・・)

この様な事を防ぐためMMANAには同じX位置にあるエレメントの連携という方法が用意されています。横幅・X幅連携とX幅・横幅連携、そしてエレメント選択TABでの横幅・X幅のみの選択の3種類で最適化し、出た特性を比較しました。

当局の場合、MMANAの最適化の選択は、HB9CV部の横幅・X幅を選択、あるいは連携でもピッチを適当に決めて、GainとF/BとSWRのスライダ-をMax位置、jXのスライダ-を初期のセンタ-位置で最適化です。(このスライダ-の重み付けでかなり結果が変わると思います、また共振が大きくずれている場合は、ワイヤ-径を除いてアンテナのサイズ変更した方が速く、また良い所へ最適化する場合があります)

3種類で特性値は、少しずつ違いがありますが、エレメント選択TABでの横幅・X幅のみの選択がほんの少しだけ良かったので、以後はこの最適化で行います。また自由空間でやるかリアルグランドでやるか迷いましたが、リアルグランドはハイトパタ-ンがあるし、打上げ角が変な角度になる事もあるので、自由空間で計算・最適化して、リアルグランドで打上げ角がOKなら良しとしました。

マニュアル最適化

MMANAはHB9CVに特化はしていないので、最適化しても図1で何も変化しない寸法があります。そこで今度は、各エレメント寸法を変化させて、表計算ソフトを用いてグラフ化して、特性値にもっと良くなる所があるか調べます。もちろんMMANAの最適化を使用・計算します。計算は大変ですが、気の遠くなる組み合わせ量よりは楽です。

以下、各部を変化させた時の詳細です。

(1) L1(=L2)長の変更
L1長の変更は、横軸をRa幅(=L1+L2+HairPin幅)でグラフ化しています。図2では、Ra幅=28.445cm(L1=0.1258m)の所にF/B比のピ-クがあり、Gaも少し上昇(0.11dB)します。

この時のHairPin長は、図3と最適化計算値から2.2221cm、HairPin幅=3.285cmです。HairPinには、直径=3mmのアルミ棒(またはパイプ)の使用を考えていますが、加工が大変そうなので、この位置にするか悩むところです。

図3にRa幅を変更した時のL3長、HairPin長の変化を示します。前後のHairPin長は同じ変化で、HairPin幅とEL間隔は最適化でも変化しません。


図2 SWR, Ga, F/B vs. Ra幅


図3 L3(=L4), HairPin長 vs. Ra幅

(2) HairPin幅の変更
図4は、HairPin幅を変更した時のGa、F/B比、SWRの変化です。HairPin幅を小さくした所ではSWRの悪化が見られ、また共振周波数も上昇しますので、小さい方は使えません。

HairPin幅=3.7cmの所に少しのF/B比アップが見られます。この時のHairPin長は最適化値と図5から2.2811cmです。この寸法もL1長変更の場合と同様に製作加工で悩む所です。(F/B比の上昇は、L1変更ほどではない)

図5にHairPin幅を変更した時のL3長、RefEle幅、HairPin長の変化を示します。RaEle幅とEL間隔は最適化でも変化しません。また前後のHairPin長は同じ変化です。


図4 Ga, F/B, SWR vs. HairPin幅


図5 L3, RefEle幅, HairPin長 vs. HairPin幅

(3) EL間隔の変更
EL間隔の変更では、図7に示すように前後のHairPin長が互いに逆方向へ最適化されて、ちょっと変な形で面白くありません。止めた方が良いと思いますが、F/B比とGaは上がる所があります。図6にGa、F/B比、SWRの変化を示します。


図6 Ga, F/B, SWR vs. EL間隔D


図7 L3, 前, 後HairPin長 vs. EL間隔D

(4) L3長の変更とHairPin長の変更
L3の変更とHairPin長の変更では、それぞれ変更した値が最適化すると別の値になってしまうので、最適化はできませんでした(連携も同様でした)。まぁ、L1変更FBmaxでも良い特性ですから良しです。

430MHz 4エレHB9CVとその他モデル

2エレと同様に4エレでも表計算ソフトを使ってマニュアル最適化を行いました。その詳細は以下からダウンロードして参照してください。(位相差用クロス部の湾曲カ-ブもどきモデルはSWRが少し悪いです)マニュアル最適化した、pdfのダウンロードはこちら

