Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

特別寄稿

アンテナ解析ソフトMMANAを使ってHB9CVアンテナを設計してみる
前編 430MHz HB9CV

JA7LRU 松本敏巳

2026年10月15日掲載

2エレ/4エレ HB9CVの製作

図8と図9に湾曲カ-ブもどきモデルの2エレ、4エレの各部、概略各寸法を示します。

エレメントにはアルミパイプをヘア-ピンと位相差用クロス線にはアルミ棒を使用します(ヘア-ピンとクロス線はねじ止めしますが、のり代分が必要です)。この位相差用クロス線のクロス部を接触しないようビニルテ-プで巻きます。(振動しないように結束バンドで固定しても良いでしょう)

またブ-ムにエレメントの固定用として木の角材を使用します。これは各自の好みで樹脂製を使っても良いでしょう。

金属のなべ小ねじでのエレメント固定は、特性・最適化寸法に少しの影響が出ますので、樹脂製小ねじで固定しますが、ヘア-ピンとクロス線部の固定は適当な樹脂製小ねじが無かったので、金属製ですが影響が小さくなるよう削って出っ張る長さを短くしています。
 M2x14ArcL1変更FBmaxADJ可2.8cm.maa


図8 2エレ HB9CVアンテナの各部
(ArcL1変更FBmaxADJ可2.8cm.maaを使用)


図9 4エレ HB9CVアンテナの各部
(ArcHairPin幅Size変更ADJ可4304elHB9.maaを使用)

共振周波数合わせ用の調整機能は図10に示すように径6mmの上にひと回り太い径7mmのパイプをかぶせ、それぞれに切り込みを入れてスライド可能にし、樹脂製なべ小ねじで締め付け固定できるようにしました。

径7mmパイプを長くするとMMANA解析で、Ga、F/B比が図11、12に示すようにブ-ム中心から3cm位先から落ちてくるので、締め付け固定の長さも考慮して、2.8cmにしています。(位相差用クロス部が直線モデルでの解析ですが、湾曲カ-ブもどきでも傾向は同じだと思います)

しっかりと締め付け固定できるスライド量にもよりますが、+/-2~4MHzは調整できそうです。


図10 調整機能の概略図


図11 Ga, F/B比 vs. φ7mm長
横・X幅最適化_430HB9ADJ可2.8cm.maa ベ-ス


図12 Ga, F/B比 vs. φ7mm長
L1変更FBmaxADJ可2.8cm.maa ベ-ス

写真1、2は完成したHB9CVアンテナです。給電用同軸には、RG-58U同軸ケ-ブル外被の上に5D-2Vの網線をかぶせ、ショ-ト側をRG-58Uの網線に半田付けして絶縁テ-プで巻いたシュペルトップバランを付けます。長さは1/4λの約17.24cmです。

ブ-ムとRaエレメントの固定用角材に、この同軸が通る穴を開けて、Ra給電側と角材の出口側を結束バンドで固定して抜けないようにしました(写真3)。

無線機までのケ-ブル長は仮設確認なので、電気長で9倍の約4.1586mとしました。これで給電点のSWR値が無線機でも判ります(給電部の防水処理は各自工夫してください)。


写真1 2エレ HB9CV


写真2 4エレ HB9CV


写真3 給電部

調整

無線機で測定した2エレと4エレのSWRを図13に示します。

細かい点線は2エレのL1側を約1.7mm強短く(L3側も同比率で短く)したSWRです。大体高い方へSWR=1をキ-プして2MHz強程度移動しています。MMANAの解析値よりは小さいですが調整可能です。(2mm位短くしても良かったかもしれません)

調整機能は横幅のみなので、L1側とL3側(RaとRef)だけを変えていますが、本当は他の寸法(HairPin幅/長、EL間隔、位相差用クロス棒長)もこれに合わせて変更する必要があります。約1.7mm強は1.75mmを目指して短くしていて、L1長の比率は約0.986倍(12.4136cm/12.5886cm)です。これを周波数に換算すると約441MHzです。表4は441MHz最適化モデルとの寸法比較(L1/L3長)ですが、寸法がかなり近いです。(442MHzでも良いかもしれません)
 441MHzモデルのダウンロードはこちら

441MHz最適化モデルの寸法で製作して、435MHzで使用したら結構良い所へいくのではないでしょうか。(横幅調整機能は必要かもしれません。製作しないとダメなのでしょうが、作っても図13の調整後とほぼ同じような特性になりそうなので、ご容赦ください)

4エレは、L1側を約2mm短く(L3、L5、L6も比率を合わせて短く)して調整し、L1長の比率は(13.3266cm/13.5266cm)で約0.9852倍です。これの周波数換算は441.5MHzモデルに近いと思います。(441MHzでも良いかもしれません)
 4エレ 441.5MHzモデルのダウンロードはこちら

2エレ、4エレともに、まぁ良いところではないでしょうか。調整が難しそうなアンテナで本当は他の寸法も変えないといけないのですが、横幅のみの調整でもこのまま使えそうなSWR特性でホッとしています。(439MHz以上は無線機のレピ-タ機能が働き、送信周波数が5MHz下がるので測定不可)

SWR<1.5のバンド幅は、MMANAの値はあくまでも計算値なので、これの0.8倍程度に考えたらよい気がします。それにしてもMMANAの最適化は良い寸法値を導き出してくれます。同軸ケ-ブルを触ってもSWRが殆ど変化しませんでしたので、シュペルトップバランは良好に機能しているようです。


図13 2エレ/4エレ HB9CVのSWR特性
(4エレは調整後)


表4 441MHzの最適化モデルとの寸法比較

指向性と利得

図14と図15に2エレと4エレのMMANAの指向性(7mリアルグランド)の上に無線機のSメ-タ-の値を示しました。(角度とSメ-タ-読みはラフです。Sメ-タ-の一目盛を6dBとして、大体の最大レベルの角度・レベルで正規化)

測定では信号が安定していると思われる、市内のレピ-タ局を利用させてもらいましたので、f=439MHzの指向性です。MMANA通りではありませんし(90/270度のへこみもないですが)、まぁ何らかの指向性は出ているのではないでしょうか。

メ-カ-製144/430MHz GP(430MHzのカタログ値は5/8λ2段で利得=5.5dBi)との比較では、GPの方が数十cm高くなっていて有利ですが、レピ-タCの距離がかなり近く、高さの差は出にくいと考えて比較したら、Sメ-タ-の読みで2エレが10dB程度良く、4エレで10dB強良かったので、5.5dBiよりは遥かに利得があると考えてよいと思います。


図14 2エレ HB9CV ArcL1変更FBmaxADJ可2.8cm.maa
の指向性(7mリアルグランド/f=439MHz)


図15 4エレ ArcHairPin幅Size変更ADJ可430x4elHB9.maa
の指向性(7mリアルグランド/f=439MHz)

最後に

MMANAを使用してHB9CVの設計に挑戦してみました。

手順は以下のとおりです。

  • ・エレメント材料とワイヤ-径を決める。
  • ・Ra幅=0.46λ位、Ref幅=0.495λ位、Ra/Ref間隔=0.11λ位、HairPin幅=0.048λ位、HairPin長=0.031λ位で仮モデルを作り、自由空間で計算する。(注)
  • (共振周波数が大きくずれている場合はアンテナのサイズ変更をした方がいいかも)
  • ・Ga Max、SWR Max、F/B Maxなどで、横幅やX幅などを選択して最適化する。
  • ・変わっていない項目等は、表計算ソフトを使ってマニュアル最適化とグラフ化し、もっと特性が良くなる所やどのモデルが良いか決める。クロス部の湾曲カ-ブも確認する。
  • ・製作~調整をする。
  • ・調整後の寸法から、435MHzと別の周波数で最適化モデルを作り、435MHzの代用モデルにする。(調整まで終了しないとここに辿りつけないので大変ですが、2本目からは435MHzの近くにSWRボトムが来るでしょうし、Ra/Refの横幅を変更しても、HairPin幅や長さ・EL間隔・位相差用クロス棒長のずれはかなり小さくなりそうです)

  • (注)スタブ設計はしていないような書き方なのに、ヘア-ピン幅・長さが出ていますよ! と批判が出そうですが、一般的なスタブ設計はインピ-ダンスの条件があるようだし、難しいので良く解りません。Ra/Ref幅、間隔、HairPin幅/長は、いろいろとモデルを作ってこの辺から始めればいいかなという値です。マニュアル最適化で値は変わる可能性があります。

Seg=0のモデルはRef側、EL間隔、HairPin長がSeg=-1モデルより大きくなるので、もっと共振周波数が下がると思います。更にMMANAの自動分割でDM1やDM2などを色々と変更して、435MHzのモデル値と実測で合うようにしていくのでしょうが、何本も・何回も作るゆとりはないので435MHzとは別の周波数の最適化モデルで代用するのも一つの手ではと考えます。

「初めに」の項で書いたように、一般的にはヘア-ピン無し(更にクロス部無しも)で目標のF/B比や利得になるように、MMANAの最適化を使用して各エレメント長さとEL間隔を決めて、給電点インピ-ダンスからヘア-ピン(スタブ)を設計して、アンテナを作っていくみたいです。今回はほとんどをMMANAの最適化と中身はMMANAの最適化で計算したマニュアル最適化で、充分使えそうなHB9CVが設計できました。(MMANAの最適化とマニュアル最適化を実施すると結果的にスタブ設計まで終了しているのでしょうか・・・)

一般的な方法と今回の方法、どちらが簡単か判りませんが、MMANAの最適化と表計算ソフトのマニュアル最適化の組み合わせは、HB9CVの設計手法の一つとして使えるのではないでしょうか。

後編は144MHz HB9CV+4エレ430MHz八木アンテナにトライします。

2026年10月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2026 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.