また6エレや12エレでもMMANAの最適化でモデルを作成してみました。(但し、これらは表計算ソフトを使ったマニュアル最適化や調整機能エレメント追加、実際の製作・確認等はやっていません)

2エレ、4エレ、6エレ、12エレそれぞれのHB9CVモデルの特性を表1に示します。(位相差用クロス部は直線モデルですが、湾曲カ-ブもどきモデルは2エレがほぼ同等、4エレはSWRが少し悪くなります)

各モデルのMMANA定義はそれぞれ以下からダウンロードして参照してください。(各モデルの寸法は丸め込みをしていません、特性値は変わりますが適当に値の丸め込みをして使用ください)
・2エレ
 横・X幅最適化_430HB9ADJ可2.8cm.maa
 L1変更FBmaxADJ可2.8cm.maa
・4エレ
 HairPin幅Size変更ADJ可430x4elHB9.maa
・6エレ
 430x6el HB9CVb.maa
・12エレ
 test3ax0.0001 430x12el HB9CV.maa


表1 (f=435MHz 自由空間/7m リアルグランドではGaがもっと上がります)

位相差用クロス部のカーブ影響考察

ここまでのモデルは、位相差用クロス部を直線でモデル化していましたが(MMANAではクロス部が同じ所に有っても接触・接続はされていないので解析可能)、実際に作成する場合はアルミ棒を湾曲カ-ブさせて、ぶつからないようにしなければいけません。

MMANAで湾曲カ-ブの作成は大変なので、φ3mmのアルミ棒を、「L1変更FBmaxADJ可2.8cm.maa」をベ-スに、真ん中でそれぞれの棒を1.5mm上下させ、最適化とアンテナのサイズ変更をしたモデルで代用してその影響を見てみました。
 最適化とアンテナのサイズ変更をしたモデルのダウンロードはこちら

表2にそれぞれの特性比較を、また表3にそれぞれの寸法比較を示します。表2の特性比較では少しの違いがありますが、両者ほぼ同じレベルです。

表3の寸法比較では少しの違いがありますが、一番大きな差はHairPin長の約1mmで、他は小さく、ほぼ折り曲げ加工等の製作誤差の範囲のようで、最初に直線モデルで始めたので、これで設計して最後に湾曲カ-ブもどきで確認すれば良い気がします。(寸法は湾曲カ-ブもどきを使った方が良いかもしれません。湾曲カ-ブで設計したい方はそれで行ってください。144MHzになるとこの差はもっと小さくなると思います)


表2 特性比較 (f=435MHz 自由空間/7m リアルグランドではGaがもっと上がります)


表3 寸法比較

調整用考察

アンテナを製作してどう調整するか探るため、最適化したモデルを今度は最適化をしないで、各エレメント寸法を単純に変化させると各特性がどう変化するかを調べて、これを逆にやれば調整方法のヒントになるかと考えてみました。

考察も表計算ソフトを用いてグラフ化しましたので、その詳細は以下からダウンロードして参照してください。
 各エレメント寸法を変化させたときの各特性のpdfのダウンロードはこちら

各特性が寸法を変化させると、全部変化するので(当然ですが・・・)、調整方法は大変そうですが、全体の変化を見ると共振周波数合わせ(jX→0近く)とSWR値の下げ(50Ω合わせ)なので思った結論は、

  • (1)共振周波数合わせは、MMANAの最適化で製作している(F/B比で良い所にある)ので、Ra/Refエレメント比(L1=L2とL3=L4の比)は同じ比率で変更した方が、共振周波数 fresoでSWRを低くできる可能性があります。またL1とL3の比率は変更しない方が良いと思います。(SWRを悪化させるだけ)
  • (2)50Ω合わせは、HairPin幅とHairPin長でR値が同じ方向に動くので、幅を増やしたら長さは短く(あるいはその逆)とちょこちょこと調整するしかないような気がします。
  • (3)エレメント間隔はあまり動かさない方が良いかもしれません。
  • と簡単に書きましたが、調整はかなり難しいと思います。

私の場合、430MHzは無線機のSWRしか測定手段がなく、0.0何mm~1mm台の変更で何本も作るのが大変なので、共振周波数合わせ用だけでも調整機能(横幅のみ)を持たせ、50Ω合わせはHairPin幅とHairPin長の作り直しとなりました。

次ページは「2エレ/4エレ HB9CVの製作」から

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